アメリカGAYライフ American Gay Life by an expat Japanese

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友達との再会、そして、、、

2005-04-09 05:53:26 | Weblog
今年の冬は長かった。3月まで雪が降ったりして陰鬱な、冬独特の天気が毎日のように続いていた。日本から戻る頃には、春満開だろうという期待も簡単に裏切られ、3月末に日本から戻った日、空港から自宅に戻る街路樹は冬の枯れ木そのままだった。だけど4月になり、ようやく春到来。日本も今年は同じような天候だったみたいだね。僕が日本にいる間は、結構寒い日が続いて結局、桜を見られずじまい。だけど、僕がアメリカに戻ったとたんに日本は夏日になったりして、桜も一日で満開になったときくし。アメリカ東海岸も、日本と同じようなじょうきょうです。(科学的根拠はないのだけど、日本とアメリカ東海岸の天気は、かなり連動しているみたいに思えます。地球の真反対だけど、どちらも西側に大陸、東側に海を持つ地形が原因なんじゃないかと。)

そんなわけで、先週の水曜日は、こっちも日中、23度近くになった。冬から一気に夏に突入して、気の早いアメリカ人は、もちろん、半ズボンにTシャツ、サンダルで街を闊歩。そしてこの日はちょうど、日本から友達が遊びにやってきていた。彼は日本の大学時代の友達で、再会は1年半ぶり。とくに大親友というわけではないけど、地味でまじめな性格の彼とはこれまでなにかと連絡をとってきていた。大学時代、彼はドイツ語にはまって、ヨーロッパにこれまで何度も行っていることや、彼は今年アメリカ留学することが決定していることなんかも、最近、僕たちのEメールの数を増やす理由になっていた。だけど、今までヨーロッパばかりに何度も行って海外旅行なれした彼が、アメリカにやってくるのはこれが2回目なんだとか。留学先に、なんでヨーロッパじゃなくてアメリカを選んだのだろう、と少し腑に落ちない。

その夜、二人でレストランに入って注文するときも、英語をドモリ気味にぼそぼそとしか話さない彼。こんなんでアメリカに留学して大丈夫かなぁ、と僕のほうが心配になってしまう。日本語でさえ口数の少ない彼なのに。そこで、アボリジニが、通過儀礼に高い塔からバンジージャンプするように、彼がアメリカ生活を始める通過儀礼として、アメリカ人の友達を夕食に呼ぶことにした。友達といっても、それほど多くない僕の友達リスト。よべるのはBrianくらい。(さすがに元カレなんかは呼べないしぃ。)さっそくBrianに電話をすると、平日の夜を持て余していたらしく、意気揚揚とレストランにやってきた。

Brianは黄色のTシャツにカーゴパンツとサンダルといういでたちで、「カリフォルニア・ボーイ」というのがぴったりの格好で登場した。口下手な、しかもアメリカにきたのがこれで2回目ですという僕の友達に対しても、Brianは親切に、平易な英語でその場を和ませてくれたのでした。

夕食後、Brianは別の約束があるというので僕たちとは別れることに。Brianがいなくなった後、僕の友達は「彼とはどこで知り合ったの?」という質問。彼にはまだカミング・アウトしてないので、僕は不意打ちをくらったサムライのように、少し体勢を崩しながらも相手に傷を悟られないように、しどろもどろになりながら「日本語サークルで知り合った」というウソでその場を濁した。彼がどれほど僕の説明に納得したかは分らなかったけど。だけど、Brianと僕ら3人で話をしているときに、彼がBrianを見る目がいつもと違ったのに僕は気付いていた。そう、僕らがゲイバーで男を物色するのに近い感じ。これまで口数も少なく、色白でおとなしい彼しか知らなかった僕は、草食動物が、突然、肉食動物の目になったのを目撃したようで、見てはいけないものを見てしまった気持ちになった。

Brianとわかれた後、僕たちが入ったファーストフード店でも、「突然訪れた夏の夜に、ジムに行って一汗かいた帰りです」というのを体中から発散させているようなマッチョな青年が僕たちの隣りに座った。タンクトップにベースボールキャップをかぶった白人の青年は、皮膚にうっすらと汗の玉をにじませ、サンドイッチを口に運ぶたびによく発達した肩の筋肉が、その汗ばんだ皮膚を通して僕たちの目にもわかった。そして僕の隣りに座っている友達の横顔を見ると、彼の目も、この青年にくぎ付けになっている。東京にも沢山白人はいるけれど、確かに、こんなに汗ばんだ筋肉を振るわせながらサンドイッチをほお張る白人青年は、そうそうこの至近距離でみかけることはないか。彼とこの夜待ち合わせをしたのは、ゲイが多いことで知られる地域。レストランが多かったり、お洒落な人が多いので選んだのだけど、彼にとってちょっと刺激が強すぎたかも。

自然と口数が少なくなる僕の友達。お互いに話し疲れて、しだいに無口になっていく。熱気の覚めやらぬ夜の街を行き交う多くの人々を、僕たちは無言のまま眺めていた。そして僕たちの周りには、友達と思い思いに食事をとる人たち(その多くは、地域がら、もちろんゲイ)。僕たちのテーブルの斜め向かいには、若い一組のゲイ・カップル。一人はアジア人で僕たちのほうを向いている。もう一人は、僕たちのほうに背を向けた格好で座っている――そしてその後姿に見覚えが。もしや、っと思ったけど、その肩幅の広い背中と日焼けした褐色の肌は、やっぱりLukeでした。唖然として息が詰まりそうになる僕。目がLukeの背中から離れられない。顔を見たいけど、Lukeは背を向けたまま。サンドイッチを食べながら楽しそうにおしゃべりをする二人。何を話しているかは聞き取れない。ごみ箱にサンドイッチを包んでいたペーパーを捨てに行くLuke。席に戻るときも、僕に気付かないLuke。アジア人の恋人の方は、じっとみつめる僕の目線に気付いたけど、一度、こちらに視線を投げたきり。サンドイッチを食べ終えた二人は、テーブルをはさんだまま、軽いキスをし、そして二人は座席を立ち、肩を組みながら人ごみの中に消えていった。

前回、Lukeとデートしたとき、これまで4年間つきあってきたフィリピン人のボーイフレンドとうまくいっていないことを彼は話していた。それで、僕は少し「期待」をしていたのだけど、結局、ジムで偶然遭う以外は、Lukeから電話もメールもなく、時間だけが過ぎていた。この晩みかけたLukeの新しい恋人は、顔立ちというか印象みたいなものが、僕に似てなくもない。それほどハンサムともキュートともいうわけじゃないけど、ま、普通のアジア人。だけど、身長がLukeと同じくらいの170センチ弱くらい。180センチ弱ある僕とくらべると、10センチも背が低い。Lukeが、上から彼の肩に手を回せる身長。僕の中では「やっぱりそうか」、っていう気持ち。

Lukeたちがレストランを出たのをきっかけに、僕は腕時計に目をやると11時まであと15分。翌日、また仕事があった僕は、「それじゃ、そろそろ」といって友達を促した。この街にあと2、3泊する予定だった友達は、「じゃ、また連絡するから」と言ってタクシーに乗り込みホテルに帰っていった。だけど、結局、その友達の滞在期間中、彼から電話がかかってくることは一度もなかった。