中華街ランチ探偵団「酔華」

中華料理店の密集する横浜中華街。最近はなかなかランチに行けないのだが、少しずつ更新していきます。

高級中国料理店で高級(?)炒飯を食べる ~華正楼新館~

2007年05月01日 | 中華街(大通り)
 
 「炒飯を作るのは新人コックではなくチーフコックだ」
 以前、どこかで聞いた言葉です。周富徳だったかなあ。炒飯というのは、ご飯を炒めるだけの料理で一見簡単にみえるけど、実は奥が深く作るのは簡単ではない、だから新人には任せられず、たいていはベテランのコックが鍋を振っているんだ、そのような発言だったと思います。
 
 そんな炒飯ですが、いや、そんな炒飯だからこそというべきかもしれませんが、町の中華屋さんから横浜中華街の高級店まで、どこでも食べられるメニューとなっています。
 でも、その中身・容姿・価格などは、それぞれ大きな違いがあります。横浜中華街には380円の庶民的炒飯から1500円の高級(?)炒飯まで、今の格差社会を体現するかのような品が揃っているのです。
 
 ところで、炒飯の適正価格って、一体いくらなんでしょうかね。使用している材料は、基本的にはどこでも、米、卵、ネギ、チャーシュー、海老、グリーンピースくらいのものです。そこに店の独自性を出すため、フカヒレを乗せてみたり、鮭を入れてみたり、納豆を加えてみたりするわけですね。
 そういった特殊な炒飯は別にして、基本的なフツーの炒飯というのは、だいたい600~700円台が最多価格帯になっています。ちなみに最安値は天天常常回転房の380円、最高値は北京飯店の1500円でしょうか。

 今回は、その中から1386円の炒飯を食べてきたのでご紹介しましょう。

華正楼新館入口 ナフキン・ポット入りお茶・高級箸置き

 場所は中華街大通りの「華正楼新館」。華正楼といえば老舗の大店で、個室、予約、宴席、黒塗り高級外車、フカヒレ姿煮、アワビ、政治家、ン万円…といった連想から、庶民の大半は足を踏み入れたことがないはず。でも、それは「本館」のことであって、今回おじさんが訪ねたのは「新館」です。
 とはいっても、華正楼新館も入りにくい。とにかく、敷居が高いというか、庶民を寄せ付けないバリアーを感じさせるのです。
 入口にはショーウインドーの見本もなければ、メニューも置いてありません。ましてや、「本日のランチ」なんてチョークで書いた黒板なんてのもない。あるのはコースメニューだけ。
 黒塗りの自動ドアからは中をうかがうこともできず、はたして一般人でも入れるんだろうか、そんな疑問を今回は一気に解消してきました。

 鼻を膨らませ眼一杯空気を吸い込み、胸を張って自動ドアから突入。受付の女性に「そばとかご飯ものなんかもあるんですか」と聞くと、「ございます」と嬉しい返事。彼女の指差すほうを見ればメニューがありました。気になるのはお値段。いちばん安いものは何かと探してみましたが、そんな料理はありません。3桁のお品といったらデザートのみ。でも、これだけを食べて出てくるっていう勇気、おじさんにはありません。
 仕方なく千円台のものを探すと、いちばん安い炒飯、1266円という価格が眼に入りました。そっとポケットの中の千円札と小銭を確認してウエイトレスに「一人です」と告げ案内を請う。
 ジュウタンを敷き詰めた床はフカフカ。テーブルに着くとウエイトレスが椅子を引いてくれて着席。すぐにティーポットとメニューブックが来ました。
 心の中では既に最低価格の炒飯と決めているのですが、一応、「フカヒレにでもすっか、それともアワビにしようか」なんて思い悩んだふりをしてからフロア係を呼び、予定どおり五目炒飯を注文。

 料理が出てくるまでの間を利用して店内をじっくり観察しました。
 通りに面して並んだ大きな窓からは、道行く人々がよーく見えます。
 「さて、どこに入ろうかな」という思案顔、「あー食った、食った」という満足顔が次々と通り過ぎていきます。
 なかには立ち止まって、逆に窓から華正楼の客の料理を覗き、ヨダレを垂らしているおじさんもいたりして。窓際で食べている客も気が気ではないでしょう。
 通りを挟んだ向かい側は、あの暴力的にでかい豚まんで有名な「江戸清」。相変わらず観光客が群がっています。
 この豚まんを買ってすぐ座って食べるのに便利なのが、写真にもある「華正楼」の窓辺。外側はご覧のようにベンチ状になっているので、以前は豚まんを片手にしたアベックやおじさんたちがずらりと並んでいたものです。
 「華正楼」のお客は、彼らのお尻を眺めながら食事をしていたはずです。
 その対策として「ここに座らないでください」ボードが置かれたのでしょう。さすがにこれを無視して座る人はいません。

 さて、こちら側の客層はどんなかな、観察してみましょう。
 窓際のテーブルには超美人が3人とテレビ局関係者っぽい男1人の4人組。芸能界に疎いおじさんには誰だか分かりませんが、なんとなく女優かタレントさんのようです。服装からして違います。
 このテーブルには次々と皿が運ばれてきます。局関係の男が取り分けたその上品なお料理を、彼女たちはお上品にお召し上がりになっていました。女優さんって、本当に食べ方がきれいで、絵のようです。
 おじさんが食べると、春雨をすすった際にスープが周囲に飛び散ったり、ウズラの卵が箸からスルリと落ちて床を転がったりと、ぶざまな姿を見せることになるわけですが、やはりこの方達は違う。うっとりと眺めてしまいました。

 そうこうするうちに炒飯が到着。ひと目見て「エーッ!? こんなに小さいのぉ? うっそ!」と叫んでしまいました。1260円もする炒飯ですよ、もう少しボリュームがあるのかと思っていましたが…。
 具はエビ、卵、ネギ、焼き豚、それにグリーンピース7粒。ごく一般的な炒飯です。味の方も600円台の炒飯と同じ感じ(だと思う)。違いが分かりません。2倍の価格ですが、ボリュームが2倍あるわけでもなく、高級なネギを使っているとも思えません。
 ただ、レンゲは特注品のようです。裏を見たら「華正楼 NARUMI BONE CHINA」という銘が入っていました。これで260円分くらいするのでしょうか。

 そのレンゲで炒飯をすくいながら、再び店内観察。芸能人グループの隣には山手婦人かシロガネーゼといった雰囲気のご婦人が、これまた立派な紳士と会食しています。ウエイトレスがスープを取り分けていましたが、あれはフカヒレスープでしょうかね。料理の方も炒飯や焼きソバではなく、高そうな一品料理が並んでいました。やはりシロガネーゼは違います。
 こちらはカネガネーゼなので、炒飯だけ。他に何もなし。何を食べようか迷うこともないので、それはそれで楽です。でも、サービス料が付くのかどうか、こちらの方は気が気ではありませんでした。

 食後、請求書を見たら、しっかりとサービス料10%が上乗せされていました。テーブルまでのアテンドと椅子の引き賃、お茶の注ぎ代、これがサービスなのでしょう。126円が加算されて、実際に支払ったのは1386円でした。
 しばらくは昼食抜きの日々が続きそうです。 

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2 コメント

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最高値炒飯 (本須)
2007-05-02 16:16:36
私は五目炒飯系では桃花の特式炒飯1470円が
最高値かなと思っていたのですが、北京飯店は
1500円なんですね。お金がたまったらどんな
ものか食べに行ってみたいです。

華正樓新館の炒飯もかなり昔は1000円で
食べられたのですが、最近は結構するんですね。

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華正楼・華勝楼 (ブログ管理人・酔華)
2007-05-02 23:05:36
 今度は華正楼で一品料理を注文して食べてみたい。どんなかな? あの女優が食べていたのも食べてみたい。そして、あんなサービスを受けてみたい。10%に見合うサービスを。
 それはともかく、昔から華正楼と華勝楼を混同する人たちが多いですね。どちらも「かしょうろう」と読めますから。
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