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旅の友・ポップス編 (441) 『風に吹かれて』

2018-05-26 23:50:49 | 旅の友・ポップス編

まず、ボブ・ディラン作『風に吹かれて』を記事にするにあたり、どうしても【嫌われ事】を書かざるをえませんので
不愉快に思われるかもしれませんが是非ともご容赦願います。
この曲を「旅の友・ポップス編」に編入することに関しまして、あの世で閻魔大王に会ったときに「こんな奴の曲を携えて
くるなんて、この大馬鹿者めが!」と怒鳴り散らされるのではないかと悩みました。しかしながら、この歌詞を信じて
これを唄ったピーター、ポール&マリーやマリー・ラフォレが不憫でなりませんので避けてしまうわけにはまいりません。

『風に吹かれて』 ピーター、ポール&マリー
”Blowing In The Wind” Peter、Paul & Mary 【YOUTUBEより】


『風に吹かれて』 マリー・ラフォレ
”Blowing In The Wind” Marie Laforet 【YOUTUBEより】



この曲は1962年にボブ・ディランが作詞・作曲したもので、奴隷解放時代に唄われていた”No More Auction Block”
(競売台はもういらない)の歌詞やメロディーに誘発されてこの曲を作ったといわれています。
歌詞としては、「人はどれ位の道を歩めば人として認められるのか (人種差別問題)」に始まり、社会悪に対するいくつもの
疑問を抽象的な言葉で問いかけ、その答えは風に吹かれているとして結論付けずに人々にその答えを委ねています。
ご本人は否定するかもしれませんが、ボブ・ディランといえば当初は反体制のプロテスト・ソング・ライターであったことは
間違いはありません。

そんなボブ・ディランがノーベル文学賞を自らの手で受け取ったことは強い衝撃でした。

私たちは小さい頃から『ノーベル賞』とは、偉人・ノーベルが私財を提供し、各分野において人類のために最大たる
貢献をした人物にに与えられる世界で最高の権威のある賞だと教えられ擦り込まれてきました。
このことは一般常識として殆どの人々がそのように認識されており異論を唱える人はいないでしょう。
しかしながら、その設立に関する裏側の暗い影の部分は殆ど教えられていません。
 ノーベル賞を支えている莫大な資金はどのようにして形成されたのか⇒「死の商人」が武器商売などで
 ノーベルがノーベル賞を設立しようとした動機とは⇒自分が「死の商人」と呼ばれていることの名誉回復のため
ノーベルは偉人だといわれていますが、偉人どころか自己中心の悪徳な死の商人でもあるのです。

ノーベル賞受賞者にそんなノーベルの汚れた遺産を受け取ることへの抵抗はないのでしょうか。
「死の商人が自己の名誉回復のために設立したノーベル賞を受けるなんてことは良心が許さない。
まして汚れた遺産を受取るなどもっての外」という受賞候補者が現れても不思議ではないことだと思うのですが。
クリミア戦争での武器売買で大儲けをしたノーベル、その一方でクリミアで負傷兵たちへの献身的な看護に奔走した
ナイチンゲール。そんなナイチンゲールの意思を受け継いで国際赤十字を創設したアンリ・デュナンに至ってはなんと
1901年に第1回ノーベル平和賞を受賞しています。きっとナイチンゲールが草葉の陰で悔し泣きしたことでしょう。

今回ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランに申し上げたい。

How many times must the cannon balls fly Before they're forever banned ? 
 (どれ位の砲弾が飛び交えば永久に禁止されるのか)
How many deaths will it take till he knows  That too many people have died?
 (どれ位の人が死んだらあまりにも多くの人が亡くなったと気づくのか)

歌詞では、その答えは「風に吹かれている」となっているものの、最終回答が
The answer is ⇒ 「死の商人ノーベル」からのノーベル賞を受賞して光栄

となればこの歌詞は一体何だったのか。

「死の商人」に魂を売ってその軍門に下ったボブ・ディラン、と言わざるを得ません。



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