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『2月22日』

2019-02-21 14:59:59 | 明日は誰の日

【誕生日】

☆ルイス・ブニュエル Luis Buñuel (1900.2.22~1983.7.29)



本人も認める無神論者で、社会への痛烈な批判を訴え続けたスペイン生まれメキシコ国籍を持つ映画監督です。
裕福な家庭に生まれ敬虔なクリスチャンとして育てられたが、マドリッド大学時代に学生会館での映画上映活動をしていた
時期にサルヴァトーレ・ダリと出会い、シュルレアリズム運動に心酔しはじめました。大学卒業後1925年にパリに移住して
ジャン・エプスタン監督の助手をつとめ、1928年にダリの協力を得て初監督作品となる『アンダルシアの犬』をフランスで
制作、この『アンダルシアの犬』は度肝を抜くような映像が何の脈絡もなくさらなる残酷で異様な映像を分娩していくという
典型的なシュルレアリズムで描かれており、この頃に流行したアヴァンギャルド映画の中でもその特異さで大注目を浴び、
当時新進芸術家のパトロンとして名を馳せていた大富豪ド・ノアーユ子爵に大いに認められて、彼の出資により1930年に
スペインで『黄金時代』を監督しました。この作品も象徴や隠喩を多用した前衛的手法によって宗教、慈愛、愛欲、儀礼、
道徳に対して痛烈な批判を投げかけたため、スペイン国内で上映禁止とされてしまいました。続いて1933年には、過酷な
自然のもとで動物のように悲惨な生活を強いられているの人々を描いた『糧なき土地』を制作したことにより、当時の
独裁者フランコ将軍から反愛国者と決めつけられてこれまた上映禁止の上、国外に追放されてしまいました。
その後メキシコ国籍を取得して映画制作を再開し、1950年に 浮浪少年の実態と内面を客観的に直視した『忘れられた人々』を
監督、ブルジョワ社会への痛烈な批判をするとともに少年の夢をシュールレアリスム的な手法で描くなどによってその健在
ぶりを国際的にも認めさせました。ブニュエルはメキシコで十数本の作品を監督しています。
このメキシコでの評判によってブニュエルはフランコ将軍が健在の祖国スペインに戻ることを許され1961年に『ビリディアナ』
の制作に取り掛かりました。この作品は、人間の内面に潜む醜い欲望をさらけ出すとともに、カトリックの戒律と原罪を
掘り起こし罪の意識と救済がいかに虚しいかを告発しています。さらに、乞食たちによる最後の晩餐のパロディが物議を呼び
これがキリストへの冒涜であり反宗教的という理由で今度はスペイン国籍を剥奪されてしまいました。
しかし、映画作家として国際的にも高い評価を受けため、1963年にはフランスに招かれて『小間使いの日記』を監督、これも
権威への批判を込めた反道徳的、反宗教作品となっています。次いで1967年の『昼顔』では耽美的な色彩を織り込みながら
肉体と精神の矛盾を赤裸々に描き上げました。これらの成功によってブニュエルはフランス映画を担う存在となっていきます。

【主要監督作品】
1929年『アンダルシアの犬』 Un chien andalou

1930年『黄金時代』 L'Âge d'or

1933年『糧なき土地』 Las Hurdes
1949年『のんき大将』 El gran Calavera
1950年『忘れられた人々』 Los olvidados

1952年『昇天峠』 Subida al cielo
1953年『エル』 Él
1953年『嵐が丘』 Abismos de pasión
1961年『ビリディアナ』 Viridiana

1962年『皆殺しの天使』 El ángel exterminador 
1964年『小間使の日記』 Le Journal d'une femme de chambre

1965年『砂漠のシモン』 Simón del desierto
1967年『昼顔』 Belle de jour

1970年『哀しみのトリスターナ』 Tristana
1972年『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』 Le charme discret de la bourgeoisie


☆ジュリエッタ・マシーナ Giulietta Masina (1921.2.22~194.3.23)



小柄で愛嬌のある顔立ちと天使の心を持つ役柄で脚光を浴びたイタリアの女優です。
ローマ大学で文学を専攻するかたわら演劇部に所属し1942年に芸術劇場で初舞台を踏み、翌年にはラジオドラマに出演し、
当時ドラマの脚本を書いていたフェデリコ・フェリーニと結婚して家庭に入りました。
しかし、1947年に彼女の才能に目を付けていたアルベルト・ラトアーダ監督に口説き落とされて『無慈悲』で映画界に入り、
1950年には夫君のフェリーニとラトアーダの共同監督による『寄席の脚光』で注目を集めました。
そして1954年には『道』のジェルソミーナ役でフェリーニ監督と共に世界的な名声を得ることになります。
夫婦仲の危機は幾度かあったようですが、生涯フェリーニの妻として夫を看取った直後に肺がんでこの世を去っています。

【主要出演作品】
1946年『戦火のかなた』 Paisàn
1950年『寄席の脚光』 Luci del varietà
1952年『ヨーロッパ一九五一年』 Europa '51
1954年『道』 La Strada

1955年『崖』 Il Bidone 
1957年『カビリアの夜』 Le Notti di Cabiria

1959年『街の中の地獄』 Nella città l'inferno
1965年『魂のジュリエッタ』 Giulietta degli spiriti



【ご命日】

★ニコス・コンドウロス Nicos Koundouros (1926.12.15~2017.2.22)



簡明直截なスタイルと抒情豊かな表現で注目されたギリシャの映画監督。
主要監督作品として『魔法の都市』『オー、ドラゴス』『春のめざめ』などがある。



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