港町のカフェテリア 『Sentimiento-Cinema』


献立は…  
シネマ・ポップス…ときどきイラスト

『10月15日』

2019-10-14 21:52:21 | 明日は誰の日

【誕生日】


☆アンリ・ヴェルヌイユ Henri Verneuil (1920.10.15~2002.1.11)



情感豊かな『過去を持つ愛情』『ヘッドライト』『幸福への招待』の三部作で一時代を作ったフランスの映画監督です。
トルコのロドスト(テキルダー)に生まれ、4歳の時に一家は第一次大戦の敗戦混乱の最中フランスのマルセイユに逃れました。
1943年にエクスアンプロヴァンスの美術工芸学校を卒業し、新聞編集やラジオの仕事などを経て1946年に映画界に入りました。
当初は短編映画の監督として15本の作品を撮っていましたが、1951年に "Table-aux-crevés" (フラット付きのテーブル)で
長編監督としてデビュー、翌1952年にまだ売り出し前のフランソワズ・アルヌールを主役に抜擢した『禁断の木の実』が
興行的に大ヒットしてアルヌールをスターダムにのし上げました。1955年には『過去をもつ愛情』で妻を射殺した男と夫を
殺害した女が暗い過去に引きずられてゆく宿命を、情緒に甘さを加えたペシミズムにより深みのある心理作品に仕上げました。
続く『ヘッドライト』では、マルセル・カルネを思わせる強烈なペシミズムを根底に置いて、初老のしがない人生の虚しさを
独特の詩的リアリズムを取り入れながらも哀感と詩情による映像美を貫き通し、究極の寂寞感をもたらす珠玉の作品に仕上げ
ました。また、1956年の『幸福への招待』では一転してお洒落でロマンチックな大人のおとぎ話をきめ細かい演出で撮り、
いずれの作品も人々の心底を揺さぶるヴェルヌイユを代表する三部作となりました。
1963年になると突如として活劇映画へ転身して『地下室のメロディー』を監督、初老のギャングが若い相棒とカジノの大金を
強奪するというフィルム・ノワールなのですが、サスペンス映画として肝心かなめの緊張感に欠け、この種の傑作といわれた
『現金に手を出すな』に比べるとかなりの見劣り感がいなめません。しかし、ジャン・ギャバンとアラン・ドロンの初共演と
いうことで興行的に大成功となり、これをきっかけにして完全な商業作家になってしまいました。

【主要監督作品】
1952年『禁断の木の実』 Le Fruit défendu 

1955年『過去をもつ愛情』Les Amants du Tage

1955年『ヘッドライト』Des gens sans importance 

1956年『幸福への招待』Paris, Palace Hôtel 

1957年『女は一回勝負する』 Une manche et la belle

1959年『牝牛と兵隊』La Vache et le Prisonnier

1960年『艶ほくろ』L'Affaire d'une nuit

1960年『フランス女性と恋愛/第5話』La Française et l'Amour 
1960年『冬の猿』Un singe en hiver 

1963年『地下室のメロディー』Mélodie en sous-sol

1964年『太陽の下の10万ドル』Cent mille dollars au soleil 
1964年『ダンケルク』Week-end à Zuydcoote
1967年『25時』La Vingt-cinquième heure 
1968年『サン・セバスチャンの攻防』La Bataille de San Sebastian
1969年『シシリアン』Le Clan des Siciliens



☆マーヴィン・ルロイ Mervyn LeRoy (1900.10.15~1987.9.13)



円滑な展開と劇的昂揚を高める演出で大衆受けしたハリウッドの映画監督です。
サンフランシスコで生まれ、1906年の大地震で被災し、10歳の頃から新聞の売り子をしたり、歌と物真似でヴォードヴィルに
出演していましたが、チャップリンのモノマネコンテストで優勝したのを機にハリウッドに出ました。パラマウント映画社で
俳優として端役などをつとめていましたが、その後ワーナー・ブラザースに移籍して1927年に『蛮婚崇拝』で監督デビューを
果たしました。続いて軽快・明朗な作品を撮り続け、トーキー後の1930年には反暴力を訴えた『犯罪王リコ』でギャング映画
ブームの火付け役となって一流監督として認められるようになり、翌年の『仮面の米国』では冤罪で逮捕された男を主人公
として非人道的な刑務所の実態をさらけ出しました。
また、1940年からはガラリと作風を変えてメロドラマ路線に移り、『哀愁』『塵に咲く花』『心の旅路』とヒット作を連発、
その後も広いジャンルでドル箱監督として通算40年に渡って第一線で活躍を続けました。

【主要監督作品】
1931年『犯罪王リコ』Little Caesar

1931年『今宵ひととき』Tonight or Never
1932年『仮面の米国』 I Am a Fugitive from a Chain Gang 

1940年『哀愁』Waterloo Bridge

1941年『塵に咲く花』Blossoms in the Dust 
1942年『心の旅路』Random Harvest

1943年『キュリー夫人』Madame Curie

1949年『若草物語』Little Women

1951年『クォ・ヴァディス』Quo Vadis
1955年『荒野の貴婦人』Strange Lady in Town
1955年『ミスタア・ロバーツ』Mister Roberts (共同) 
1956年『悪い種子』The Bad Seed

1958年『黄昏に帰れ』Home Before Dark
1961年『四時の悪魔』The Devil at 4 O'Clock
1962年『ジプシー』Gypsy
1966年『その日その時』Moment to Moment 


【ご命日】

★マリー・デュボワ Marie Dubois (1937.1.12~2014.10.15)



パリに生まれ少女時代から舞台経験を積んだ本来は清楚なフランスの女優。
主な監督作品として『ピアニストを撃て』『女は女である』『突然炎のごとく』『輪舞』などがある。