パンドラの箱を開けるとちむがいた

書くスピード早いですが、誤字脱字多し。

13冊目

2007-06-08 01:17:13 | Weblog
☆12「ザ・ハウス・オブ・トヨタ」佐藤正明、文藝春秋、2005



感想:
文藝春秋に掲載されているときから読んでいて非常に気になっていたが、単行本になっているのをたまたま見つけて読んでみたが、これが非常に面白い。600ページあるが、すぐに読んでしまった。
特に印象的なところを、下記に記載します。

1、「自分の城は自分で守れ」と激を飛ばしたのは、トヨタ中興の祖石田退三
2、松下電器は、森下社長の後任は松下幸之助の孫にあたる松下正幸だとされていたが、相談役の山下氏が、松下幸之助の孫というだけでトップになるのは実力がないし、おかしいと発言し、その後は中村邦夫が社長になった。
3、佐吉、喜一郎、利三郎の命日には、日泰寺の墓に豊田自動織機の役員が必ず墓参りを行っている
4、終戦くらいまで、トヨタ自動車東京事務所は、日本橋の高島屋日本橋店4階にあった。これはトヨタ喜一郎の嫁の出身が高島屋だから。
5、トヨタは戦後刈谷工場(現デンソー)で鍋、釜、伝記コンロやアイロンまで作っていた。
6、豊田章一郎は、喜一郎の言いつけで、名古屋大学卒業後、遠戚のいる稚内でちくわやかまぼこを3年程度生産していた。
7、販売の神様といわれた神谷正太郎は三井物産を経て日本GMに移籍し、その後、トヨタ自販設立とともに社長に就任。その後トヨタ自販を事実上の神谷商店化してしまった。自販と自工の合併は、神谷氏が鬼籍に入らないとできなかった。
8、1947年に資金不足でトラック販売ができないときに、豊田英二と神谷氏が販社へ事実上の融資依頼をし、ディーラーも470万円の資金を融資した。
9、戦後すぐに日産系のディーラーをスカウトしてトヨタ系にしたが、そのときに、喜一郎と神谷はディーラーの人一人ひとりにお酌をして、頭をさげた。一方、日産の鮎川氏は高飛車そのもので、絶対君主のような態度でディーラに接した。日産は戦後、トヨタから1ヶ月遅れでディーラー網を立ち上げたが、その遅れが国内販売網の違いとなった。
10、戦後の集中排除法の指定になる前に、刈谷南工場を分離して日本電装になった。
11、トヨタが倒産しかけたとき、日銀名古屋支店長の高梨支店長が自分のリスクで、融資斡旋懇談会を開催して、事実上の日銀特融を実施。中心は東海銀行と三井銀行。そのときに、住友とIBJは早々にトヨタに見切りをつけた。その後もトヨタは住友を嫌っており、三井住友になった現在は関係が急激に薄れている。後に住友の堀田頭取が副頭取のときにトヨタの石田退三社長に関係回復申し入れをトヨタ本社まで出向いて行ったが、断った。しかし、石田は、切れ者である堀田を手ぶらで返すには忍びないとして、トヨタで購入できるものはないかと探し、そして住友電工のワイヤーハーネスの取引が始まった。また、時の日銀総裁の一万田は全く理解を示さず、車なんてアメリカから輸入すればよいと主張していた。
12、松下幸之助をして私の商売の師匠と言わしめたのが石田退三
13、石田退三は当時東海精機の社長の本田宗一郎にあって、ピストンリングを発注。本田宗一郎を一流の技術者と認めていた。
14、豊田産業は集中排除法に抵触したことから、日進通商(今の豊田通商)に名前を変更した。
15、石田がトヨタの中興の祖といわれるゆえんは、朝鮮特需に浮かれることなく、人員を増やさずに増産し、一方で設備のスクラップビルドを進めたから。
16、日本産業が転じて日産自動車になった。
17、豊田佐吉にあこがれて鈴木式織機をつくり、
その会社が今のスズキになった。豊田自動織機の社長だった石田は鈴木の苦しいときに融資を行っている。
18、章一郎は、喜一郎の東京研究所でプレコンの研究をしており、ユタカプレコンという会社を設立し、プレハブ住宅を執念で事業化した。
19、喜一郎が豊田綱領を作った
20、三井物産と提携して豊田式織機株式会社(現豊和工業)を設立した。

また、最後に、トヨタが世界一の座を長期間保持できるかどうかは、豊田家という旗がこれまでどうりにはためくか、また旗は逆風が吹いても凛としてはためかなければならない。旗がしおれれば求心力は衰える。旗の掲げ方を間違えればトヨタの栄華は短期で終わる。と最後に書いてありました。

非常に面白い本です。アマゾンではちょうちん記事だの暴露がないだのとんちんかんな書評もありますが、本書をきちんと読んでいなのでしょう。
トヨタ自動車を知るには非常に良い一冊です。

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