ぽかぽかとお天気の良い日。
ぼ~~っとしていると、空のずうっと上の方から
ぼう~~~~~~んという旅客機の羽音が聞こえてきます。
私は幼い頃とても身体が弱かったようです。
特に小学校へ入学した頃は、しょっちゅう風邪をひいて、
毎月と言って良いほど必ずお休みをしていたそうです。
当時住んでいた家は、横浜の野毛山というところで、木造の二階家でした。
父は「マスオさん」ではありませんでしたが、母側の両親と同居していましたから、
当然私はおばあちゃんっこでした。
朝起きると具合が悪く、熱を計ると8度近いこともしょちゅうでした。
そのたび芳子ちゃんが学校へ電話をしていたことを今でも覚えています。
その日はみんな妙に優しくて、子供心にも
「いつも具合が悪い方がいい」
と思っていたくらいでした。
お休みが決定すると、すぐさま二階の部屋に片付けたばかりの布団が敷かれ、
再び病床に臥す人となるのでした。
ぼ~~~っと横になっていると、頭の上のガラス戸のずうっと上で、ゆっくりとゆっくり
とのんびりとのんびりと
「ぼお~~~~~~~ん」
という飛行機の音が聴こえてくるのです。
自宅待機の私にとっては
とても穏やかなバックグラウンドミュージックでした。
熱のある目で虚空を見上げると、細かい塵がふわふわと宙を舞い、
まるで御伽噺の世界に迷い込んだかのように思われました。
その時、ぼ~~んという音と、塵の舞がいつまでも続いていたらいいなと思いました。
今でも遥か上空から聞こえてくる旅客機の羽音を聞くたび
そんな懐かしい記憶がありありと蘇ってくる今日この頃であります。
歳とったせいかなあ~~~~~