湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

石田衣良『オネスティ』について

2018-05-02 12:58:41 | 日記
大好きな本は
ガイドブックと料理本
そしてスマホがあれば何時間でも。


ってことになるのだけれど


時々は
片時も身から離さず
入り込んで読んでしまう本が
年に数回あったりする


活字中毒や
読書家までは全然いかないけれど
読み始めたら止まらないってぐらい

出会いのように
突然それは訪れる


石田衣良さん
男性でありながら、女性の心理描写や
内側の体の構造をよく知っておられるように思います



著書 『オネスティ』

幼い頃、大きな木の下で出会った男の子と女の子。
その木を挟んで隣同士の家


互いの親が常に仲が悪かったせいで
より2人の気持ちは寄り添いながら
幼少期から一緒に成長していく。


ある日、2人は約束を交わす。


自分達の親のようになりたくないから
私達2人は、結婚もせず、子供をつくるようなこともせず、互いに恋人ができたとしても、2人の間では、秘密がないように、全て包み隠さず、話をしよう、、、と。


固い固い約束をする。


少女は少年より
大人になるのが早い
そして、
大人になる儀式の度に
少年に包み隠さずに話をする


互いに体の変化を感じても
触れずとも
気づかずとも
ほとばしる思い


それは、
それから、ずっと続いていく
全て話をして
全て話を聞く序章の始まり


少年は絵描きを目指していたので
たった一度
生涯で忘れることができないほどの
高揚感で少女の裸体を描く


指一本触れず‥
一心に書き続ける

頭の中でうごめくもの

何か戦いながら

約束を守るため



互いに恋人ができても
その恋人と
どんな風に過ごしたか

2人の間に秘密はない

2人は誠実に話す


やがて、互いが結婚しても
そのやり取りは続く


『ねー言ったでしょ?
何にもしないほうが長続きするのよ』って語り合う


それは、誰を裏切っているのか
誰もうらぎってないのか


やがて
一番大切なものに気づく時が訪れる


そんなお話だった。



心理戦にも似た2人のやり取り
明け透けな言葉の裏にある感情の出所


男女の壁に挑んでる?
友情か愛か?


何が美しくて
何が悲しくて
何が『結ばれている』ということか


まして
倫理観を無くした沢山の人がいる中で
何が倫理なのか


人を思うって言うことは
男女を超えられるものかもしれないけれど


その周りの人の多くは
とても理解に苦しむのだろう


みな、それぞれの答えを持っているのかもしれないけれど
答えは決して最後の最後まで
自分でも分からないのかもしれない


どちらかの
命の灯が消えかかった時に
きっと自分の誠実さや正直さの
本当の在処にきがつくのでしょうね


と、思いながら
一冊の本を読み終えと同時に

ビリー・ジョエルの名曲
「オネスティ(honesty)」がグルグルし出した(笑)




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