湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

甘くない満月ケーキ

2021-03-18 12:55:00 | グルメ
孫娘が5歳の誕生日を先日迎えた。

プレゼントを送ったことで、
息子夫婦達は、その時の孫娘の喜ぶ様を動画に撮って送って来ていた。


お嫁ちゃんは、綺麗なデコレーションケーキを作ってあげていた。
嬉しそうな孫娘の顔
小さな口元から吹きだす息
蝋燭がなかなか消せないものだから
画面を見ているこちらまで
一緒に『ふぅ〜』と
息を合わせていた(笑)



そうそうと、、、。
思い出した。

息子が一歳の誕生日の日。
私達夫婦は、かなりひどい夫婦喧嘩をやらかした。

生死を彷徨う大病を超えて
一歳を迎える息子の誕生日にと
私がケーキを焼こうと意気込んでいたときに、
そんなに一生懸命、一体何になる?とばかりに
幼い子を見ていてくれない相方との言葉のバトル。

田舎ゆえ、素敵なケーキ屋までの道のりは遠く、せめて、ケーキ屋さんが使っている乳脂肪分が多い生クリームを探しても、なかなかスーパーにはなくて
自分の車がなく
親戚、親も居ない中で
1週間の買い物を毎週一回しか出ていけない状況で誕生日の日を迎えた。


確か、スポンジのケーキを焼いて
冷ましてる間に、
私が車を出して買いに行きたいと言ったのだと思う。

しかし、返ってきたのは
辛辣な言葉だった。

何に、何故、そこまでして
生クリームを買いにいくのか、、。
何をこだわってる?

相方は、男性特有の拘りもなく、
私の思いを汲み取れずにいた。

どうしても、伝わらない気持ち。
泣いて訴えても
仕方なく、とりあえず買ってあった安い生クリームで間に合わすしかなかった。

一度は折れた
二度はない。そんな思い。

しかし、生クリームを攪拌して、ホイップしている時に
思わぬ言葉が相方から追加されたために
ブチっとどこか音がした。

憤った私は
相方に掴み掛かろうとした時
生クリームをホイップしてるハンドミキサーの線に手が思わず触れてしまって、ガラスのボール共々、
生クリームは、床に落ちて
粉々になり無惨なことになってしまった。

泣く泣く床に這いつくばって
それを片付ける私。


頭の中は
一歳の誕生日を普通にしたい!
それだけ
怒りは諦めに変わったけれど
それは、誕生日を祝うことは諦めではなかった。

生クリームを用意しなきゃ。

息子を抱えて、車に乗り込み
生クリームを買いに行った。

やっぱり、安い生クリームしかなくて、、、、。
その日こそ、田舎暮らしの切なさを感じたことはなかった。


しかし、時間もない。
また、安い生クリームを買って
帰宅してから、ホイップしてデコレーションした。


一歳の息子の誕生日は
そうして、投げ捨てらた気持ちを回収できずに、
なんとか『息子の一歳の誕生日』として、写真に収めることができた。


それからの誕生日は
自分では、デコレーションケーキは作っていない。
遠くても、ケーキ屋さんで頼むことにした。

娘の一歳の誕生日にだけ
私がデコレーションケーキを焼いた。
兄と同じようにしてあげなきゃ。
その思いだけだった。

それ以来、デコレーションケーキは焼いてないことになる。


ちょっとしたトラウマ的な気持ちが生まれてしまったから。

それから町は少しは発展し
美味しいケーキ屋さんも
あちこちできて来ていた。

それまで、反対に
田舎暮らしは、何もないから
なんでも自分でやってしまう、作ってしまうと言うことも言えて、
子供達のおやつを兼ねた簡単なケーキやシュークリームは、
数えきれないほど焼いたものだ。


子供達が幼稚園の頃
ママ友から教わった『満月ケーキ』


チーズを入れて焼くために
簡単なのに、少しチーズの塩気もあり、大人から子供まで食べられるからと、随分と焼いて来た。


今日、冷蔵庫の中には
ティラミスを作るつもりでいたクリームチーズの賞味期限が明日と迫っていた。


満月ケーキのレシピは、
もともと、プロセスチーズや
ケーキ用の無塩マーガリンを使う。

そこは、今まで焼いて来た回数の腕の見せ所。

プロセスチーズをクリームチーズに変え、無塩マーガリンを米油にかえ、しかも、砂糖を控えて
「きび砂糖」に変えた。
どうせならと、
薄力粉を全粒粉に変えて、久しぶりに焼いてみた。

我ながらうまく焼けたので安心。

誰にも邪魔されず、、、。

どうやら、私は
料理でも、お菓子でも、手芸でも
その作っている最中は、
集中させて欲しいと願うタチなのだと、作りながら再確認した次第(笑)


マドモアゼルいくこさん著書
『秘密のケーキづくり』




もう、なかなか手に入らない本。
メルカリでゲット!
ママ友から、教えてもらったものは置いてあるけれど、
元のレシピはこちらのもの。
かなり古い著書
しかし、この人のケーキレシピは、
いまだに人気がある。

何十年ぶりか
お世話になった先生に会った気分だった。

その中に出てくる『満月ケーキ』

プロセスチーズを入れることで、
お月さまの顔(月面)になる。




今回、変えたのは
小麦粉(薄力粉)→全粒粉
砂糖→きび砂糖50g
プロセスチーズ→クリームチーズ100g
ケーキ用無塩マーガリン→米油100cc








久しぶりの満月ケーキは
色んなことを思い出させてくれたようです。









この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 愛を知る県からの春 | トップ | 歯医者で溺れる、、、⁈ »
最新の画像もっと見る