湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

グーグルマップストリートビューより

2020-01-14 08:22:00 | 日記
時折、グーグルマップストリートビューで遊んだりしてる。

そして
自分ちの住所を入れてみたら
もうすでにない車が写っていた。

まだ、ここにあるのね。

亡くなった父の車だった。

折しも
ちょうど、5年前の今日の日記が
別のSNSで上がってきた。

リンクする気持ち。

今と5年前

もう、思い出の中に加えたから
グーグルさん!

新しく更新しにきてくださいな。

家の外壁も塗り終えたから(笑)

————————————-

ポタポタと音がするから
下に目をやれば
助手席のレザーシートの上に
落ちた涙がまあるくなって
所々に跡を残していた。
本当にポタポタと音がするんだ。
自分で泣いておきながらビックリして片づけの手を止めた。
父の車を数時間後に車屋さんが引き取りに来るため、父の私物を私が袋に投げ込んでいた時のことだった。

大事にしていたサングラスだったり、母と一緒にいつでも行けるように日帰り温泉のためにとタオル一式を詰めた袋が置いてあったり。
スピード狂の父は、警察の取り締まりを察知できるようにヒミツの機械を取り付けてあったり。
思い出の品々を見つけて袋に投げ込む度に涙が溢れた。
色んなものが置いてあったことは知っていたけれど、あえて触れずにきて、それから一度も使うこともなかったんだ。
そう思うと尚更、涙が自然と流れ落ちてくる。
父がこの車に、最後に乗ったのはいつのことだろうか?!


うちの父は車好きが講じて運転免許取得年齢の前から乗っていたらしい。
昔々のことである。
それこそ、自動三輪の頃からである。
よく遊び、よく家出をし、よく放浪した父にとって
自動車はかけがいのないもので
傍らには必ず自分の車があった。

それだけに年を重ねて
歩くのもままならなくなって
ここにきていつかまた乗れるだろうと希望を残して置いてあげたかったのに
無常にも任意保険の期限がきて
とうとう廃車することに決めるしかなかった。


バッテリーが上がるからと
時々は私が乗り出して維持はしてきたものの
とうに、年齢からくる衰えで、運転させてあげたくても、運転させられないのは分かっていた。
ただ、希望だけをつないでいた。


保険の期限をもって廃車するからいいよねと
告げた時には、父は一瞬、言葉を失い下を向き
涙をこぼしながら『うん』と言った。
『あなたには、もう車を乗り出すチカラはないのです』と突きつけてるみたいだった。


年を重ねるのはあまりにも残酷だ。
一つ、また一つ大事なものを奪っていく。
そこで悟りを開け!!
年寄りの自覚を持て!!と、私も強く思っていたのは事実。
しかし、下を向き、涙を流し『うん』と言った姿に
これ以上のものを奪うことはしたくないと思った。
黙っていても徐々に色んなものを時間が奪っていっているのだから。


これからが人生最終ゴールに続く道なのです。
長いのか、短いのわからない。
どれだけ手助けしてあげられるものか、満足できるものなのか、理不尽にも裁定していかなきゃいけないことも起きてくるでしょう。
一つ一つをこうして確認していくのでしょう。
見守っていくしかないのです。


まだまだ私はヒヨッコで人生の先輩方には頭がさがります。
こういうことも乗り越えてきた方々が沢山いらっしゃることも知っています。
私は、ものすごい勉強をさせてもらっているのです。
その方々の前、親の前にいて、より私は謙虚になれます。
有難いことです。










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2 コメント

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Unknown (minntoqoo)
2020-01-14 12:09:43
私の、父も工場移転の時、前の工場の解体が途中で止まってた時、「早く壊して、クレ」と涙を流して私に言ったことがありました。自分が働いていた工場が惨めな、形でまだ残ってたのが、我慢出来なかったのでしょう。父が亡くなり20年近くになり、私も同じ位の歳になり、息子に代変わり
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Unknown (chachananohana19)
2020-01-20 17:21:22
minntoqooさん
はじめまして。
コメントありがとうございます。
お返事、遅くなってしまいました。
そんなことがあったのですか。
現実を凝視できないことってありますよね。
胸がえぐられてしまうような感覚なのだと思います。
年を重ねるのは、時として残酷なこと。
なかなか難しいことです。
私も、いずれ、同じ立場になることだけ記していたいです。
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