ばあたんは老人性アルツハイマーの中期である。
症状はまあ穏やかな方だと思うのだが、
とにかく「待つ」ということができない。
例えば・・・
「トイレに行って来るね」と彼女に伝え、用を足し
ダッシュで部屋に戻ると
『たまちゃん(私)、何処にいってたの?(;_;)』
とべそをかく。
あるいは、エレベーターに乗るときに、
前の人が慣れない杖でもたもたしていると
『どうしていつまでも中に入らないのかしらね、あの人』
ごく素直にそして残酷に私に尋ねる。
ばあたん曰く、『何も分からなくて淋しいの』なのだそうだ。
祖父母宅に居る間、彼女は殆ど私から離れないし、
私も常に会話しつづけている。
だが、じいたんはそんな彼女を抛ったまま、
お茶の間の自分の椅子で、いびきをかくほど熟睡する。
毎日毎日、あるときは昼下がり、あるときは夕食後。
もちろん彼女は彼を何度も起こそうとするのだが、
彼の方は半ば確信犯で、決して眼を開けないのである。
私は私で、明日の予定や書類を作ったり、服薬チェックをしたりで、
傍には居ても、ばあたんに気合入れて構ってあげられない。
そんなとき、ばあたんは
遠慮がちに、そして少し不満げに、
小さな声で歌うのだ。
『○~○~ちゃん、何故寝るの~?』
↑じいたんの名前。
ちなみに曲は『七つの子』である。
(タイトルの曲です。)
それを聞くと私は思わず
書類を書き損じたり、粉薬を吹き飛ばしたりしてしまう。
何度聞いても笑ってしまう。そしてとても嬉しくなる。
だって、
これこそ皆が知ってる祖母の姿
そして、
こんなにユーモア溢れた、ブルーな気持ちの表し方、
健康な人でもなかなか出来るもんじゃない。
ばあたんはちゃんと生きている。
病気をしていても、私が分からなくても、
ばあたんは、ばあたんを全うすべく、今を生きているのだ。
命って何て力強いものなんだろう。
ばあたん、ありがとう。めっちゃ愛してる。
:::::::::::::::::::
あ、そうだ、最後に大事なこと。
じいたんがばあたんを、これ以上ないくらい愛し
大事に思っていることは、
孫の私が保証します。
症状はまあ穏やかな方だと思うのだが、
とにかく「待つ」ということができない。
例えば・・・
「トイレに行って来るね」と彼女に伝え、用を足し
ダッシュで部屋に戻ると
『たまちゃん(私)、何処にいってたの?(;_;)』
とべそをかく。
あるいは、エレベーターに乗るときに、
前の人が慣れない杖でもたもたしていると
『どうしていつまでも中に入らないのかしらね、あの人』
ごく素直にそして残酷に私に尋ねる。
ばあたん曰く、『何も分からなくて淋しいの』なのだそうだ。
祖父母宅に居る間、彼女は殆ど私から離れないし、
私も常に会話しつづけている。
だが、じいたんはそんな彼女を抛ったまま、
お茶の間の自分の椅子で、いびきをかくほど熟睡する。
毎日毎日、あるときは昼下がり、あるときは夕食後。
もちろん彼女は彼を何度も起こそうとするのだが、
彼の方は半ば確信犯で、決して眼を開けないのである。
私は私で、明日の予定や書類を作ったり、服薬チェックをしたりで、
傍には居ても、ばあたんに気合入れて構ってあげられない。
そんなとき、ばあたんは
遠慮がちに、そして少し不満げに、
小さな声で歌うのだ。
『○~○~ちゃん、何故寝るの~?』
↑じいたんの名前。
ちなみに曲は『七つの子』である。
(タイトルの曲です。)
それを聞くと私は思わず
書類を書き損じたり、粉薬を吹き飛ばしたりしてしまう。
何度聞いても笑ってしまう。そしてとても嬉しくなる。
だって、
これこそ皆が知ってる祖母の姿
そして、
こんなにユーモア溢れた、ブルーな気持ちの表し方、
健康な人でもなかなか出来るもんじゃない。
ばあたんはちゃんと生きている。
病気をしていても、私が分からなくても、
ばあたんは、ばあたんを全うすべく、今を生きているのだ。
命って何て力強いものなんだろう。
ばあたん、ありがとう。めっちゃ愛してる。
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あ、そうだ、最後に大事なこと。
じいたんがばあたんを、これ以上ないくらい愛し
大事に思っていることは、
孫の私が保証します。