教誨 著:柚月 裕子
まず、とても重い内容の物語。
【教誨】と言う言葉をはじめて知りました。
「教えさとすこと」だそう。
矯正施設で行われる、刑事収容施設法の第68条を法的根拠とする、教誨師と言う人が存在する。
物語は、ふたりの幼女、内ひとりは自分の子供を殺した女性の死刑が執行されるところから始まる。
その遺骨と遺品の受取人に指名された遠縁の女性が、死刑囚の生前を辿って行くことで、
死の間際に残した言葉の真相に近付いて行く。
暴かれていく、家族関係、生い立ち、周囲からのいじめ。
それらが事件を引き起こすまでの心情にどう影響したのか、読み解くことになりました。
「約束は守ったよ。褒めて」
受取り手のいない遺骨を受け取った因果から、主人公が結末を選ぶ姿が逞しい。
読み進むと、モデルとなった事件があったように思い出す。
調べてみると、秋田児童連続殺人事件。
脚色はされているだろうけど、しっかり取材された物語の様。
犯罪はもちろんいけない。
けれど、毒親やネグレクト、いじめが、世の中にはびこる罪が犯罪を生むことになる様な構成なのかも。
@ふると