あるマーケティングプロデューサー日記

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秘密尋問所 トレイシー収容所

2007-08-12 12:17:21 | インテリジェンスの歴史
こんにちは。

この時期になると,いろんなメディアで終戦特集が組まれます。

先日もNHKスペシャルで、『秘密尋問所トレイシー~日本人捕虜が語った機密情報~』を放送していました。

イージス艦のミサイル情報が日本側から漏れ、アメリカ軍の最新戦闘機の供給停止問題にまで発展している昨今、やはり情報戦の優劣が勝敗を決する現実を、日本はもっと歴史から学ぶ必要があるような気がします。

そういう意味では今回のNHKスペシャルの企画は非常にタイムリーで、かつ内容も充実していました。アメリカは物量だけでなく、情報戦でも日本を圧倒していたことがよくわかります。

サンフランシスコ郊外にあったトレイシー収容所。

そこはアメリカ軍でも一部の者しか知らされていなかった特殊施設で、太平洋戦争で捕虜になった日本人から機密情報を入手し、戦争の遂行及び終戦工作に活用していました。以下ポイントを列挙します。

■アメリカ軍は捕虜による情報収集を非常に重視していた
■捕虜を捕らえるとすぐ情報将校や日系二世の兵士が尋問を行っていた
■太平洋戦争でアメリカ軍の捕虜になった日本兵は約1万人
■前線で尋問され、より高度な機密情報を持つ2,000人の日本兵が移送された
■得られた機密情報の記録は、計1万ページを超える
■日本軍の暗号のルールも尋問によって入手されていた
■戦艦の装備も全て捕虜のスケッチで入手されていた
■日本国内の基地や石油備蓄所、工場についてもスケッチで入手されていた
■トレイシーで得られた情報は、アメリカ海軍諜報部と陸軍諜報部に送られ、国務省や戦時情報局、戦略情報局(※後のCIA)にも送られた
■日本海軍の捕虜に対する尋問マニュアルには、レーダー、機雷や魚雷、戦闘機、潜水艦などの兵器データを収集するように指示され、質問リストまで作成されていた
例、魚雷をいくつ積んでいたか
例、爆薬の重さはどれくらいか
■日本語の質問書も作成され、質問を正しく理解させる仕組みまで作っていた
■アメリカ軍がトレイシーで集めた日本の艦船の情報は、30隻を越える
■トレイシーはかつて温泉リゾートで、第二次世界大戦時にアメリカ軍が接収した
■尋問は一日20人に行われ、捕虜部屋は二人一組だった
■戦陣訓に縛られた口の堅い日本人捕虜に対しては、様々な手が打たれた
例、日本人が祝日としていた紀元節には宴会を開き、酒を与えた
例、二十歳を迎えた捕虜には誕生日パーティーを開き、アイスクリームとコーラを与え、トランプで遊んだ
■トレイシーでは40人の尋問官が働き、総勢100人を超えていた
■一番求められたのは“情報の正確性”で、確認が取れるまで何度もチェックされた
■部屋での捕虜同士の会話を盗聴し、尋問に活用していた
■名古屋の三菱重工業の工場では、日本の戦闘機の32%が作られていると分析していた
■名古屋出身の捕虜にB29撃墜能力を持つ雷電の組み立て場所まで聞き出していた
■上記の情報を元に、サイパン発のB2990機が名古屋の工場を効果的に爆撃した
■硫黄島での戦いで捕虜になった日本人には、“どうすれば日本は降伏するか”を優先事項として全員に尋問した
■トレイシーにいた尋問官は戦後戦略爆撃調査団として来日し、名古屋の三菱重工業の工場をはじめ爆撃の成果を調査した
■さらに政治家や財界人、一般市民4,000人に尋問を行い、爆撃の効果を分析した

秘密尋問所の膨大な記録は、アメリカ国立公文書館に保管されていました。ファイルの所在は殆ど知られておらず、今回の取材で明らかになったそうです。

アングロサクソンは歴史上、戦争に負けたことがないという話を聞いたことがありますが、彼らの強さの理由の一つはこういった情報戦略に非常に強いということがあると思います。

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