あるマーケティングプロデューサー日記

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第二次世界大戦ブックス発見

2008-03-12 23:02:03 | インテリジェンスの歴史
中学生の頃、近所の図書館で見つけ夢中になって読んだ本の一つに『第二次世界大戦ブックス』があります。

1970年に出版された名シリーズで、熱中された人も多いと思います。この本の大きな特徴は、元軍事関係者がその高度な専門性と豊富な客観的事実をベースに様々な軍事的局面を分析し、解きほぐしてくれるところです。

そんな本を、偶然オフィスの近所の古本屋で資料探しをしている時に見つけました。

このブログでは、この貴重な文献の面白い部分をできるだけ紹介していきたいと思います。

まず1回目は、『ドイツ空軍-ヨーロッパ上空、敵なし』です。

「はじめに」の章で書かれている、元ドイツ空軍中将アドルフ・ガーラントの指摘は秀逸です。

「第二次世界大戦中のドイツ空軍の活動を、簡単に説明するのは、容易なことではない。もしこの説明を、200ページあまりの本書に圧縮するとすれば、ドイツ空軍の重要な戦略的、戦術的概念と、戦争そのものの輪郭とを、記述する程度になってしまうであろう。

しかし、著者のアルフレッド・プライス英空軍大尉は、この歴史にとどめるべき重要な問題を、ゆたかな学識と適切な資料にもとづいて、よくまとめている。時には、冷酷ともみえる記述のなかに、筆者の体験による説明を随所に取り入れて、味わいぶかく魅力的な著作にしている。おそらく本書は、戦争の流れをよく知らない読者にも、あざやかな映像を、心に浮かばせるであろう。

ドイツ空軍のめざましい立ち上がりから、ヒトラーの電撃戦を可能にした初期の壮大な成功、そして、ついにはフランスにおける戦闘の終結まで、それはドイツ空軍の長い苦しみの歴史であった。

著者は、栄光から破滅へと、ドイツ空軍のたどった道が、上層部の指導力の欠如や指導者間の陰謀によるものかどうかの疑問はそのままにしているが、この問題を注意深く処理している。

著者は、ドイツ空軍の運命を左右したのは、その不死身と言われる神話を打ち砕き、経験豊かな優秀な搭乗員を多数失わせた英本土航空決戦(バトルオブブリテン)にほかならない、とみている。英本土航空決戦の結果に対する著者の評価は、基本的な原因のカギを明らかに見過ごしているけれども、次の二つの観点から見れば正しいと言える。

第一には、ドイツ空軍はドゥヘットの言葉を借りれば、“戦術空軍であって、戦略空軍ではなかった”こと。事実、ドイツ空軍は戦略空軍として使用された時は確実に失敗しているからだ。第二には、のちには航空司令官となるべき飛行隊の隊長や指揮官の多くが、“英本土航空決戦”で戦死してしまったからである。

著者は客観的で偏見のない説明を加えて、この本を魅力的なものにしている。
※中略

著者が述べている作戦行動は、技術の進歩と現代の核戦略理論にてらしてみれば、比較的古めかしい点はあるにしても、それは今なお生きている歴史の一コマであり、少なくとも、人々の関心を呼び起こすに足るものである。

その上本書は、さらに詳細な研究と批評的評価をうながす数多くの示唆を与えている。おそらく若いドイツの歴史家の何人かは、ここから、論議の筋道を拾い上げるに違いない。それは、極めて望ましいことである」

元ドイツ空軍中将という軍トップクラスの人物の言葉だけに、この言葉は説得力に満ちており、読む気にさせるには十分な迫力があります。

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