日本規格協会より、2015年第2回のQC検定試験から、あらたに発表される各級のレベルで
実施されることが発表されました。
2015年第1回(3月)は、現在のレベル表による試験になります。
どのようなレベル表が発表されるか、気になりますが、3月に受験を予定されている方は
現在のレベル表を十分に確認して準備を進めてください。
最近、各級とも合格率がかなり低下しています。これを高くする方向になるとは考えにくく
難易度が高くなることが予想されますので、受験を予定している方は、3月の試験で合格するように
十分勉強することをお勧めします。
第18回QC検定 2級問4の②を解説します。
厚さのねらい値を50〔μm〕 にできる可能性がみえてきたとのことで、この値は規格幅の
中央値になります。
現状の不適合品率は11.8%ですから、不適合品率を1/10 にすると1.18%です。
これは上限、下限の規格限界値をこえる確率の総和ですから、片側では0.59%になります。
標準正規分布表に照らすとz=2.52でP=0.0059 (0.59%)になります。
z=(x-m)/s を変形して s=(x-m)/z=(60-50)/2.52=3.968 になり、(13)の
選択肢は、(ク)の4.0になります。
この種の問題は2級ではよく出題されます。計算方法と標準席分布表の使い方に慣れて
おくことが大切です。
話は変わりますが、7日(金)にgoogle で『品質工学』 を検索したところ、
びっくり!技術情報を解説している私のホームページ版『QT Lab.品質・技術研究室』 がウィキペディアの『品質工学』 についで第2位に!
実はgoogle の検索機能には『パーソナライズ機能』 というものがあって、検索結果を
そのPC(その所有者)でよく訪問するページを上位にアップしてくれます。
現実は、40位から70位のあいだをふらふらしています。
先月下旬から、新しい書籍を執筆するための準備を始めたため、これに時間を取られてブログ更新がおろそかになっていました。
執筆準備のほうがすこしまとまってきたので、久々になりますが第18回QC検定2級の解説をしてみます。
今回は問4です。問題の内容は
ある会社で生産しているフィルムの厚さの規格範囲は 40≦ t ≦60〔μm〕 である。
破れが発生して歩留りが悪くならないように中央値の50〔μm〕よりやや厚めの52〔μm〕をねらっていたが、現実は、平均54〔μm〕、標準偏差5〔μm〕で製造されていた。フィルムの厚さは正規分布にしたがっているとして
① 現状での不適合品率は(11)%である。平均をねらい値にすれば不適合品率は
(12)%まで減る。
② 技術向上によってやぶれることがなくなったので平均を50〔μm〕にできるようになった。
このとき、標準偏差を(13)にすれば現状の不適合品率の1/10 にできる。
という問題です。
では、①の解説をします。
この問題は、平均;m と 標準偏差;s を使って正規化処理をし、その結果を標準正規分布表を使って検証する問題になります。観測されたデータをxとすると
z=(x-m)/s
で zの値を計算します。
zの値は(x-m)、つまり、観測値と平均の距離は標準偏差の何倍(z倍)になっているのか?を調べているのです。
標準正規分布表では標準正規分布でzの値を境界として、境界より大きい側の事象が生起する確率;Pがしめされています。
規格範囲は 40≦ t ≦60〔μm〕 ですから、フィルムの厚さの平均は下側限界まで
絶対値(40-54)=14〔μm〕 です。また、上側限界までは 60-54=6〔μm〕 です。
この結果を標準偏差 5〔μm〕 で割って、その結果を標準正規分布表に照らすと上側と下側の規格から外れる確率が求まります。
下側は z=14/5=2.80 で 標準正規分布表に照らすと P=0.0026です。
上側は z= 6/5=1.20 でP=0.1151です。このふたつの確率を足したものが不適合品率になります。
その結果、0.1177 となり、約11.8% ですから、(11)の選択肢は(ケ)になります。
ねらい値(52〔μm〕)にチューニングできたとすると、下側限界まで、12〔μm〕、上側限界まで8〔μm〕になりますから、
下側 z=12/5=2.40 で P=0.0082 上側 z=8/5=1.60で P=0.0548 になります。
その結果、不適合品率は6.3%となって、(12)の選択肢は(カ)になります。
②は次回解説します。
第18回QC検定 2級の合格率が、25%を切りました。3年ほど前までは50%程度はあったのに、驚きです。3級も50%程度でした。
2級はやはり問1でつまづいて時間が足りなくなった方が多かったのでは?と思います。
では、2級 問3の解説をします。問題は
原料特性のばらつきが前回調査のσ^2=1.1^2 と異なっているかを、有意水準5%で検定したい。有意水準5%で検定する場合、検定統計量は(7)となり、上側の棄却限界値は(8)、下側の棄却限界値は(9)である。したがってこの検定結果は有意(10)。
というものです。
検定の対象が分散自体に関するものである場合、実施すべき検定手法はカイ2乗検定です。
カイ2乗値という名前からその意味がとてもわかりにくいです。すこし雑ですが、カイ2乗は自由度の推定値と思ってください。
あるサンプル群から計算された分散;s^2 は、偏差平方和;Sを自由度;(サンプル数-1)で割った結果です。サンプル数をnとします。
母分散がσ^2 であると仮定した場合、サンプルから得られた偏差平方和;S をσ^2 で割ると
自由度;(n-1)に近い値になるはずです。
カイ2乗検定とは、S / σ^2 =(n-1)の関係から求めた自由度の推定値がある範囲に収まらなければ、そのサンプル群の分散;s^2 は仮定されている母分散の値とは違っている、という考え方になります。S / σ^2 で計算された結果を χ0^2 (カイゼロ2乗と読みます)とします。
帰無仮説:H0 は s^2 = σ^2 になり、χ0^2 = S / σ^2 の値がのカイ2乗値の5%や1%、それぞれの上限、下限範囲からはずれたとき、H0 は否定されます。
問題では、
S=12.0、σ^2=1.1^2=1.210 です。
χ0^2=S / σ^2 =12 / 1.210 = 9.917 になります。したがって、(7)はエ(9.92)になります。
今回の検定では、分散が大きくなっている、または、小さくなっている、ではなく、違いがあるか?という設問ですから、両側検定になります。
χ2乗表をみると、自由度が 9-1=8 のとき、両側5%の上限は、f=8、P=0.025のところに記されている値であり、17.53ですから(8)はカ になります。同様に、P=0.975のところに記されている値は、2.18ですから(9)はアになります。 2.18<9.917<17.53 ですから、H0は否定されません。したがって(10)はク(有意でない)になります。
H0 が否定されなかった結果、
「サンプルを抽出した母集団の母分散;σ^2 は1.1^2と違わない。」ではなく
「サンプルを抽出した母集団の母分散;σ^2 は1.1^2と違いがあるとはいえない。」です。
以上で第18回品質管理検定 2級 問3の解説を終わります。
今回は、第18回QC検定2級 問3の②について解説します。
問題は
H0:μ=μ0 H1:μ<μ0 (μ0=8.0)の検定を行いたい ・・・ が、原料のばらつきは前回のばらつき σ^2=1.1^2 をそのまま使っていいかは現時点ではわからない。(普通はこう考えるべきだと私は思います)
有意水準5%で検定するとき、検定統計量は(4)となり、棄却限界値は(5)である。したがって、この検定結果は有意(6)である。
というものです。『第18回品質管理検定 2級 問3 その2』 で、今回抽出した9個のサンプル平均;μ=7.0 で、偏差平方和;S=12であり、分散;s^2=12 /(9-1)=1.5 であることをしめしました。
前回の分散;σ^2=1.1^2であり、今回の分散;s^2=1.5≒1.225^2 であり、前回よりやや分散が大きくなっています。
問1ではs^2とσ^2 は違いがないとして解析しましたが、サンプルから計算するとこのように違いがでました。本当に違いがなかったとしても、サンプルから計算した分散は、σ^2(=1.1^2)のまわりでばらついた結果となることが予想されます。
このようなときには、標準正規分布の形態をもう少しすそのを広げたイメージの t分布という分布で評価します。
自由度;fは(9-1)=8であり、そのときのの片側5%の tの値はt表より、1.860(P=0.1,f=8)です。これが(5)の答えになります。
基本統計量;t0 は、t0=(μ-μ0) / (s^2 / n)^0.5
=(7.0-8.0) / (1.5 / 9)^0.5=-2.44949 となり
小数点以下4位を四捨五入して、2.449になります。そして、t0>t(片側5%)ですから
この検定は5%有意となり、帰無仮説H0 は棄却されます。
以上より、(5)の選択肢は(イ)、(6)の選択肢は(オ)、(7)の選択肢は(キ)になります。
一般的な品質管理では、問1よりも問2の検定を先に行うべきだと思います。
次回は③の解説をします。