QT Lab.品質・技術研究室

技術者のための品質工学、品質管理、統計学、機械設計、信号処理を
解説します。

調和平均の有効性

2017-08-24 18:48:58 | 品質工学

昨年 『調和平均のはなし』 で、調和平均は平均の特性だけでなく、
ばらつきの指標にもなることを紹介しました。

現在、業務である特性をもつ集団の判別のためにMT法を使う方法を
開発しています。
集団の ”平均” と ”標準偏差” を2項目として単位空間を設計し、
判別を行う仕組みです。この2項目でも十分に有用な判別システムが
構築できています ・・・ が!

夏休みに ”標準偏差” のかわりにばらつきの指標として ”調和平均” を
使うとどうなるのだろうか?と思い、今週はじめから検討と確認を
しています。

その結果、”標準偏差” を使った場合よりも格段に判別能力が向上
しました。 

なぜ?と考えていたのですが、今日、その理由についてひとつの仮説が
浮かびました。

異なる特性の独立した複数の集団からサンプルを取りだし、その平均と
標準偏差を計算した場合、平均が大きい集団ほど、その標準偏差も
大きくなる、ということはありません。
集団間で平均と標準偏差はそれぞれ独立しているからです。

平均と標準偏差が独立している場合、複数の集団の平均と標準偏差は
無相関になります。つまり、相関係数は0にごく近い値になります。

MT法では、マハラノビス距離を計算するとき、項目間の相関係数を
使います。そして、相関係数が大きいほど、排他性の高い、つまり、
検出能力が高い単位空間が構築できます。

したがって、平均と標準偏差を使った場合、相関係数が小さいので
検出力が低くなります。

では、”調和平均” はどうでしょうか? 当然、算術平均が大きくなる
場合、調和平均も大きくなります。 つまり、相関係数が1に近い値を
とります。

その結果、標準偏差を使うよりも、調和平均を使ったほうが、検出力が
向上するのではないか、というのが本日思いついた仮説です。

この考えについてご意見などをいただけましたら助かります。

よろしくお願いいたします。

 

 

 








 


y=βMでのご質問につきまして

2017-08-08 19:22:31 | 品質工学

先日、『y=βMという記述に隠された田口先生の思考』 という過去の記事について、
答え合わせをしたい、という学生さんからこの記事に対してコメントをいただきました。

まだ、品質工学を初めてわずか2週間という方です。そのコメントに、私はほんとうに
感服いたしました。

すごい探究心と洞察力を持たれた学生さんです。

ぜひ、これからも議論させていただきたいので、非公開にしますからコメントで
連絡先を教えてください。

よろしくお願いいたします。

回答は、私の考えとしては前者です。