QT Lab.品質・技術研究室

技術者のための品質工学、品質管理、統計学、機械設計、信号処理を
解説します。

FFT重心監視による異常信号の検出

2016-06-26 09:23:53 | 品質工学

 今回の品質工学研究発表大会で、音響や電力などの信号を検出し、
その信号を加工してからMTシステムで判断することで、その信号の
発信源の状態の異常を検出するという案件がいくつかありました。

 すべての発表を聞きたかったのですが、プログラムの関係で2
件だけしか拝聴できませんでした。

 私は過去、音響・振動の信号をFFTで周波数‐パワー成分に変換して
そのスペクトルの重心をFFT線図上に表示することで、定常不規則信号で
あっても、信号発信源に変質がなければ重心はある範囲でおさまり、
信号発信系が変質すると、重心がシフトすることに気づき、この現象を
使って音響診断をしようと考えました。

 残念ながら音響診断の技術開発が中止となってしまいました。
 
 重心は2次元座標で表現されます。そのため、2項目という最小の項目数で
MT法で評価できる、と気づき、LabVIEWを使い検証シミュレータを作成
しました。

 そして、この検証の結果、かなりの高精度で信号発信源の異常を検出
できることがわかり、一昨年からいろいろな地方研究会で紹介させて
いただきました。

 なかには、とても興味を持っていただき、すでに品質管理の検査工程に
組み込むことを検討していただいている案件もあります。

 さて、今回私が拝聴した異常信号検出に関する発表のうちの1件で、
いくつかの項目のうちのひとつにFFTの重心情報を使っている、ということを
教えていただきました。

 一昨年、浜松品質工学研究会でFFT重心の案件を発表したのですが、
その内容に興味を持っていただいた企業様でした。

 とてもうれしく思いました。

 発表会場では、何人かの方に、拙書でMTシステムを勉強した、という声を
頂戴し、こちらもとてもうれしかったです。

 さて、昨夜妻が外出したため、ひとり飯でした。
 近くのスーパーで、千葉のカツオがサクで大量に販売されていました。
 そのなかに、いくつか、皮つきがありましたのでよいものを選び購入、
刺身にしました。
 
 あと、静岡県西部では一般的な食材、ナガラミという巻貝と、枝つきの
枝豆を購入し、ひとり飯の開始です。

 刺身の薬味はミョウガ、大葉、ニンニク(すりおろしとスライス)です。
  ↓ こんな感じ



あとは、ビールといいたいのですが、発泡酒と焼酎のホッピー割りで
おいしくいただきました。

 


 

 


QES2016 発表内容

2016-06-20 21:09:55 | 品質工学

 いよいよ今週の木、金曜日、QES2016 が近づいてきました。

 今回、私が発表する内容は
『パラメータ設計の要因効果を一目瞭然に可視化する方法の提案』 です。

 通常、パラメータ設計をL18直交表にのっとって実施し、得られたデータを
解析すると、おなじみの感度とSN比の要因効果図が得られます。

 ここには、23個(2水準+7×3水準)の要因効果情報が可視化されます。

 現代はPCが使えます。この感度とSN比の23個ずつの要因効果から
4374通りすべての組み合わせを推定できます。

 4374組の感度とSN比を、感度を横軸、SN比を縦軸に散布すると
いろいろな使い道が生まれます。

 このような内容の発表です。

  さて、先月横浜港に珍客が・・・


岸壁すぐそばまでアカエイが近づいてきました。



しっぽの先まで1mくらいのサイズでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


人間の性(さが)

2016-06-03 20:51:05 | 日々徒然

 せこいくせに贅沢したがる知事さんが話題ですが、世の中、ほんのちょっとした
ことをビジネスチャンスととらえて、常識では考えられない行動をとる人がいます。
 また、その人のたくらみにみごとにひっかかる人もいます。哀しいことですが・・・

 赤紫蘇の塩漬けを粉末にしたふりかけを、ペンタイプの容器につめて、企業ランチの
ごはんのお供用として商品化された”ゆ〇りペン”というものが、ヒットしました。

 極端な品薄になったところで某通販サイトで定価の3倍から5倍の値段をつけて
販売をし始めたのですが、これを買っちゃう人たちがいるんですね。しかも、☆5つ
つけちゃったりして。

 某飲料メーカーが既存商品のパッケージを替えて ”ももクロコラボヴァージョン”を
発売したところ、モノノフが買いに走り、結果品薄。同じ通販サイトで、一時定価の
4倍で販売していました。

 モノノフは良識人が多いのでこのような商品は黙殺します。そのため、最近は
定価の1.5倍程度まで値崩れしています。

 私の住む街や会社ちかくのスーパーマーケットでは通常に販売されています。
しかも、定価よりも安く。

 こんな商品です。

 この子たちをステージ(冷蔵庫)にたててあげると、こんな感じ

            

 さて、基礎工事不正があった横浜のマンションがほかの棟も含め、全部立て直しに
なります。以前ブログであげたように私の同僚もこのマンションに住んでいます。

 彼から聞いた情報ですが、販売した不動産会社が、建て替え中の仮住まいの家賃を
30万円まで補償する、引っ越し費用は30万円まで補償する、という発表をしました。

 いま、彼が住んでいる街の賃貸物件は、どんな間取り、築年数の物件でも家賃が
30万円になっているようです。引っ越し業者も一律30万円だそうです。

 学校や職場の関係でその近隣にしか仮住まいできない家族が多いのです。

 ビジネスチャンスととらえたのでしょう。

  「戦争と人間」という映画では、昭和10年に永田軍務局長を斬殺した相沢中佐が
庶民がこうむる理不尽(農村の娘が売られる)を目にしてから、この事件をおこす、
という映像暗示があります。

 歴史はくりかえす。今、政治的にも、社会環境的にも昭和初期ととても似ている
ような気がします。

 治安維持法、に似たような法律、できましたよね。そのうち国家総動員法に似た ・・・ 

 


調和平均のはなし

2016-06-01 04:20:29 | 品質工学

 先々週、品質工学を通じて懇意にしていただいている技術者の方とメールで
いろいろな情報交換をしたのですが、そのときに思い出したはなしをひとつ。

 片道20kmの道のりを、往路は時速5km、帰路は時速4kmで往復するとき
全体での平均時速は何km/h になるでしょうか?

という問題を解くとき、調和平均という概念を使うと簡単に計算できます。

 n個のデータの調和平均;dm は、各データをdiとすると

  dm = n / (1 / d1 + 1 / d2 + ・・・ 1 / dn ) 
 
で計算できます。上の問題の場合、

   Vm = 2 / ( 1 / 5 + 1 / 4 )= 2 / ( 0.2 + 0.25 ) ≒ 4.44

になります。往路は4時間、復路は5時間かかるので20×2=40km を9時間で
歩くことになるので、40 / 9 ≒ 4.44 km/h
となって、調和平均の計算結果と一致します。

 さて、ここで往路、復路とも時速5km/h の場合 Vm=5km/h です。
往路が時速6km/h 復路が4km/h の場合 Vm= 4.8km/h です。
往路が時速8km/h 復路が2km/h の場合 Vm= 3.2km/h です。

 ここで注目してほしいのは、いずれの場合も算術平均を計算すると V=5km/h
ということです。

 算術平均が同じであっても、調和平均はもととなるデータのばらつきが大きいほど
その値は小さくなる、という事実があります。

 んッ?ばらつきが大きいほど値が小さくなるとは、SN比そのもの!

 つまり、算術平均は感度がわりに、調和平均はSN比のかわりとして使えるのです。

 2年前、私の尊敬する品質工学の大先輩にこの事実を教えていただいたとき、
大感激したものです。

 さらに、データのばらつきがゼロの場合、田口のSN比は計算不能になるのですが
調和平均は算術平均と一致して最大値をとる、というとても便利な性質があります。

 現在進めている会社の業務で、この性質はとても有効で重要なので、早速、
活用するつもりです。