現在、個人的な趣味で汎用性の高い信号処理ソフトウェアを、日本ナショナルインスツルメンツ社のLabVIEWで制作しています。
一般的に信号処理を行うにはマイクロフォンや加速度ピックアップのアンプ増幅後の電気信号をADコンバータで量子化した後に
PCにとりこみ、専用の信号処理ソフトウェアで目的の信号処理を行います。
多くの場合、フィルタ処理と周波数分析が目的の信号処理になりますが、ADコンバータは高価であり、自分で購入することは
なかなか難しいというのが現状です。
ほとんどのPCはマイクロフォンジャックがついていて、そこにミニピンジャックつきのマイクロフォンを挿せばPCで音響信号を
録音することができます。そして、録音された信号はwindows7以降wmaというファイル形式で保存できます。
ただし、このファイル形式はとても使い勝手が悪いです。
windows7以前のサウンドレコーダで録音するとwav形式のファイルで記録でき、こちらは再生時にいろいろなエフェクタが
使えてとても便利でした。フリーソフトウェアで現在のwindows10でもwav形式で録音できる使い勝手のよい音声記録ができる
ものがあります。
こちらを使ったり、wma形式からwav形式に変換できるサービスを使って音響信号などをwav形式で記録することで、
その信号に対して、フィルタリングや周波数分析ができるツールができました。
↓の図がそのソフトウェアのメイン画面です。画面は0.75秒間で0Hzから10kHzませ漸次増加するchirp信号に対しての
処理をしたものです。
chilp信号全域のFFT結果(右上)に対して、5色で示した帯域を阻止するフィルタリングの結果が左下の線図です。
そのFFT結果が右下の周波数線図です。線図中のx座標、y座標は周波数線図の重心です。緑の●でも図示しています。
また、全体領域の周波数分析だけでなく、時系列の周波数変化が表現できるSTFT(ショートタイムFFT)も実行できます。
↓の図の右下画面
そして、その結果を3Dで表示することもできます。
さらに、処理対象信号から時系列に任意の領域のみを取り出してその部分についてのフィルタ処理、周波数分析、重心計算、MT法による判別も可能です。
対象信号は加速度ピックアップ信号をアンプで増幅した後、ピンプラグでPCに取り込むようにすれば、振動の信号処理も可能です。
また、Excelで作成した数列を信号としてcsvファイルで保存し、それをwavファイルに変換すれば、処理対象信号として扱うことも可能です。
そして、このツールのめだま機能がFFT重心をMT法で監視できることです。
上の図は処理対象のchirp信号について250~400msec の区間を50msec間隔で抽出し20個の周波数分析結果の重心を単位空間として作成しました。
そして、0~50msec を1個目、10~60msecを2個目・・・として移動し、その周波数分析結果の重心位置履歴を表示した結果が図5です。
MDが3(5%有意)~4.6(1%有意)であれば黄色でプロット、4.6以上は赤でプロットしています。
単位空間は3.5~4..0kHz(250~300msec)から4.8~5.5kHz(350~400msec)です。自動で連続的に移動させながら観察することができます。
このような機能を実装していますので、いろいろな局面で利用できるツールになるものと思っています。
3月24日に日刊工業新聞社東京本社で開催される 『品質工学 MTシステムの習得と音響診断技術への応用』 セミナーで無償で提供いたします。
このツールについての取扱説明もセミナー内で行います。