QT Lab.品質・技術研究室

技術者のための品質工学、品質管理、統計学、機械設計、信号処理を
解説します。

第18回QC検定 2級 問3 の解説 その1

2014-09-24 20:41:01 | 品質管理検定

 第18回QC検定2級の問題で、問2はサンプリングの問題ですから特に解説の必要はないと思います。

 問3の解説をします・・・が、まず、品質管理検定の受験用参考書では、あまり、というか、ほとんど十分な解説がなされていないとても重要な統計学上の定理を理解する必要があります。

 それは、『中心極限定理』というものです。これを理解することで、次回解説する、母集団の分散を推定するときに、サンプルで計算した偏差平方和;S をサンプル数-1、つまり、n-1で割るのか?が納得できると思います。

 中心極限定理とは・・・?統計学的に厳密な解説ではありませんが理解しやすいことばで説明すると
  母集団がどのような分布であれ、その分布が連続していれば、「その集団からn個のサンプルを取り出し、その平均:xi_bar を求める」、という行為を多数回くりかえして平均の群を作ります。nを大きくしていくと、その平均の群の分布は正規分布にしたがいます・・・①

 矩形分布であろうと、バスタブ分布であろうと、母集団の分布が連続していれば、この性質が成立します。当然、母集団が正規分布にしたがうのであれば、n=4 程度でも成立します。

 そして、その平均群の平均(xi_bar)_barは母集団の平均:μの推定値となり、その
平均群の分散:s ^2は母集団の分散:σ^2のn分の1、つまり、s^2=σ^2 / n に近づきます。・・・②

 このようなおどろくべき性質があるのですが、いくら本を読んでもなかなか理解できないと思います。実際に実験して体感するのが納得の早道です。

 この定理、というか性質を体感できる実験ツールをExcelで制作しました。これをこのブログにアップしようと思ったのですが、gooさんのブログではExcelファイルなどをアップできないようです。(もし、できるのならどなたか教えてください!)

拙書『めざせ!最適設計 実践・公差解析』 を購入していただくと、このツールがダウンロードできるのですが・・・

 いずれ、ホームページ版 『QT Lab. 品質・技術研究室』 の引っ越しが済んだら、なんとかします。

 本日はここまでにしますが、問3を本質から理解するためには中心極限定理について少し勉強する必要があることをご理解ください。 次回から解説をします。

 


第18回QC検定2級 問1の解説

2014-09-23 13:57:47 | 品質管理検定

 前回のブログでも書きましたように、第18回QC検定2級の問1はあまり良い問題とは
いえません。なぜならば、本当にまじめに品質管理を行っているのであれば、この問題の
ような場面は発生しないからです。

 問題は転載禁止なので、問題の概略を書いたのちに解説をします。

《 第18回品質管理検定2級 問1》 
 ある工場で生産されている部品は設置時期が異なる2台の同じ機械で生産されいる。
1号機で生産した部品を n1=10個のサンプルをとり、その特性値として x1~x10の
データを得た。
同様に2号機で生産した部品を n2=8個のサンプルをとり、その特性値として y1~y8の
データを得た。

 両データから基本統計量を計算し、1号機生産部品の特性値の平均:mx(原本では xbar)
偏差平方和:Sx、2号機生産部品の特性値の平均:my(原本ではybar)、偏差平方和:Sy
を求めた。

 n1=10 mx=6.4 Sx=26.40  n2=8 my=5.5 Sy=18.00

 ‐問題‐
 生産機械は1号機、2号機とも同じ機械であるから、両者のデータを混合した統計量を
求めたい。
(A) 1号機のサンプルと2号機のサンプルは数がちがうので
   重平均:mw を計算する式と値を求めなさい。(重平均が正解)

(B)両者を混合したときの分散:V を計算する式と値をもとめなさい。

 という問題です。(A)はまだしも、(B)はまったくナンセンスな問題です。なぜなら、
こんな回り道をしなくても、品質管理がしっかりなされていれば、x1~x10、y1~y8の
データは記録されているので、この18個のデータから直接 V を計算すればよいからです。

 品質管理の知識や経験を問う問題ではありません。問題制作者の問題制作意識がずれて
いるように感じます。

 では解説します。
(A) 小学校で学習したように、基本的に平均と平均を使ってそれらの全体平均を計算しては
  いけません。ただし、データ数が同じ場合は計算結果は一致しますが、思考としては
  正しくありません。

  では、どのように計算するのか?ですが、平均とは複数のデータ群の中心付近を
  推定するための指標です。
  平均の計算は、データの総和をデータ数で割ります。
  この問題では、x1~x10の10個のデータの平均:mx とy1~y8の8個のデータの
  平均:myの18個のデータの平均を求めるわけですから、全データの総和を
  データ数(18個)で割ることになります。

   x1~x10の総和は:Σxi は mx=Σxi÷n1 ですから Σxi= n1 mx になります。
  同様に、y1~y8の総和:Σyi= n2 my になります。

   したがって、全体の平均:mwは ΣxiとΣyi を足したものを n1とn2 を足した値で
  割ればよいことになります。
これを式にすると、mw=(n1 mx+n2 my)/(n1+n2)になり、問題(1)はウ
  になります。
   問題(2) もウになり、その計算結果を問う問題(3)もウ(6.00)になります。

(B)問題には V を計算する式の途中までが記載されています。実はこれがクセモノです。
  その式を記載しますと

   V={Σ(xi-mw)^2+Σ(yi-mw)^2} / (n1+n2-1)
    ={Σ(xi-mx+mx-mw)^2+Σ(yi-my+my-mw)^2} / (n1+n2-1)

  となっています。そして、この式をこのまま変形させていくととんでもない時間と
  労力が必要となります。

   ここで、xi-mx をX、mx-mw をA  yi-my をY、my-mw をB とおきます。
   すると、2行目の式は

   V={Σ(X+A)^2+Σ(Y+B)^2} / (n1+n2-1)となり、分子を
  展開すると

    ={ΣX^2+2ΣAX+ΣA^2 +ΣY^2+2ΣBY+ΣB^2}
  となります。 

   ここで、ΣX^2=Σ(xi-mx)^2 ですから、xiの偏差平方和:Sxになります。
   また、ΣAX=AΣXになります。AがΣの前に出る理由は、Aは変数ではなく
  定数だからです。
   
   ΣX=Σ(xi-mx)となるのですが、データとその平均の関係で、各データから
  平均を引く、つまり、各データの平均からの距離を求め、その総和を計算すると
  ゼロになります。ご自身で確認してみてください。

   つまり、{}内の第2項はゼロになります。そして、第3項は
   ΣA^2=Σ(mx-mw)^2= n1(mx-mw)^2となります。mx、mwともに変数では
  なく定数だからです。

   第4項から第6項も同様に考えると、
   
   V={Sx+Sy+n1(mx-mw)^2+n2(my-mw)^2}/(n1+n2-1)となります。

   したがって、問題(4)はウになります。そして、問題(5)はキ、その値を
  求める問題(6)はイ(2.824)になります。

 先にも書きましたように現実問題としてこのような計算をするシチュエーションは
 まず考えられませんし、このような計算方法をとるべきではない、と私は思います。
   


QC検定2級試験

2014-09-22 20:59:47 | 技術・エンジニア
 先日、日本規格協会さんに発注した第18回品質管理検定の試験問題が
手元に届きました。
 封筒を開いて偶然手に取ったのが2級の問題でした。
 さて、第1問をみると・・・あまりいい問題とはいえませんね。
 品質管理手法の計算知識を問うというより、数学パズルの問題ですね。

 第1問がこれでは、多くの受験者がかなり時間を消費してしまい、100問も
ある試験の時間が足りなくなってしまったことでしょう。

 この問題の解答も規格協会のホームページにアップされていますが、この答を
みても、なぜそうなるのか?を解決できた方は少ないのではないでしょうか。

 そこで、ホームページ版『QT Lab.品質・技術研究室』がgooさんに引っ越しする
まで、待っていられなくなりました。

 次回のブログから、第18回品質管理検定の試験問題の解説をはじめます。
 
 まず、2級、そして3級の『手法編』問題を解説しますので、ご期待ください。

 ところで、先週急にスパゲッティ・ミートソースが食べたくなり、日曜日に
つくるぞ、ときめたので、土曜日は燻製をつくることにしました。

 なぜかというと、ミートソースには牛ひき肉以外に、鳥レバーのスモークを
隠し味にすると、抜群においしくなるからです。

 せっかくスモークをするので、例によってスペアリブのスモークチャーシュー、
豚タン、味玉、チェダーチーズ、鳥手羽先などもスモークしました。







 豚タンは今回も絶品でした。

 スペアリブスモークチャーシューは妻に絶賛されました。

末廣家

2014-09-21 19:51:46 | 日記
 今週末は、横浜家系『吉村家』さん直系、公認の『末廣家』さんにいってきました。
自宅マンションから徒歩で50歩のところにあるラーメン屋さんです。
 今回は、チャーシューメンとニラからしなるトッピングを注文しました。
 まず、ニラからしが別の器で提供されました。



 これが、からくてとてもおいしい! そして、かなりの量があります。


 
 このラーメンとの愛称が抜群です。

 このラーメン、豚骨醤油のスープに中太のやや縮れた麺、燻煙されたチャーシューと
ほうれん草、そしてのりにきざみねぎという構成です。

 トッピングもとても豊富にあり、毎回ちがった楽しみ方ができます。

 一年ちょっと前に開店したのですが、一度でやみつきになり、常連の仲間入りさせて
いただきました。
 
 次回もこの組み合わせでいこうと思います。

ホームページ版 『QT Lab.品質・技術研究室』 の引っ越し

2014-09-18 21:00:54 | 品質管理
残念ながら、OCNさんの都合によりホームページ版 『QT Lab.品質・技術研究室』も
まもなく引っ越さなければなりません。ブログ版とおなじように”goo”さんの
お世話になりたいと思います。
 
 引っ越しでの混乱を避けるため、しばらく更新を停止していますが、引っ越しが完了したら
まず、QC検定のお役立ち情報の掲載を開始します。

 2級、3級の受験を計画されている方々を徹底的に支援していきます。

 実践編は暗記でなんとかなるので、手法編を徹底的に解説していく予定です。

 単に暗記するだけではなく、なぜ、そのような式が導き出されるのか?を
丁寧に解説していきますので、しばらくお待ちください。

 今後とも、よろしくお願いいたします。

 さて、この数日、会社までの50分間の徒歩出勤の際、「BABYMETAL」のベストアルバムを
聞いています。家をでて、更衣室につくころにちょうど「イジメ、ダメ、ゼッタイ!」が
始まります。
 
SU‐METALちゃんの歌声に癒され、あおられ、元気づけられる日々が続いています。

 1月には埼玉スーパーアリーナ公演があるのですが、参戦するなら、LEVEL2~4の
シートを狙えば?と会社の女子にいわれました。

 検討してみます。