一次式を習ったのは中学1年のときでした。
y切片のある1次関数の一般式は
y=ax+b と教わりました。
高校でもこの標記だったのが、大学に入って統計学を勉強したとき
y=a+bx のように傾きとy切片の記号が入れ替わって、
なんじゃ、こりゃっ! と思ったものです。
さて、品質工学の動特性に初めて触れたとき、基本機能が
y=βM と標記されていることで、面喰らいました。
なぜ、ゼロ点回帰式の傾きをbではなく、βにしてあるのか?
なぜ、入力量をxではなく Mなのか?
とても疑問に思ったものです。
βの意味は比較的早い段階で気づきましたが、信号因子の水準(入力量)を
あらわす変数にMをあたえたのか、に思い至るにはかなりの時間が
かかりました。
y=βM
このように標記されるシステムの基本機能。
入力される『エネルギ』、『物質』、『情報』が期待される別の『エネルギ』、
『物質』、『情報』に変換して出力するのがシステムのやくめです。
このときの変換効率がβです。
入力量をMと標記する理由は動特性の感度の真値の式
S=(Sβ-Ve) / r でVeを引く理由につながるのですが、このことに
気がついている人は、長年品質工学にたずさわっている人々のなかでも
それほど多くないのでは?と思います。
著名な先生が書かれた書籍では、Mを入力の真値としていますが、
たぶん、田口先生の説明を聞き間違えたか、誤解したのではないでしょうか。
入力量をMと標記する理由 ・・・ それは、計測工学の書籍を読めばわかります。
答え合わせさせてください。(計測工学どころか、書籍での技術的な資料にアクセスできない環境にいるので許してください。)
MとはMeanかMeasuredのMだと思いますが、計測工学を引きあいに出すということはMeasuredということでしょうか。これはつまり、入力は実際には関数発生器や何らかの計器で調整した信号であり、それによる誤差を含んでいる、与えているつもりである真値xではなく計測誤差や入力誤差を含む計測値x_Measuredということでしょうか。
そうであれば品質工学について入力変数が入力ではなく信号因子と因子の一つに含まれていることにも納得がいきます。
他方でMeanとも考えられる理由は、次の通りです。理想機能の立場に立てば、期待する出力から、入力値を決めることになります。この時、正側最悪と負側最悪のβのばらつきから、この入力値には幅が生まれます。二段階設計の第2ステップでβを期待する値に調整したとしても、この幅は残ります。実際に製品が使用される際は、この範囲に含まれる値で期待する出力を得ようとするでしょう。この時入力される値の集合の平均(必ずしも中央値ではない)を念頭にパラメータを設計することは有用だと思います。言い換えれば、顧客(製品の使い手)が毎回同じ入力しているつもりでも、実際にはばらつきがあり、設計をするときに考える入力とはあくまでその平均値に過ぎないと、頭の済みにおいて置く意味でも、x(変数)ではなく入力値のM(平均値)で表していると考えられます。
どっちなんでしょう?
本当に品質工学を初めて2か月なんですか!
すばらしい探究心と洞察力、感服いたしました。
私の解釈は、前者です。
ぜひ、品質工学についてこれからいろいろと議論させていただきたいと思います。
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