QT Lab.品質・技術研究室

技術者のための品質工学、品質管理、統計学、機械設計、信号処理を
解説します。

QT Lab.品質・技術研究室 室長よりお知らせ

2015-01-21 20:16:54 | 技術・エンジニア

 昨年末にホームページ版 『QT Lab.品質・技術研究室』を引っ越ししました。
 しかし、全然更新できていません。

 というのも以前のOCNさんにお世話になっていたときには、OCNさんが提供していた
ソフトウェアで、書きたい内容を自動的にHTML化することができていたのですが
今回からお世話になる『さくらネット』さんからはこのようなソフトウェアの提供がないためです。

 そのため、HTML記述を今、勉強中です。しかし、提供されていた制約の多いソフトウェア
よりも、自分の望みどおりのデザインや動作ができそうで、勉強も楽しくなってきました。

 少し時間がかかるかもしれませんが、がんばって、技術者をきっちり支援できるサイトを
めざしますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 さて、一昨日ですが、自分の著作 『目指せ!最適設計 実践・公差解析』がAmazonさんで
機械工学のベストセラー第5位になっていて、びっくりしました。もちろん、瞬間最大ですが。

 拙書をご購入いただいた方々にとって、少しでもお役にたつことができれば、幸せです。

 そして、品質工学の静特性、望目特性のSN比に関する問題提起について、いろいろな
先生方からご意見、ご指摘をいただき、私のなかでとても盛り上がってきています。

 懇意にしていただいているQE関係の方々にも、これからどんどん相談して、QEの発展に
すこしでも貢献できれば・・・と思う今日この頃です。

 ご意見・ご指摘をいただいているある先生がSN比についてこのようにたとえておられる
ことを紹介します。

 『SN比はレーダーである!』



 


『夢の浮世に咲いてみな』

2015-01-20 20:45:07 | 日々徒然

 とうとうKISSとももクロのコラボ 『夢の浮世に咲いてみな』 の楽曲とPVが公開されました。
 
 曲、めっちゃくちゃかっこいい。KISSサウンド全開!バリバリのベース、ギュンギュンの
ギター、そして、ももクロちゃんたちのボーカルとKISSのコーラス。

 SAMURAI,SUMO,GEISHA(まだ、こんなイメージなのか↓↓),そしてMOMOCLO を
イメージして曲を作ったそうです。

 当然、KISSのE♭チューンで展開します。

 PVもアメコミ風でもあり、4コマまんが風でもありのアニメからはじまり、KISSメンバー
つづいて、いろいろな武器で武装したももクロちゃんの実写映像、四股踏み、そして
最後にポールと夏菜子のタイマン!からぁ~のぉ ・・・

 ご興味のあるかたは、ぜひ、『夢の浮世に咲いてみな』で検索してみてください。

 しばらく、ちょっと私にとってのももクロちゃんとは違和感がある曲が続いていたのですが
昨年末の『Chi MAXX ZERO』 に続いて今回の曲、私にとってドハマリです。

 もうすぐAMAZONで予約したBLURAYつきCDが発送されるはずです。たのしみです。

 ところで、8.6秒バズーカーの「ラッスンゴレライ」とはなんなんでしょうか?

 筒井康隆先生の『マグロマル』 みたいなものなのでしょうか?


ゼロ望目特性のSN比について その2

2015-01-16 21:40:30 | 品質工学

 では、『ゼロ望目特性』の原理と計算式、そして、重大な制約条件について説明します。

 たとえば、旋盤で棒材を切削してある軸を多数つくるとき、その全長が10mmの軸と100mmの軸のように違いがあっても、同じ旋盤で同じ作業者が同じ環境のもとで加工すれば、『望目特性』評価の感度に相当する全長の10mmや100mmという長さ違いに関係なく、どちらも、標準偏差;s=0.1mmというような結果が得られることでしょう。『望目特性』評価では、当然、100mmの軸のSN比が20〔db〕(真値で100倍)高いという結果になりますが、これは合理的ではありません。

 ゼロ望目特性のSN比とは、正負の領域にまたがり、0(ゼロ)が理想値である特性を対象とした評価方法で、上の例では、図面指示の10mmに対して多数ある個々の加工品の寸法がどれだけはずれているか、つまり、偏差;εを評価の対象とするものです。

 さて、その計算式ですが、n個のデータ; x1~xn  が観測された場合、

    

 そして、Ve=Se/(n-1)という計算工程で誤差の分散;Ve を求めます。Veがゼロ望目特性のSN比の真値となります。SN比は大きいほどよいという思考をもとに、

  

と対数変換して表現します。

 教科書ではよくゼロ望目特性評価の一例として、生産する鉄板のそりをあげていますが、つぎの事例で考えてみます。

 鉄板を平坦に矯正するレベラーという機械が2種類あったとします。

 Aのレベラーで平坦加工前の表面が塗装された100枚の鉄板から無作為に4枚抽出して加工したとき、表面を上にして凸側をプラス、凹側をマイナスと表現して、(+2mm,+1mm,-1mm,-2mm)という結果が得られました。

 また、Bのレベラーで同様の加工をおこなったところ、(+2mm,+2mm,+2mm,+1mm)という結果になりました。

 どちらのレベラーよいかをゼロ望目特性のSN比で評価しますが、まず、直感的にどちらがよいレベラーだと思いますか?

 では、Aのゼロ望目特性のSN比を計算します。4つのデータよりSe=10となりVe=3.33になります。そして、対数変換したSN比は-5.23〔db〕です。一方、Bの場合、

 Se=0.75となりVe=0.25で対数変換したSN比は+6.02〔db〕です。つまり、Bのレベラーのほうがゼロ望目特性の値が大きくなり「Bのほうがよいレベラー」という結論になりました。

 いかがですか?違和感を覚えませんか?

 実は、Bのレベラーの結果に対してゼロ望目特性で解析をすること自体が誤りであるためです。
 ゼロ望目特性で公正に評価できるのは、対象とするデータ群が正負の領域にまたがり、その平均がゼロ(または、かぎりなくゼロに近い値)になるときのみです。Bのデータの平均は1.75(≠0)であり、ゼロ望目特性で解析すべきデータではありません。

 このように、理想値がゼロだからといってやみくもにゼロ望目特性のSN比で解析するととんでもない間違いをおかす懸念があります。特にL18直交表などでは、制御因子・水準の組みあわせによって、平均がゼロにならない実験も十分ありえます。このとき、ゼロ望目特性のSN比の要因効果を計算しても、その結果は正しくありません。

 では、「出力はゼロが理想値であるけれども、実験結果の平均がゼロにならない場合」どのような計算方法がよいか? 

に関するひとつの答として、データとゼロの偏差を解析対象とする分散も考えられます。これは、結果的にデータの平方和をデータ数;nで割った結果です。(n-1)ではなく、nで割るのは、データ平均との偏差の平方和の場合、自由度は(n-1)になりますが、ゼロからの偏差の場合、どのデータも自由に決めることができるので自由度はnになるためです。

 平均を使うと、結果として得られた平均で拘束されるため自由になるデータの個数はn-1になります。

 上の例では、Aの場合、Ve=2.5,SN比=-3.98〔db〕、Bの場合、Ve=13,
SN比=-5.12〔db〕となって、見かけ上Aのレベラーのほうがよい、という結論になります。見かけ上と書いた理由を次の例で説明します。

 上の例にくわえて新しくCというレベラーで加工した結果、(+2mm,+2mm,+1mm,+1mm)になりました。この結果からVe=2.5,SN比=-3.98〔db〕となり、Aと同じよさになります。はたしてAとCはおなじよさのレベラーと考えてよいでしょうか。

Aはそりの振幅(レンジ)が4mmです。一方、Cは1mmです。また、そりがプラスマイナス(凸,凹)がランダムに発生する可能性があるAに対して、Cはそりがプラス側(凸)だけです。そりをゼロにするための調整はどちらがやりやすいでしょうか。

 

この点を考えるとCのほうが優れている、という指標になってほしいのが実情です。

 

結論からいいますと、ゼロを理想とする特性を評価する場合であっても平均がゼロにならない場合は、望目特性のSN比で評価すればよいのです。SN比の真値をηとすると、

η=m^2 / σ^2 で計算します。

L18直交表実験である実験がm=0やσ^2=0になると計算不能になってしまいますが、そのときは、m=0.00001 や σ^2=0.0001 などの値を仮に置数すれば計算ができます。

 品質工学のユーザーにとっては、SN比の厳密な値がほしいのではなく、どの水準を採用すべきであるか?がわかればよいのですから。

 


ゼロ望目特性のSN比について その1

2015-01-15 20:54:15 | 品質工学

 前々回、望目特性のSN比に関する問題点を指摘しました。そして、その解決方法の
入口をつぎのブログでお知らせすると書きました。
 しかし、その後いろいろと調査・検討した結果、前回指摘した問題よりも重大な問題を
発見しました。この問題はかなり大きく根が深いので、もっと時間をかけて検討する必要が
あるため、報告にはもう少し時間をいただきたいと思います。

 そこで、今回は代打として『ゼロ望目特性』を使うときの注意を2回にわけて紹介します。

 品質工学の静特性評価において、『望目特性』、『望小特性』、『望大特性』、『ゼロ望目特性』という4つのSN比という評価指標が提案されています。

 パラメータ設計ではおもに『望目特性』を使って制御因子・水準の要因効果を評価します。

 評価対象となる出力結果(データ)が正の領域であり、その出力が小さければ小さいほどよい場合は『望小特性』のSN比で、その逆に大きければ大きいほどよい場合は『望大特性』のSN比で評価します。

 では、建築物の強度はどの特性で評価するべきでしょうか。当然、建物は頑丈であるほど、地震などの災害に強いわけですから『望大特性』のSN比で評価するべきであると思われるかもしれません。

 
 ここで、SN比は品質の評価指標であり、品質工学では、品質を『製品が出荷後、社会に与える損失である』と定義しています。製品が出荷された後、社会に与える損失とは、

 その製品に期待されている機能の発揮不全(ばらつきや故障)によりユーザーが被る実損失・機会損失、メーカー側での不具合対策、設計変更と改造・改図作業、設備や工程の修正、品質管理基準の見直し、そして、ブランド名の劣化などの損失、そして、公害です。

 「製品が出荷後」ですから店頭在庫、ユーザー購入と輸送、開梱、使用、廃棄までに生じる上記の損失の全体が社会に与える損失です。

 
 建築物の場合、廃棄とはその建物を壊して更地にすることです。このとき、『望大特性』のSN比で評価された結果の建物は強度が高いので建物を解体ためにコストが多くかかります。そのことまで考えると、建物の強度は『望大特性』ではなく『望目特性』で評価して、想定される地震に対して必要十分な強度をもち、かつ、なるべく安いコストで解体できる強度を狙うべきであることになります。

 『望小特性』、『望大特性』のSN比では品質工学のパラメータ設計のうまみであるチューニングができない、という点も弱点になります。

 
 さて、もうひとつ『ゼロ望目特性』のSN比は、場合によっては評価対象を都合よく評価できる指標であり、私も実務ではよく使っています。しかし、『ゼロ望目特性』のSN比には見落としがちな重大な制約条件があります。これを認識しないで『ゼロ望目特性』評価を実施すると、痛い目にあうこと間違いなしです。


 次回、ゼロ望目特性の考え方と計算方法、そして、重要な制約条件について解説します。


今年のウォーキング始め

2015-01-11 08:06:46 | 日々徒然

 2015年初となる土曜日の早朝ウォーキングにいってきました。
 比較的暖かい朝で、気持ちよく歩くことができました。

  臨港パークの潮入りの池に、日の出の10分前に到着し、アーチ橋の上で
日の出を待ち、今年初の日の出を拝みました。

 

  ↑ 日の出 3分前です。水平線にある雲が陽光で縁どられています。

  日の出 3分後です。 海面に移る光が私のほうに一直線に向かってきました。

  さぁ、今年も毎週歩くぞ!とつよく思いました。