品質工学のパラメータ設計で感度やSN比の要因効果をもとめる計算工程が
はらんでいる問題を提起することになるので、この内容を紹介することには
ためらいがありましたが、やっぱり有益な情報になると思いますので、
勇気をもって書きます。
今週、若い同僚がBlueToothによる機器間の通信特性を評価していました。
通信機器同志の方向と距離を変え、それぞれの組みあわせで数回ずつ計測し
その結果をまとめていました。
計測結果は計測器から出力される減衰率でdB(デシベル)表示でした。
彼は、ある条件で計測した複数の結果を算術平均してその条件での減衰率と
していました。
実はこの平均の計算には大きな間違いがあります。
解析対象が非常に広い範囲(たとえば0.001~10000のような)を取る特性を
評価するには10のn乗という指数表示にすると人間にとって認知性が高まります。
上記( )内の例ではnは―3~4 になります。
減衰や増幅の比率はこのnの値をB(ベル)という単位で表現します。しかし、
認知性の分解能を高くするために、nの値を10倍して表現します。これが
dB(デシベル)です。dl(デシリットル:100ml)と同じです。
さて、二つの増幅比があり、その平均が10dBであった場合、もとの二つの
デシベル値は、
①10dBと10dBの場合、②9dBと11dBの場合、③5dBと15dBの場合など
です。どの場合も平均は10dBになるのですが、対数変換する前の真値で考えて
みると、
①は10倍と10倍 ②は12.59倍と7.94倍 ③は31.62倍と3.16倍 です。
そして、その真値の平均は
①は10.00 ②は10.27 ③は17.39 になります。そしてこれをデシベルに
なおすと
①は10 ②は10.11 ③は12.40 となります。つまり、デシベルで表示されている
特性はそのまま平均してはいけない!ということです。
もし、平均を取る必要があるのなら、一度真値にもどし、それを平均し、対数変換
してデシベル表示にする必要があります。
同僚にこれを指導したところ、とても感動しているようでした。
そして、別の同僚もデシベル表示されている伝達関数の重心をもとめる作業を
していたのですが、彼にもこの内容を指導しました。
同源の問題をはらむ事象が2日つづけて起こったので、この内容は部内で
共有しようと資料作りをしています。
さて、今回の記事の冒頭部分、パラメータ設計の感度やSN比要因効果の推定は、
デシベル表示されている複数の結果の算術平均です。
パラメータ設計の場合、平均の対象となる複数の結果には問題となるほどの
大きな差はないので、まぁ、大きな問題はでないでしょうが、パラメータ設計の
要因効果の計算工程にはこのような問題があることを認識しておいたほうが
良いと思います。
さて、本日は毎年恒例のチャリティー番組の放送日です。
いつもウォーキングの帰りに通らせていただいている「日産自動車本社ギャラリー」
の通路からの画像です。
ここで、チャリティー番組のロケがあるようで、準備が進められていました。
証明の高櫓が2本くまれていましたが、そのうえで働いていた4名の技師の方は
みなさん女性でした。
櫓の横のモンキーステップを軽々と上り下りしていました。
黄色のTシャツも待機しています。