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QT Lab.品質・技術研究室

技術者のための品質工学、品質管理、統計学、機械設計、信号処理を
解説します。

機能バラシと再構成

2014-05-20 20:00:33 | インポート

 今度は温水便座の動作が怪しくなってきました。

連休明けごろから便座のふたをあげると、便座にすわらなくても

人間が便座にすわったときとおなじ動作をするようになり、

最近、その動作をしなくなったのですが、便座に座っても

人が座っていないと判断され、洗浄動作に入りにくい状況です。

少し体を動かしたりすると着座検知されて、洗浄モードに入ります。

 この温水便座は購入してから13年半たちます。

その間に今回とおなじ現象で2回修理にきてもらっています。

2回とも故障の原因は人を赤外線で検出する 『着座センサ』 

劣化でした。

また、便座のヒンジが破損して、ランドマークタワーにある、

メーカのメンテセンターに部品を買いにいき、自分で修理したことも

1度あります。

 前回修理をしていただいたとき、

「次回は新しい製品を購入したほうがよいかもしれませんね。」

といわれました。

また、その前のサービスマンの方から、この製品には温水噴射の条件を

判断するために、3つのセンサがあることを教えていただきました。

3つのセンサとは、

1.ふたが開いているか、閉まっているか、を検出するセンサ

2.便座が降りているか、あがっているか、を検出するセンサ

3.人が座っているか、いないか、を検出するセンサ

です。

 多くの製品でセンサは機能を制御するための計測・検出手段として

とても重要な部品です。

そして、意外とセンサ自体は他の部品に比べて脆弱です。

自分が設計などでかかわっている事務機もかなりの数のセンサが

使われています。

つまり、センサをひとつ減らすごとに市場品質は大きく向上する可能性が

あります。

 ちょうどこの頃、『設計アーキテクチャ』  『機能分解と再構成』 について

勉強していたのでこの便座の3つのセンサについて考察し、センサを

減らすことについて考えてみました。

 3つのセンサの目的機能は先にあげた内容です。しかし、なぜ

その機能を目的としているのか?を追求していくと、ひとつの

機能に集約されます。それは、

 『温水を噴射してよいか、否か?』 の判定ということです。

 温水を噴射してよいときとは、

1.ふたが開いていて、

2.便座が降りていて、

3.人が座っている。

時だけになります。

Photo_2

 ここで、ふたと便座の角度に注目してみます。

ともに閉まっているとき両者の角度は0°です。

ふたが開いていて、便座があがっているとき、

(このときは温水を噴射してはいけない条件)も、

両者の角度は0°です。

 そして、ふたが開いていて、便座が下がっているとき

(このときは温水を噴射する条件)は、両者の角度が

90°くらい開いています。

 ところで、便座があがっていて、ふたが閉まっている状態も

両者の角度は0°ではありませんが、便座の構造上、その関係は

成立しません。

 したがって、温水を噴射する条件は、ふたが開いていて便座が

下がっている、つまり、両者の角度が90°程度開いていることが

検出できればよいことになります。

 1.と2.のセンサを集約して両者の角度を検出するセンサひとつに

置き換えることが可能となります。

 当然、生産上も出荷後もセンサの数が減ったことで品質は確実に向上します。

 


クレームが発生するメカニズムについて Ⅱ

2014-04-17 21:50:31 | インポート

クレームが発生するメカニズムについて図のように考えることができます。



Photo_5 

横軸が出荷から経過した時間、縦軸が製品機能と市場環境・使われ方の想定される分布です。

設計者が自身で納得し、他者を説得するときにつかう設計マージンとは、設計時点における機能・性能の中央付近の値と、想定される市場における環境や使われ方の中心との距離のことです。この市場における環境や使われ方の中心は、その製品のことをもっともよく理解している設計者が生活している環境であり、設計者の使い方で想定している場合がほとんどです。

ですから、この設計マージンというものは非常にあいまいなものになります。

製品が完成し出荷検査を終わって入庫される直前において、製品品質の分布はもっとも急峻になっているはずです。
そして、設計マージンと呼ばれる距離も同様に最大になっているはずです。

入庫と輸送を経て製品は商品として店頭にならびます。しかし、この間、径時変化や輸送のストレスで製品品質の分布の中心は出荷直前のそれから変化し、しかも、ほとんどの場合、設計マージンが小さくなる方向に移動します。

また、分布も出荷直前よりすそが広がり扁平になっている可能性があります。

製品がユーザーの手元にわたって使用され始めると、時間が経過するごとに、分布の中心は設計マージンが小さくなる方向にさらに移動し、製品品質の分布はどんどん扁平になります。

そして、製品品質の分布と市場の環境、使われ方の分布が交錯したところでクレームが発生します。その領域のある位置でクレームが発生する確率は、分布の両者を基準化して標準正規分布に変換したときのそれぞれの位置における確率密度の積になります。

これが、クレームが発生するメカニズムになります。

では、なるべくクレームが発生しないようにするにはどうしたらよいでしょうか。方法はつぎの6通りになると思います。

1.設計マージンをもっと広くとる。

2.製品品質の分布をもっと急峻にする。

3.製品品質が時間経過で扁平化するのを極力防止する。

4.市場の環境・使われ方を制御する。(ユーザーの啓蒙)

5.製品自体が環境の変化をとらえ、自身のシステムを調整する。(自動制御)

6.環境が変化しても、乱暴な使われ方をしても、安定的な機能が発揮できるように設計する。

みなさんはどれがよいと思いますか?

品質工学は6.を目指します。

では、どうやるか? 
それは、『QT Lab.品質・技術研究室』 をご覧いただければ、ご理解いただけると思います。