「神様のカルテ」に登場する信州のフォトスポットを巡る「写真旅」。
「神様のカルテ2」に、こんな描写があります。
細君が長い撮影旅行から帰ったのは、今朝のことだった。
ゴールデンウィークとはいえ、朝8時前の松本駅は、さすがに静かなもので、
始発の飯田線普通列車が松本に到着すると、
降りてきたのは、細君一人であった。
・・・・・・
「高遠は、どうであった。」
「すばらしい桜でした。コヒガンはすこし色が薄くなったという人がいますが、
まだまだみごとなものです。
写真を撮るのも忘れるくらい。天下第一というのは本当ですね。」
◆高遠は、長野県の南部。伊那市に合併された、城下町。
城下町としては、700年以上の歴史を誇る鄙びた、いい味のある小さな町です。
古くから、小さなサイズの彼岸桜の名所として、高名で、
数多くの文学作品、映画の舞台としても登場してきました。
◆中央自動車道が開通して、東京からも、名古屋からもアクセスが向上して以降は、
その季節ともなれば、都市部からのお花見の観光客による混雑、渋滞が発生し、
この地方では、他に類を見ないほど激しいことが、有名になっています。
今回は、「桜の裏番組」といっては、失礼でしょうか、
高遠の隠れた魅力でもある、晩秋の紅葉の季節に、桜の名所、高遠城跡公園を訪ねてきました。
(撮影2015.11.3)
高遠城跡公園から、南アルプス方面を眺める。
(画面の天地のちょうど真ん中あたりの左から右へ引いたラインが「秋葉街道」になります。)
天気に恵まれ、秋も深まった11月。
高遠城跡公園には、美術館が併設。
約4か月後の開花を待つ、多数のコヒガン桜。
高遠美術館。
高遠城跡公園は、自然の起伏がそのまま生かされています。
高遠美術館から、高遠湖を見下ろす。
この日は、波ひとつ立たない湖面。、ダム湖特有のエメラルド色の不気味な沈黙。
高遠城は、山の地形を生かした山の城。
こちらは、高遠町の市街地方面。
美術館側からお城へのスロープ。
葉の落ちた桜の並木。裸の木々のフォルムが美しい。
本丸への入り口の石橋。
かえでの紅葉が見事。
こちらは春を待つ無数の桜の木々。
山門を取り巻く桜の木々。
満開の桜をイメージしてみてください。
紅と緑の色彩のハーモニー。
高遠城跡公園の案内図。
狭いようで、なかなか広大なお城の跡地。ご来園の際の参考にしてください。
高遠そば祭り。残念ながら、この日はもう閉店時間を回っていました。
こちらは桜の密集地帯。
春の風景をイメージしてみましょう。
帰り際に通った経路沿いのかえで。
この日最も鮮やかな紅。
高遠城跡の紅葉は、想像以上の感動がありました。
その空気感が、写真から、少しでもお伝えできれば幸いです。
長野県の南部に住む人の多くにとっては、
高遠の桜は、お花見にはいきたいけれど、あの混雑にあうのは、もうごめん・・・
といった気持ちがわきあがってくる存在です。
春はまた、悩ましい季節になります。
◆「神様のカルテ」に登場する、女流カメラマン・栗原榛名さんお勧めの「高遠」をご紹介しました。
高遠から飯田市への帰り道は、古道として有名な秋葉街道をなぞるような山岳ルートを選びました。
所要時間は中央自動車道を通る場合の約3倍。
まさに、けもの道という言葉がぴったり。日が落ちたなら、絶対通りたくないですね。
高遠町と下伊那郡大鹿村の境界にある分杭峠から、南アルプスの山々を眺める。
(冒頭の写真を併せてご覧ください。高遠城跡公園とこの写真の撮影ポイントの位置関係がご理解いただけます。)
ここは、まさに、秘境。激しい山の中です。
近い将来、このあたりの地下深くをリニアモーターカーが通過する予定の地域でもあります。