美容室グレープス (飯田市) 店長&スタッフ・ブログ

飯田駅アイパーク広場前「美容室グレープス」(グレープス.com)のブログ。 
本店「スズキ美容室」(飯田市)の話題も。

着物で、セレモ二ー ⑨ 振袖花嫁・色直し「ドレスヘア」

2017年11月26日 | 着物で、セレモニー

Presented by  グレープス.com  and スズキ美容室.com 

and  スズキ美容室・訪問サービス.com  (長野県飯田市)

2回目の「色直し」では、洋髪にチェンジ。

ドレスの花嫁スタイルで人気のアップヘアでもある「おだんごヘア」風に、

頭の上にまげを結い、ティアラ風アクセサリーを飾りました。

 

 2回目の色直しと書きましたが、

こちらのスタイリングは、「披露宴」での花嫁としてのメインスタイルとして、プランニングしています。

着付は、「お引きずり」。

懐剣、ハコセコをそなえ、花嫁としての格式を表現しました。

一方で、

ドレスヘアに呼応するように、ブーケをあつらえました。

 

振袖の素材(シルク)、格に負けないよう、

しかし、花柄の振袖とケンカしないよう、

やさしいトーンのブーケが理想です。

しかし、こんな難しいオーダーは、受ける側も大変です・・・。

「染の花」の小島博子先生にお願いしました。

 

ご覧ください、上質なサテン製のブーケであるだけでなく、

ファッション的にも、優れていることが振袖花嫁の小物の必須条件です。

きものの花柄とは調和が難しい生花は使用しません。

 

お引きずりの洋髪・振袖花嫁。

このシルエットから、

洗練された女性らしいマーメードライン  ※1 が浮び上がってきませんか?

 

つづく。

※1 マーメードライン

 

 

 


着物で、セレモ二ー ⑧ 振袖花嫁・色直し「ミスからミセスへ」2

2017年11月24日 | 着物で、セレモニー

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◆「婚礼色直しの図」 歌川国芳図(1847)

 

 

「・・・白無垢の衣装を着替えているのは、式三献、三々九度の儀式が済んだ花嫁で、これから色物に着替えるところであろう。髪型も島田髷から丸髷 ※1 になって、若妻らしい華やかな模様の衣装が衣桁に掛っている。・・・」

「江戸300年の女性美 化粧と髪型」 村田孝子著 ※2 

に掲載された、「婚礼色直しの図」 の解説文より抜粋

 

※1 丸髷     既婚女性の代表的髪型

 

※2 

「江戸300年の女性美 化粧と髪型」 村田孝子 著 

ポーラ美術研究所シニア研究員

江戸美粧研究の第一人者、村田孝子先生のライフワークともいえる分野の著作。

★ 結婚式を手掛ける美容師さん、衣装屋さんにとっては、必読の書です。

 

◆◆◆「色直し」とは、・・・◆◆◆

外国の結婚式では、ほとんど例がないといわれている、日本特有の文化ともいえる「色直し」。

このページの冒頭では、

その起源に迫る貴重な江戸時代の浮世絵をご覧いただきました。

 

今回の連載での「色直し」では、

この江戸時代の「色直し」のコンセプトをまさに再現してみました。

◆写真左 「結婚式での髪型」

結婚式の儀式での髪型は、「高島田」。まげの位置は、文字どおりハイ・トップ。未婚女性の髪型。

◆写真右 「披露宴での色直しの髪型」

色直し後の髪型は、ミドル・トップの高さにまげの位置をとった「シニヨン」。

現代のきものヘアのセオリーからすれば、比重を下に置いたこのシルエット ※3 は、バリバリのミセスヘア ※4です。

 

ご覧のように、

江戸時代の色直しで行なわれた、髪型の変更。

未婚女性の髪型「高島田」から、既婚女性の代表的髪型の「丸髷」へのスタイルチェンジ。

それに倣い、

「高島田」から、まげの位置が少し下に下がった「シニヨン」へのヘアチェンジを行いました。

いかがだったでしょうか…

このシニヨンスタイルは、

一見、まとめ髪にも、単純なダウンスタイルにも、

角度によっては、ネープシニヨン(まげの位置が首の上あたり)にも見えますが、

シニヨンの位置は、頭頂部からすぐ下のあたりのミドル・ポジション。

シニヨンのサイズも、ほと゛ほどの大きさに抑えています。

 

既婚女性らしい髪型でありながら、若々しさも感じさせるこだわりのヘアです。

つづく。

 

※3 比重を下に置いた髪型のシルエット 

和装花嫁衣裳のなかで、この髪型のシルエットがマッチするのは、振袖です。

打掛でこの髪型を試みた場合、衣裳のボリュームとの比率から、シニヨンを大きくせざるを得なくなります。

「似合わせ」 ※5 という面で、難易度がかなり高くなります。

また、このタイプの髪型で、お嫁さんが打掛を羽織り、

裾を引きずれない場所で、つまをとった場合の全身のシルエットは、

お宮参りの際のお母さんのシルエットと極めて近いものに映ります。

 

※4 きものミセスヘア

「家庭画報特選 きもの・髪型と着付け」  世界文化社 (2002)

を参考にさせていただきました。

「きもの・髪型と着付け」は、一般の方向けの解説書です。

が、プロの美容師さん向けの技術書並みの情報量が含まれています。

「きものサロン」誌をレギュラーで長年手掛ける世界文化社さんでこそ、の中身の濃さがあります。

 

◆ミセス・ヘアの代表的なTPOである、黒留袖用のヘアスタイルのページ。

◆右下の、みごとな流線型の内まきスタイリングなど、特別に目を引くこのページ。

担当ヘアデザイナーは、なんと、豊田一幸。

いまや美の鬼才といわれ、「女優髪」のトップヘアデザイナーとして君臨する、IKKOさんの若かりし日のお仕事です。

豊田一幸さんが担当された、この本の「喪服の髪型」のページのスタイリングなどは、

これまた息をのむほどの美しさ。感動的です。

 

※5 「似合わせ」

美容室用語です。単純に「お客様に似合う髪型かどうか」と言い換えてよいでしょう。

が、現在、業界内では、このことばの意味の解釈が、美容師のアイデンティティそのものを表すというくらい、だわりのワードとなっています。

狭義には、カットのデザインを、顔の骨格などのフォルムを分析して、決定する手法を指します。

広義には、ヘアスタイル、メイク、衣裳、人格も含めてのトータルコーディネイトとして、そのお客様にふわしいヘアデザインを決定することを指します。

 

 


着物で、セレモ二ー ⑦ 振袖花嫁・色直し「ミスからミセスへ」 1

2017年11月22日 | 着物で、セレモニー

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お色直しの、スタイリングコンセプトは、「新妻」。

いままさに、結婚しました・・・的な、

若奥様の雰囲気を演出してみました。

振袖のスタイリングでは、

神社での式服としてのコーディネイトから、

帯と、襟まわりを一新。

ハコセコ、懐剣もはずしています。

着付も、コンテンポラリーなスタイルに、

 

幻想的な古典の「結婚式」→「披露宴」から、現実世界へ引き戻しつつも、

お嫁さん、ご本人のキャラクターの中にある日本的な魅力を引き出すスタイリングを試みました。

髪型についてのコメントは、次回。


着物で、セレモ二ー ⑥ 振袖花嫁「お引きずり」

2017年11月20日 | 着物で、セレモニー

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◆ 「成人式のためにあつらえた振袖を花嫁衣装に…」

ここで、この連載の本題に戻ってみたいと思います。

 

◆振袖に花嫁衣裳としての演出を加えるために、「お引きずり風」の着付けしています。

着付の仕方としては、

おはしょりをとらず、着物の身丈の余った分をそのまま引きずっています。

 

本振袖(大振袖、引き振袖)の着付け姿と比較すれば、お引きずりの部分の長さは気持ち短めで、

裾に綿が入っていない分、重厚感には欠けますが、

古典の和装の優雅な雰囲気、

花嫁衣裳らしいシルエットは、ある程度、表現できたのではないでしょうか。

 

さて、そもそも、「おひきずり」のきものとは、

床や畳の上を引きずって歩くための贅沢で、豪奢なものです。

そして、その機能からもお解りの通り、

歴史的に、

屋内、それもお城、お屋敷、御殿クラスのお座敷などでの行動を前提にしていたものです。

 

「きものの`つま`をとる」花嫁

◆この写真のように、お引きずりスタイルの着物を身に着けて、屋外へ出る場合は、

すそが地面につかないように、きものをつまんで歩く必要があります。

その場合、片手がふさがれてしまい、行動は大きく制限されることになります。

 

このことからも、お引きずり仕様のきものが、屋内仕様の衣裳であり、

さらに、裾を引きずることが可能な床面を備えた建物の中でこその衣裳であることがわかります。

 

では、ここで

◆和装花嫁のスタイリングでのひとつの重要なポイントをまとめてみます。

 

「本振袖、打掛など、一般的に格式が高いといわれている花嫁衣装」については、

すべて、お引きずり用に仕立てられている着物である、ということです。

 

そして、このポイントをおさえていただくことによって、

お客様が、和装でのご結婚式、ご披露宴をお考えで、

その場所に相応しいきもの選びをイメージされている場合の、

式場、衣装選びの判断要素とは、何なのか、おのずとご理解いただけるのではないでしょうか。

 

◆こちらは、おはしょりをとって、裾の着丈をぴったりとあわせた着付姿。

この着付であれば、

屋内でも、屋外でも行動が制約されることはありません。

 

これが、皆様よくご存じの、現代の一般的な振袖の着付け方法になります。

そして、この、「おはしょりの調整による裾の丈の変更機能」こそが、

江戸時代以降に進化をとげた、女性のきものの仕様の代表的部分と言えるのではないでしょうか。

併せて、

現代でも花嫁衣装として多くの方が認識されている「お引きずりの本振袖や打掛」が、

正に、歴史(時代)衣裳である、ということも、

おわかりいただけるのではないでしょうか。


着物で、セレモ二ー ⑤ 飯田の神社での結婚式

2017年11月16日 | 着物で、セレモニー

Presented by  グレープス.com  and スズキ美容室.com 

and  スズキ美容室・訪問サービス.com  (長野県飯田市)

全国的なトレンドとしては、きものスタイルでの結婚式がフューチャーされ、

京都などの歴史的スポットでの結婚式、

なかでも、神社での神前結婚式が見直されている中、

 

飯田での、神前結婚式の減少傾向は、さらに加速している様子です。

需要の縮小に伴ってか、

神前結婚式の受け入れ可能な式場(神社)さんも減少している模様です。

 

わたくしたち美容室関係者としても残念な気持ちと同時に、

力不足を痛感してしまいます。

ここ、飯田市松尾地区にある「八幡神社」は、

正確な統計はありませんが、

いま、飯田で最も神前結婚式が行われている場所ではないでしょうか。

神前結婚式を挙げる場所としては、もちろんですが、

ご結婚にさいして、お二人で、お参りされたり、

それに併せて、

写真撮影をされるのにもふさわしい、

フォトジェニックなスポットとしてご紹介させていただきたい神社さんです。


着物で、セレモ二ー ④ 花嫁写真のエポック・メイキング

2017年11月15日 | 着物で、セレモニー

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花嫁ファッションの歴史を振り返えるうえで、必要不可欠なものは、

花嫁写真です。

 

そんな花嫁写真のトレンドの大きな転機となったのが、

1990年代~2000年代初期の結婚式をリアルにシャッターに収めたこの写真集ではないでしょうか。

フォトグラファー 島内浩一郎氏の「東京花嫁」。

 

「第一線のファッションカメラマンが撮影した、一般人のドキュメンタリータッチのウェディングフォト」

という、当時としては、画期的なコンセプト。

 

 

現在まで続く、

「写真映えするロケーションでの結婚式」

という、一つのトレンド。

そして、

そこから派生した「フォト・ウェディング」

という、結婚式の新しいジャンルの確立に、この写真集は、おおきな影響を与えることとなりました。

 

 

そして、この大きなトレンドの中で、

和装花嫁の「写真映えするロケーション」

という視点から、

神社での結婚式が、あらためて脚光を浴びることになりました。