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◆「婚礼色直しの図」 歌川国芳図(1847)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/3e/c59b5fbeb338b5f29cdf4f3f3ca5785b.jpg)
「・・・白無垢の衣装を着替えているのは、式三献、三々九度の儀式が済んだ花嫁で、これから色物に着替えるところであろう。髪型も島田髷から丸髷 ※1 になって、若妻らしい華やかな模様の衣装が衣桁に掛っている。・・・」
「江戸300年の女性美 化粧と髪型」 村田孝子著 ※2
に掲載された、「婚礼色直しの図」 の解説文より抜粋
※1 丸髷 既婚女性の代表的髪型
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/8a/ea9e86e5a3273d698fdcaae2550a4de2.jpg)
※2
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/ce/529c5f5b2205b046e16cd23399a40d6b.jpg)
「江戸300年の女性美 化粧と髪型」 村田孝子 著
ポーラ美術研究所シニア研究員
江戸美粧研究の第一人者、村田孝子先生のライフワークともいえる分野の著作。
★ 結婚式を手掛ける美容師さん、衣装屋さんにとっては、必読の書です。
◆◆◆「色直し」とは、・・・◆◆◆
外国の結婚式では、ほとんど例がないといわれている、日本特有の文化ともいえる「色直し」。
このページの冒頭では、
その起源に迫る貴重な江戸時代の浮世絵をご覧いただきました。
今回の連載での「色直し」では、
この江戸時代の「色直し」のコンセプトをまさに再現してみました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/17/82d2bf93a6a3617e57057eac937eff8e.jpg)
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◆写真左 「結婚式での髪型」
結婚式の儀式での髪型は、「高島田」。まげの位置は、文字どおりハイ・トップ。未婚女性の髪型。
◆写真右 「披露宴での色直しの髪型」
色直し後の髪型は、ミドル・トップの高さにまげの位置をとった「シニヨン」。
現代のきものヘアのセオリーからすれば、比重を下に置いたこのシルエット ※3 は、バリバリのミセスヘア ※4です。
ご覧のように、
江戸時代の色直しで行なわれた、髪型の変更。
未婚女性の髪型「高島田」から、既婚女性の代表的髪型の「丸髷」へのスタイルチェンジ。
それに倣い、
「高島田」から、まげの位置が少し下に下がった「シニヨン」へのヘアチェンジを行いました。
いかがだったでしょうか…
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/e4/b5abee87de0551f07e6851b53697d141.jpg)
このシニヨンスタイルは、
一見、まとめ髪にも、単純なダウンスタイルにも、
角度によっては、ネープシニヨン(まげの位置が首の上あたり)にも見えますが、
シニヨンの位置は、頭頂部からすぐ下のあたりのミドル・ポジション。
シニヨンのサイズも、ほと゛ほどの大きさに抑えています。
既婚女性らしい髪型でありながら、若々しさも感じさせるこだわりのヘアです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/bb/0e0b6190a2f12c817d6f3eedb145830f.jpg)
つづく。
※3 比重を下に置いた髪型のシルエット
和装花嫁衣裳のなかで、この髪型のシルエットがマッチするのは、振袖です。
打掛でこの髪型を試みた場合、衣裳のボリュームとの比率から、シニヨンを大きくせざるを得なくなります。
「似合わせ」 ※5 という面で、難易度がかなり高くなります。
また、このタイプの髪型で、お嫁さんが打掛を羽織り、
裾を引きずれない場所で、つまをとった場合の全身のシルエットは、
お宮参りの際のお母さんのシルエットと極めて近いものに映ります。
※4 きものミセスヘア
「家庭画報特選 きもの・髪型と着付け」 世界文化社 (2002)
を参考にさせていただきました。
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「きもの・髪型と着付け」は、一般の方向けの解説書です。
が、プロの美容師さん向けの技術書並みの情報量が含まれています。
「きものサロン」誌をレギュラーで長年手掛ける世界文化社さんでこそ、の中身の濃さがあります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/33/a15d5303a8b8991a1d8801d5ed72668b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/ab/c1e790070834c15b285ce82df5d15da5.jpg)
◆ミセス・ヘアの代表的なTPOである、黒留袖用のヘアスタイルのページ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/a6/6b1bb1d5b987ce2e03d31b7c29494e37.jpg)
◆右下の、みごとな流線型の内まきスタイリングなど、特別に目を引くこのページ。
担当ヘアデザイナーは、なんと、豊田一幸。
いまや美の鬼才といわれ、「女優髪」のトップヘアデザイナーとして君臨する、IKKOさんの若かりし日のお仕事です。
豊田一幸さんが担当された、この本の「喪服の髪型」のページのスタイリングなどは、
これまた息をのむほどの美しさ。感動的です。
※5 「似合わせ」
美容室用語です。単純に「お客様に似合う髪型かどうか」と言い換えてよいでしょう。
が、現在、業界内では、このことばの意味の解釈が、美容師のアイデンティティそのものを表すというくらい、だわりのワードとなっています。
狭義には、カットのデザインを、顔の骨格などのフォルムを分析して、決定する手法を指します。
広義には、ヘアスタイル、メイク、衣裳、人格も含めてのトータルコーディネイトとして、そのお客様にふわしいヘアデザインを決定することを指します。