美容室グレープス (飯田市) 店長&スタッフ・ブログ

飯田駅アイパーク広場前「美容室グレープス」(グレープス.com)のブログ。 
本店「スズキ美容室」(飯田市)の話題も。

夏・着物でお出かけ ④ なんちゃって、ボブ

2015年06月29日 | 夏・着物でお出かけ

今日は、

着物と髪型の関係のお話です。

 

夏の着物スタイルには、

ショートヘアを合わせられれば、 涼しげなコーディネイトになりますが

 

せっかく伸ばしたロングヘアを切ってしまうのも残念です。

 

そんなときのための必殺技?がこれです。

スタイリング前の、モデルさんの髪の長さ。

セミロング。

(この撮影のために、髪を伸ばしておいていただきましたが、

時間的に、この長さまでが精いっぱいでした。)

 

仕上がりのヘアスタイル。 名前は、「なんちゃって、ボブ」

 

◆では、仕上がりまでの工程をご覧ください。

髪を束ねて、内側に巻き込んでゆきます。

束ねた髪を仮止めします。

ここが、一つ目の難関です。

仕上がりの形を決めます。

全体のフォルムを整え、固定します。

完成型のフォルム。

ロングはロングでも、

髪の長さが長いほうが、 形づくりは、容易です。(担当者・談)

 

髪型に合わせて、メイクの仕上げ。

 

◆ タラ~  「なんちゃって、ボブ」 完成。  

サイドシルエット。 いかがでしょうか。

 

正面からは、こんなスタイルに。

 

★「なんちゃって、ボブ 」は、

着物ライフの提案型情報誌  「七緒」  さん の Vol.41

その元ネタが掲載されています。

 

「なんちゃって、ボブ」の、このスタイリングテクニックは、

プロの美容師でもそんなに易しいテクニックではない。(担当者・談)

ということです。ので、

 

一般の読者の方々が、このテクニックを使いこなせるかどうかは、

微妙・・・という感じでしょうか。

 

いやいや、

お客様の中には、ハイレベルのスタイリング力をお持ちの方もいらっしゃいます。

ぜひ、使いこなしていただいて、夏の着物ライフを楽しんでいただきたいと思います。

それでも、

★難しい場合は、美容室へいらっしゃってください。お待ちしています。(^○^)

 

さいごに、

★「七緒」さんには、この分野のフロンティアとして、

また、斬新な、きものの髪型の企画を期待しています。(^○^)

 

つづく。

 

 


夏・着物でお出かけ ③ Going back to teenager

2015年06月26日 | 夏・着物でお出かけ

今日は、遊び心 満々、

童心に帰って、浴衣を少女趣味にコーディネイト。

 

おさげ髪は、少女の象徴。

◆この髪型、いま風に言うと、「ツーサイド・アップ」という呼び方になるそうです。

★ 野苺とマーガレットの ビーズ細工のアクセサリー / 本郷典子 

Noriko Hongoh      profile ⇒ こちら

さて、今日のスタイリングの隠しテーマは、

(と、いっても、バレバレですが・・・)

クールジャパン 的 アニメキャラの世界です。

いかがでしょうか。

 

テーマ・ソングには、

今や和製 EDM  ※1 の旗手、「モーニング娘」さん( 祝・NY上陸 ! )の曲

♪ Be Alive  を合わせたいですね。 ※2   So cool!

 

つづく。

 

※1 「エレクトロ・ダンス・ミュージック」

広義には、電子処理されたアレンジのダンスミュージック。原曲のジャンルは問わない。

・・・・・かつての「ユーロビート」が、脳裏をよぎった貴女、貴方とは、同時代を語り明かせそうです。

 

※2 「 モーニング娘14コンサートツアー秋 GIVE ME MORE LOVE 」に収録されています。

 大人も楽しめる、ハイクオリティなエンターテイメント。 ソング&ダンスのハート・ウォームなステージが感動的。

 

 このライブの映像に、「見返り美人」という曲が、収録されています。

★ 「見返り美人」とは、江戸時代前期の著名な浮世絵です。

その浮世絵をモチーフにして、ビジュアル制作されているのが ♫「見返り美人」。

 きもの好きな貴方には、ぜひご覧いただきたい作品です。

 

<オリジナルの 「見返り美人の図」 。「小袖」 ※3 を粋に着こなす遊女。

帯結びは、吉弥結び。 歌舞伎が起源の帯結びと言われています。>

 

● モーニング娘。14 さんの楽曲 「見返り美人」で、フィーチャリングされているのは、道重さゆみさん。

抜群のスタイルを生かした着付け術 (スタイルが良すぎる場合が、実は一番難しい。)で、

粋な着こなし、身のこなしを披露しています。 (この音楽作品での衣裳は、「振袖」)

● 芸能のスキルに長け、機知に富む、道重さんのイメージは、「見返り美人」キャラに、ふさわしく、

そして、なにより、理屈抜きの美しさ。

● 唯一、食い足りないポイントを挙げさせていただくとすれば、「見返り美人」の道重さんの髪型と髪飾り。

ここは、彼女の完璧な素材美と、ファッションリーダーとしてのポジションからも、もう少しアート的に攻めて欲しかったかな…簪とかを使って…  (あくまでも、美容室としての希望ですが) なんて思います。

 

 ※3 現代のきものスタイルの原型となった、シンプルな着物の形。(江戸時代に、現代のスタイルに進化をとげる。)

 


夏・着物でお出かけ ② グレードアップ浴衣Ⅱ

2015年06月24日 | 夏・着物でお出かけ

◆快晴の夏の日に、

ワードローブから、白いブラウスを選ぶような感覚で着てみたい、

清々しい、白地にグレーのかすりの浴衣。

 

コーディネイトののポイントは、帯とアクセサリー。

薄いピンク色は、少女と大人の境目の今日の私の気持ち。

 

 

② 着物を仕立てましょう

◆ 反物から、じぶんサイズの着物に仕立てることのメリットは、

体型にあった着物ができあがるということだけではありません。

 

★着物の着方に合わせた仕上がりにすることができるからです。

 

◆ ご自身で着付をされる方の、多くの方が、着付で難しい箇所てして挙げられるのが、「抜き衿」。

このブログでも再三登場した、

「現在の女性の着物の着方」の大きなポイントとなる部分です。

 

 

★ 実際、衿ぐりを開けて着るこの着物の着方は、

どんなにベテランの着付けのプロでも、

着付けだけで操作できるものではありません。

★ 仕立の際の、「繰り越し」の幅の取り方に大きく作用されるものなのです。

 

 

さて、

★ 現実問題として、着物初心者の方が、

着物の仕立て方を細かく指定することは、難しいことです。

 

反物を買う呉服屋さんにお任せして、

仕立屋さんにお願いすることが賢明です。

 

★ でも、まずは、知識として、着物の着方の原理というか、法則を知っていくことは、

着物を着る楽しみのひとつとなるのではないでしょうか。

★「新・和装入門」 山本秀司著★

グラフィックデザイナー出身。 気鋭の和服仕立家の著作による、

わかりやすい「反物から、着物ができるまで」本です。

◆大変参考になります。

 

つづく。


夏・着物でお出かけ ① グレードアップ浴衣 Ⅰ

2015年06月22日 | 夏・着物でお出かけ

「いよいよ浴衣の季節になりました。」

 今年は、少しレベルアップした浴衣コーディネイトに挑戦してみませんか。

☺それは、きっと、あなたが着物を日常の暮らしの中で着る きっかけ になってくれるはずです。☺

 

 

 

 

①反物を選びましょう

浴衣も着物です。

買ってすぐに着ることができる既製品もよいですが、

着物であれば、自分の体形や着方に合った仕立(したて)をしたいですよね。

というわけで…今回は、呉服屋さんで反物から選びました。

夏らしい素材、綿麻のかすりの生地を選びました。

 

 

反物選びでは、帯や小物と併せてみましょう。

いろいろなコーディネイトのイメージが広がります。

 

この工程は、洋服選びと全く同じです。 

ワクワクする楽しい時間です。

 

★浴衣を買おうと思えば、

スーパーの衣料品売り場でも、大手洋服量販店でも簡単に手に入る時代ですが・・★

◆ それらの浴衣って、プリントであれ、織りの製品であれ、

 何故か、柄や色がきついものばかりなんですよね。

◆ 大人が着るコスチュームとしては、どうも・・・

 選択肢がない…なんて、声が漏れてきます。

◆ そんなストレスを感じている方にも、反物から仕立てる浴衣はお勧めです。

反物で生地を選べば、素材、デザインの選択のバリエーションがかなり広がってくるからです。

 

つづく。

 


映画と着物 ④ 「きものの着こなしは、季節を表す季語」

2015年06月21日 | 映画と着物

 

映画  「鬼龍院花子の生涯」   原作 宮尾登美子  監督 五社英雄

◆数ある名作映画の中から、堂々、「シネマきもの手帳」のカバーフォトを飾るのは、

 「鬼龍院花子の生涯」に出演の夏目雅子さんの着物姿。 (撮影 立木義浩)

 

手には、水仙の切り花。

たいへん魅力的な写真です。

 

が、この写真。

冬の花の代表ともいえる水仙と、単衣(ひとえ)の着物のコーディネイトは、

なんとも、映画的。

つまり、映画業界の舞台裏(撮影が、常に、映画公開の半年以上前に行われています)

の事情ががバレバレで、

なにか違和感 (季節がずれている、)を感じていたのですが・・・

 

実は、この花は、西洋水仙。

春から初夏にかけて花を咲かせる水仙でした。

(冬の水仙は「ニホン水仙」という別の種でした。)

◆撮影2017.5.1 飯田市にて◆

 

古典の文学作品や、俳句の世界と同様に、

「着物の着こなし」や「衣替え」も、

古くから、移ろいゆく季節を敏感に感じ取って行なわれる、

日本的なものの代表選手といわれています。

 

このカバー写真で夏目さんが着用している、淡い色の植物柄のきものは、

(「小地谷縮」などの、麻ものではないか・・)

映画の中では、扇風機やうちわが大活躍している、真夏の場面で登場するもです。

 

近年の、全国的な気温の上昇傾向もあり、

「単衣の着物 (裏地のないきもの) を着始める時期がかなり早まっている」ことが、

わたしたちの美容室でも、お客様との話題によくのぼっている、今日この頃です。

 

◆実際、この季節を先取りした着こなしについて◆

「本当に暑い日であれば、この写真のように、夏物のきものを、時期を前倒しして着ることは、

「粋」 なものという捉え方でよいのではないか。」

と、呉服屋さんの社長さんに解説していただきました。

 

 さて、

◆「鬼龍院花子の生涯」◆

 は、宮尾登美子さんの自伝的小説群のなかでも、代表作のひとつと呼ばれるものです。

 

日本の歴史上、「男性が最も強かった時代では?」 

と思われる、明治から大正、昭和初期の激動の時代を、たくましく生き抜いた、

知性と反骨精神にあふれる、気丈で優しい女性の半生が、

メインテーマとして、映画でも貫かれています。

 

 ただし、

◆この映画作品に関しては、

公開当時、夏目雅子さんの劇中でのタンカを切るセリフ 

「なめたらいかんぜよ」

が、テレビなどで、流行のキャッチコピーとして、リピートされたため、

強烈な任侠映画のイメージが植えつけられてしまい、

多くの女性にとっては、「疎遠な映画」となってしまったように記憶しています。

 

しかし、

◆いま 「きもの着こなし」の観点から見直してみると、

大変に見どころが多い作品です。

 

また、五社英雄監督作品らしい、骨太の文芸作品であることも間違いありません。

「侠客」とか、「義侠心」とか・・・

いまの世の中では、ちょっと引いてしまうような、

でも、「近代の歴史」のなかで、大切にされてきた価値観の本質を垣間見ることができるのも、

この作品の魅力であると思います。

 

さいごに、

★映画「鬼龍院花子の生涯」での、きもの着こなし、要チェックポイントを、もうひとつ。

 

◆「女性の職業ときもの」◆

 

時は大正時代。

女衒の親分の養女として育てられた少女が、

自らの強い意志で女学校へ進み、

学校の先生になるのが、夏目雅子さんの役どころ。

 

当時の学校の女性教師の服装である、

「小紋の着物と袴」スタイルの夏目さんの清々しい教師姿に注目です。

 

●当時の女学生の制服が、「振袖+袴」であったことは、多くの方がご存じだと思います。

が、女性教師も袴姿だったことをご存知の方は、多くないと思います。

● 数年前ぐらいまで、当店のお客様で、学校の入学式、卒業式に

「着物+袴」の着付けに来ていただいた学校の先生方もいらっしゃいました。

しかし、大正時代に、なぜ、袴姿が女性教師の服装になったのか、

その理由を知っている方は、いらっしゃいませんでした。

 

(今回、いろいろあたって調べてみましたが、お伝えできるような理由や、きっかけは、まだ見つかっていません。)

 

加えて、

◆もうひとつ注目していただきたい点は、・・・

夏目さんが着る、その「袴スタイルの着物」の、衿の部分の着付けが、

「抜き衿」スタイルを採っているところです。

 

 

◆抜き衿 (「旅の着物に・・「風立ちぬ」八ヶ岳編より」)

 

● 現在の卒業式などでの女子学生の袴スタイルでは、

多くの既製品の振袖がそのように仕立てられているためか、

「抜き衿」のスタイルが当たり前なのですが、

● 明治・大正時代の女学生の袴スタイルでは、

振袖の衿は、抜かれていない(男性の着物の着方と同じ)スタイルが、

一般的だったようです。

● また、伝統的なスタイルを守る「宝塚歌劇団」の卒業のセレモニーでも、

袴スタイルで衿は抜いていないようです。

(娘役も男性型の衿を抜かない「着物+袴」スタイルです。)

 

◆以前ご紹介させていただいた、映画「紀ノ川」 ◆

 

 この映画で、娘役を演じているのが、岩下志麻さん。※

この画像(向かって右側)は、岩下さんが、大正時代の女学生に扮した場面です。

このように、映画「紀ノ川」で登場する女学生の通学着は、矢絣の振り袖に袴。

衿は抜かれていません。

 

※ 「鬼龍院花子の生涯」では、夏目さんの義母役で登場する岩下さん。縦じまのパンチの効いた着物姿に、大きく結い上げたアップスタイルは、のちの「極道の妻たち」シリーズを想起させます。

 

さて、

★今回は、きものの「仕様」に関することまで、こまごまと触れさせていただきました。

これは、着物には、「仕立」という工程があり、

それが、実は大きな意味を持つことを知っていただくための、

サワリであることをご理解いただければ幸いです。 

 

次回に続く。