Presented by グレープス.com and スズキ美容室.com
and スズキ美容室・訪問サービス (長野県飯田市)
上の写真
◆ 「市販のシャンプー」=高級アルコール系 B タイプ (下記の <表①>を参照ください) を使用して、
毛束を5回シャンプーしました。◆
上の写真
◆ 「美容室専売品のシャンプー」=ベタイン系 Dタイプ (下記の <表①>を参照ください) を使用して、
毛束を5回シャンプーしました。◆
◇美容室グレープスが開店した当時、今から約3年半前になりますが、
わたしたちのお店に初めていらっしゃっていただいたお客様から、多くいただいたご質問は、
「市販のシャンプー」と「美容室専売品」 ※1 のシャンプーの違いについてでした。
また、当時は、インターネット上に「シャンプー鑑定サイト」なるものが現れ、
シャンプーをその成分から、理論的に分析しようとする気運が高まっていた時期でした。
シャンプーのボトルの裏側の成分表を見てみれば、そのシャンプーの性能のおよその傾向はわかるものなのですが、
一般の消費者の皆さんにとっては、やはり難しい、というか、手間がかかることなのです。
そこで、美容室なり、美容師の出番ということになります。
さて、先のお客様の疑問、「市販のシャンプー」と「美容室専売品」 の違いについてですか゜・・・
端的に言えば、「洗浄成分」 と、それに由来する洗浄力の違い。
と、ご説明ができるのではないでしょうか。
市販のシャンプーの洗浄力は、強いです。
市販のシャンプーの多くが、女性のモデルさんを使用して、コマーシャルをしているところから、
女性をターゲットとした商品のように理解しますが、
女性向けとしては、かなり強めの洗浄力のように感じます。 ※2
その理由は、わたしたちの立場では、推測することしかできませんが、
市販のシャンプーでは、
商品の設計段階で、洗浄成分を選ぶ際、原材料のコストが重要視されるからではないでしょうか。
実際、「市販のシャンプー」は、「美容室専売品」より、
価格の設定がかなり安くなっています。 ※3
その現実から考えれば、「市販のシャンプー」の成分として、最も安くて、効率の良い界面活性剤が選ばれることは、当たり前です。
そのもっとも経済効率に優れている界面活性剤とは、洗浄力の強さが最大の売り物の「高級アルコール系界面活性剤」(表記名としては、「ラウレス硫酸Na」など・・)
ということになるからなのです。 ◆下記のをご参照ください。
◇どんなシャンプーでも、
シャンプーの成分は、①洗浄成分 と、 ②保湿および潤滑促進(髪の摩擦を減らし、滑りをよくする)成分から、
構成されています。
そのうちの ①の洗浄成分は、シャンプーの心臓部、中核です。
自動車で言えば、まさに「エンジン」といえる重要部分です。
シャンプーの洗浄成分は、複数の種類の界面活性剤を混ぜて調合することが多いのですが、
その中で、最も配合の多い界面活性剤の性質の傾向が、
そのシャンプーの性質を決めるといっても過言ではありません。
ですから、シャンプーをその性能別に分類する際は、そのシャンプーを構成している界面活性剤から、
以下の 表1 のように、分類します。
A 「石鹸系」 ※4 ⇒ 洗浄力強い コスト・安い 「古典的界面活性剤」
B 「高級アルコール系」 ⇒ 洗浄力非常に強い コスト・非常に安い 皮膚への刺激有り 「石鹸の後継者」
C 「アミノ酸系」 ⇒ 洗浄力 並 コスト・高い 髪の毛との相性が良い
D「両性界面活性剤系(含むベタイン系)」 ⇒ 洗浄力弱い コスト・並 皮膚にやさしい
E 「その他(含む酸性石鹸系)」
◆◆◆「シャンプーによる色落ちテスト」◆◆◆
◇まず、人毛の白髪の毛束を同じように5本染めました。
使用したカラー剤は、当店で通常使用しているアルカリカラー(ヘアダイ)のブラウン系の 6 トーン。
染めてから1日経過した状態での実験スタートです。
◇この毛束のうちの4本を、それぞれ別のシャンプー剤を使用して、順番にシャンプーしていきます。
5回シャンプー、ドライを繰り返して、カラーの色落ちを確認しました。
(美容の専門誌などでの、この手の実験では、30回シャンプーして、変化を観察するのが一般的です。
その意味は、2日に一回シャンプーをして、60日経過した状態をシュミレーション、
つまり、2か月後の状態を想定しての実験と思われます。)
◆毛束1◆ 「市販のシャンプー」 / シャンプーB タイプ での色落ちテスト
◆このご質問をしていただいた、お客様が、当時、お使いだったシャンプー。
(この商品は、廃版、後継商品発売のため現在は存在しません。)
当時、テレビCMも頻繁に流されていて、ドラックストアで1.2の人気を誇るシャンプーだったうです。
(商品の発売サイクルが極めて速いのには、驚かされます。)
美容室で使用するシャンプーと違って、かなりねっとりとした触感のシャンプーでした。
◆成分(成分表示の上位3) 水 ・ラウレス硫酸Na ・コカミドプロピルベタイン
成分表の上位3位までの成分で、その商品の、およその分類は可能です。
主洗浄成分「ラウレス硫酸Na」 補助洗浄成分「コカミドプロピルベタイン」
の「高級アルコール系」のシャンプーです。 (上の分類では、Bタイプです。)
◇では、実験、スタート◇
◇シャンプーは、注射器で、定量を量って使用します。
◇ ボトルに35度のお湯とシャンプーを入れて、攪拌します。
◇その溶液の中に、毛染めした毛束を入れます。
◇毛束を入れたまま、ボトルを30回、攪拌します。
◇毛束を取り出して、水洗。
◇ドライして、仕上がり。 これを5回繰り返します。
◇ 上記のシャンプー・ドライを5回繰り返した後の毛束1(向かって左)
毛束2 (向かって右)は、毛染めをしたまま(シャンプー実験していない)の状態。
◇シャンプーした後の水溶液を1回ごと、とっておきます。 向かって右側から、順番に、1~5回目のシャンプーの順番。
毛束より解りやすく、抜けた色の量が目でみて解ります。
◆毛束3◆ 「美容室専売のシャンプー」 / シャンプーD タイプ での色落ちテスト
◆ 主洗浄成分「ラウラミドプロピルベタイン」 補助洗浄成分「ラウレス-4酢酸Na」
の「ベタイン系(両性界面活性剤)」のシャンプーです。 (上の分類では、Dタイプです。)
◆ 当店のオリジナルシャンプー 「シャンプーマイルド」 での実験です。
◇ シャンプー剤のみ変えて、毛束1の場合と同様に、シャンプー・ドライを5回繰り返した後の毛束3 (向かって左)
毛束2 (向かって右)は、毛染めをしたまま(シャンプー実験していない)の状態。
◇シャンプーした後の水溶液。 向かって右側から、順番に、1~5回目のシャンプーの順番。
毛束より、抜けた色の量が目でみて解ります。
商品の開発段階で、何度もこのテストを繰り返して、製品化しているわけですから、成績が良くて当たり前です。
http://www.bs-suzuki.jp/item/os-300new/
当店のほとんどの施術で使用しています。 ※5
当店のお客様の多くの皆さまにご愛用いただいています。
つづく。
※1「市販のシャンプー」と「美容室専売品」
「美容室専売品」とは、薬事法などの法律で定めれたものではありません。
製造・販売元のメーカーさんが、任意で指定しているだけです。
言葉の意味としては、「サロンで美容師のアドバイスのもとに使用する商品」。
一方、ここでいう「市販のシャンプー」とは、スーパーやドラッグストアさんで購入できる商品を指します。
両者の違いは、流通ルートの違い、ということになります。
この両者をその構成成分の面から分類してみると、
「市販のシャンプー」は、9割以上が、「高級アルコール系」のシャンプーです。
一方、「美容室専売品のシャンプー」を成分によって分類すると、多種多様に分類されます。
美容室の現場での使用目的、各美容室の顧客のプロファイルに応じて使い分けることが基本とされているかです。
ただし、「美容室専売品のシャンプー」の世界も、50年前~30年前くらいまでは、
「高級アルコール系」のシャンプーがほとんどでした。
(というか、ほかに選択肢がなかったためです。)
しかし、現在では、「美容室専売品のシャンプー」のなかでの「高級アルコール系」のシャンプーがしめる占有率は、極めて低くなっています。
し、現場の美容室で使われているケースはさらに低いと思われます。 ※5
そのくらい、ここ20~30年の間に、シャンプー用の界面活性剤は、めざましい進歩をとげています。
※2 女性には、洗浄力が強すぎる
現代では、高級アルコール系のシャンプーの洗浄力は、男性用としても、強すぎると思われます。
成人男性の皮脂の量に比べて、半分程度と言われる、女性用のシャンプーでは、尚さらです。
※3 「市販のシャンプー」は「美容室専売品」より価格が安い。
「市販のシャンプー」については、その商品設計が、大きなマーケティングに基づいて実施されていると考えられます。
そうであれば、まず、商品が最も売れやすい値段が設定され、それでも利益が得られる原材料価格が設定される。
そんな商品設計のプロセスから、
最終的に、もっとも原価が安く、経済価値の高い材料(高級アルコール系界面活性剤)が重宝され、選ばれている。
と考えるのが妥当でしょう。
いずれにしても、大手メーカーさんはどこも、
マスマーケティングによる「市販のシャンプー」と、「美容室専売品」の両方をラインナップしています。
(例 えば、「資生堂」さんでは、高級アルコール系シャンプーの市販品の「資生堂」という括りのブランドと、アミノ酸系シャンプーがその象徴でもある「資生堂プロフェッショナル」という美容室専売品のブランドの、2系列の商品を市場に展開しています。 そのほかのメジャーも、構図は同様です。)
企業として、どちらに、営業の比率を置いているかは、一目瞭然ではありますが…
このことは、消費者の立場からすれば、いま、シャンプーの選択肢は極めて広く提供されている、ということの証となります。
お客様が、ご自身の価値観に合わせて、自由に商品を選ぶことができる、この環境は、歓迎すべきものであると思います。
が、その価値判断をする基準を身に着けることは、これはまた極めて難しいことのようにも思えます。
※4 「石鹸系」界面活性剤
多くのお客様が誤解されていることなのですが、
「石鹸」も、脂肪酸と水酸化ナトリウムの化学合成によってつくられる合成界面活性剤です。
しかし、化学の世界で、石鹸と石鹸以外の界面活性剤を分類する用語として、「合成界面活性剤」なる言葉が使われることから、
石鹸が合成界面活性剤ではないという誤認識が生まれているようです。
石鹸は、性質としては、アルカリ性の性質を持つ界面活性剤のため、特殊な目的の場合以外、美容室で髪の洗浄のために使用されることはありません。
皮膚の洗浄用として使用されています。
※5 強い洗浄力のシャンプーが必要な場合
当店では、ヘナの洗浄など、特別に洗浄力を上げる必要がある場合のみ、シャンプー剤を洗浄力が強いものに変更しています。
※6 「高級アルコール系」のシャンプーが美容室で使われない理由
カラーやパーマの仕上がりや、髪のコンディションの維持のことを考えれば、
洗浄力が強すぎる「高級アルコール系」のシャンプーが選択されないことは、美容室では当然のことです。
加えて、この洗浄成分の特徴である洗浄力の強さは、「脱脂力」の強さという特徴を併せ持っています。
つまり、髪の毛のみならず、皮膚の油分も取り去る力が強いということです。
して、美容師の手荒れの最大の要因となっていると断言できるものが、この「高級アルコール系」のシャンプーです。 ※7
※7 「高級アルコール系」のシャンプーによる手荒れ
美容室グレープスの本店・「スズキ美容室」では、かつて、使用するシャンプーを「高級アルコール系のシャンプー」から「両性界面活性剤系のシャンプー」に変更したことを契機に、永年抱え続けていた美容師の手荒れの問題が、劇的に改善した経験を持っています。
しかし、
★ 現在市販されている「高級アルコール系のシャンプー」を一般消費者がふつうに使用して、手荒れをおこすことは、まず、ありません。
★ これは、一日に、10回以上シャンプーをこなし、そのほかにアレルギーの要因となる薬剤を使用する、美容室の環境でのお話しです。
★ ただ、この事実は、一般の方も、知識として備えておくと、なんらかの場合の問題解決のお役にたつのではないか、と思います。
◆ シャンプーをする回数が、昔とは、比べものにならないほど多く、
汗をかいたり、泥にまみれる機会の少ない、現代の生活環境の中で、
シャンプーの洗浄力は、必要最低限に抑えるべきであると、当店は考えています。