美容室グレープス (飯田市) 店長&スタッフ・ブログ

飯田駅アイパーク広場前「美容室グレープス」(グレープス.com)のブログ。 
本店「スズキ美容室」(飯田市)の話題も。

美容室の仕事「ヘア・カラーのシャンプーによる色落ちテスト」 ②

2016年10月30日 | ヘア・カラー

Presented by  グレープス.com  and スズキ美容室.com 

and  スズキ美容室・訪問サービス  (長野県飯田市)

 上の写真

 ◆ 「市販のシャンプー」=高級アルコール系 B タイプ (下記の <表①>を参照ください) を使用して、

毛束を5回シャンプーしました。◆

 

上の写真

 ◆ 「美容室専売品のシャンプー」=ベタイン系 Dタイプ (下記の <表①>を参照ください) を使用して、

毛束を5回シャンプーしました。◆

 

◇美容室グレープスが開店した当時、今から約3年半前になりますが、

わたしたちのお店に初めていらっしゃっていただいたお客様から、多くいただいたご質問は、

「市販のシャンプー」と「美容室専売品」 ※1 のシャンプーの違いについてでした。

 

また、当時は、インターネット上に「シャンプー鑑定サイト」なるものが現れ、

シャンプーをその成分から、理論的に分析しようとする気運が高まっていた時期でした。  

 

シャンプーのボトルの裏側の成分表を見てみれば、そのシャンプーの性能のおよその傾向はわかるものなのですが、

一般の消費者の皆さんにとっては、やはり難しい、というか、手間がかかることなのです。

そこで、美容室なり、美容師の出番ということになります。

 

さて、先のお客様の疑問、「市販のシャンプー」と「美容室専売品」 の違いについてですか゜・・・

 

端的に言えば、「洗浄成分」 と、それに由来する洗浄力の違い。

と、ご説明ができるのではないでしょうか。

市販のシャンプーの洗浄力は、強いです。

市販のシャンプーの多くが、女性のモデルさんを使用して、コマーシャルをしているところから、

女性をターゲットとした商品のように理解しますが、

女性向けとしては、かなり強めの洗浄力のように感じます。   ※2

 

その理由は、わたしたちの立場では、推測することしかできませんが、

 

市販のシャンプーでは、

商品の設計段階で、洗浄成分を選ぶ際、原材料のコストが重要視されるからではないでしょうか。

実際、「市販のシャンプー」は、「美容室専売品」より、

価格の設定がかなり安くなっています。    ※3

 

その現実から考えれば、「市販のシャンプー」の成分として、最も安くて、効率の良い界面活性剤が選ばれることは、当たり前です。

そのもっとも経済効率に優れている界面活性剤とは、洗浄力の強さが最大の売り物の「高級アルコール系界面活性剤」(表記名としては、「ラウレス硫酸Na」など・・)

ということになるからなのです。  ◆下記のをご参照ください。

 

◇どんなシャンプーでも、

シャンプーの成分は、①洗浄成分 と、 ②保湿および潤滑促進(髪の摩擦を減らし、滑りをよくする)成分から、

構成されています。

 

そのうちの ①の洗浄成分は、シャンプーの心臓部、中核です。 

自動車で言えば、まさに「エンジン」といえる重要部分です。

 

シャンプーの洗浄成分は、複数の種類の界面活性剤を混ぜて調合することが多いのですが、

その中で、最も配合の多い界面活性剤の性質の傾向が、

そのシャンプーの性質を決めるといっても過言ではありません。

 

ですから、シャンプーをその性能別に分類する際は、そのシャンプーを構成している界面活性剤から、

以下の 表1 のように、分類します。

 

 

A 「石鹸系」 ※4      ⇒ 洗浄力強い コスト・安い  「古典的界面活性剤」

B 「高級アルコール系」  ⇒ 洗浄力非常に強い  コスト・非常に安い  皮膚への刺激有り  「石鹸の後継者」  

C 「アミノ酸系」       ⇒ 洗浄力 並  コスト・高い  髪の毛との相性が良い

D「両性界面活性剤系(含むベタイン系)」  ⇒ 洗浄力弱い コスト・並  皮膚にやさしい

E 「その他(含む酸性石鹸系)」

 

 ◆◆◆「シャンプーによる色落ちテスト」◆◆◆

 

 

◇まず、人毛の白髪の毛束を同じように5本染めました。

使用したカラー剤は、当店で通常使用しているアルカリカラー(ヘアダイ)のブラウン系の 6 トーン。

染めてから1日経過した状態での実験スタートです。

 

◇この毛束のうちの4本を、それぞれ別のシャンプー剤を使用して、順番にシャンプーしていきます。

5回シャンプー、ドライを繰り返して、カラーの色落ちを確認しました。

(美容の専門誌などでの、この手の実験では、30回シャンプーして、変化を観察するのが一般的です。

その意味は、2日に一回シャンプーをして、60日経過した状態をシュミレーション、

つまり、2か月後の状態を想定しての実験と思われます。)

 

◆毛束1◆  「市販のシャンプー」 / シャンプーB タイプ  での色落ちテスト

◆このご質問をしていただいた、お客様が、当時、お使いだったシャンプー。

(この商品は、廃版、後継商品発売のため現在は存在しません。)

当時、テレビCMも頻繁に流されていて、ドラックストアで1.2の人気を誇るシャンプーだったうです。

(商品の発売サイクルが極めて速いのには、驚かされます。)

美容室で使用するシャンプーと違って、かなりねっとりとした触感のシャンプーでした。

 

◆成分(成分表示の上位3) 水 ・ラウレス硫酸Na ・コカミドプロピルベタイン

成分表の上位3位までの成分で、その商品の、およその分類は可能です。

主洗浄成分「ラウレス硫酸Na」  補助洗浄成分「コカミドプロピルベタイン」 

「高級アルコール系」のシャンプーです。 (上の分類では、Bタイプです。)

 

 ◇では、実験、スタート◇

◇シャンプーは、注射器で、定量を量って使用します。

 

 

◇ ボトルに35度のお湯とシャンプーを入れて、攪拌します。

 

 

◇その溶液の中に、毛染めした毛束を入れます。

 

 

◇毛束を入れたまま、ボトルを30回、攪拌します。

 

 

◇毛束を取り出して、水洗。

 

 

◇ドライして、仕上がり。 これを5回繰り返します。

 

◇ 上記のシャンプー・ドライを5回繰り返した後の毛束1(向かって左)

  毛束2 (向かって右)は、毛染めをしたまま(シャンプー実験していない)の状態。

 

◇シャンプーした後の水溶液を1回ごと、とっておきます。 向かって右側から、順番に、1~5回目のシャンプーの順番。

毛束より解りやすく、抜けた色の量が目でみて解ります。

 

 

◆毛束3◆  「美容室専売のシャンプー」 / シャンプーD タイプ  での色落ちテスト 

 ◆ 主洗浄成分「ラウラミドプロピルベタイン」  補助洗浄成分「ラウレス-4酢酸Na」

 の「ベタイン系(両性界面活性剤)」のシャンプーです。 (上の分類では、Dタイプです。)

 ◆ 当店のオリジナルシャンプー 「シャンプーマイルド」 での実験です。

 

◇ シャンプー剤のみ変えて、毛束1の場合と同様に、シャンプー・ドライを5回繰り返した後の毛束3 (向かって左)

  毛束2 (向かって右)は、毛染めをしたまま(シャンプー実験していない)の状態。

 

◇シャンプーした後の水溶液。 向かって右側から、順番に、1~5回目のシャンプーの順番。

毛束より、抜けた色の量が目でみて解ります。

 

商品の開発段階で、何度もこのテストを繰り返して、製品化しているわけですから、成績が良くて当たり前です。

 ◆「シャンプーマイルド」  

 http://www.bs-suzuki.jp/item/os-300new/

当店のほとんどの施術で使用しています。   ※5

当店のお客様の多くの皆さまにご愛用いただいています。

 

つづく。

 

※1「市販のシャンプー」と「美容室専売品」 

「美容室専売品」とは、薬事法などの法律で定めれたものではありません。

製造・販売元のメーカーさんが、任意で指定しているだけです。

言葉の意味としては、「サロンで美容師のアドバイスのもとに使用する商品」。

一方、ここでいう「市販のシャンプー」とは、スーパーやドラッグストアさんで購入できる商品を指します。

両者の違いは、流通ルートの違い、ということになります。

 

この両者をその構成成分の面から分類してみると、

市販のシャンプー」は、9割以上が、「高級アルコール系」のシャンプーです。

一方、「美容室専売品のシャンプー」を成分によって分類すると、多種多様に分類されます。

美容室の現場での使用目的、各美容室の顧客のプロファイルに応じて使い分けることが基本とされているかです。

 

ただし、「美容室専売品のシャンプー」の世界も、50年前~30年前くらいまでは、

「高級アルコール系」のシャンプーがほとんどでした。

(というか、ほかに選択肢がなかったためです。)

しかし、現在では、「美容室専売品のシャンプー」のなかでの「高級アルコール系」のシャンプーがしめる占有率は、極めて低くなっています。

し、現場の美容室で使われているケースはさらに低いと思われます。  ※5

そのくらい、ここ20~30年の間に、シャンプー用の界面活性剤は、めざましい進歩をとげています。

 

※2 女性には、洗浄力が強すぎる

現代では、高級アルコール系のシャンプーの洗浄力は、男性用としても、強すぎると思われます。

成人男性の皮脂の量に比べて、半分程度と言われる、女性用のシャンプーでは、尚さらです。

 

※3 「市販のシャンプー」は「美容室専売品」より価格が安い。

「市販のシャンプー」については、その商品設計が、大きなマーケティングに基づいて実施されていると考えられます。

そうであれば、まず、商品が最も売れやすい値段が設定され、それでも利益が得られる原材料価格が設定される。

そんな商品設計のプロセスから、

最終的に、もっとも原価が安く、経済価値の高い材料(高級アルコール系界面活性剤)が重宝され、選ばれている。

と考えるのが妥当でしょう。

 

いずれにしても、大手メーカーさんはどこも、

マスマーケティングによる「市販のシャンプー」と、「美容室専売品」の両方をラインナップしています。

(例 えば、「資生堂」さんでは、高級アルコール系シャンプーの市販品の「資生堂」という括りのブランドと、アミノ酸系シャンプーがその象徴でもある「資生堂プロフェッショナル」という美容室専売品のブランドの、2系列の商品を市場に展開しています。 そのほかのメジャーも、構図は同様です。)

企業として、どちらに、営業の比率を置いているかは、一目瞭然ではありますが…

 

このことは、消費者の立場からすれば、いま、シャンプーの選択肢は極めて広く提供されている、ということの証となります。

お客様が、ご自身の価値観に合わせて、自由に商品を選ぶことができる、この環境は、歓迎すべきものであると思います。

が、その価値判断をする基準を身に着けることは、これはまた極めて難しいことのようにも思えます。

 

※4 「石鹸系」界面活性剤

多くのお客様が誤解されていることなのですが、

「石鹸」も、脂肪酸と水酸化ナトリウムの化学合成によってつくられる合成界面活性剤です。

しかし、化学の世界で、石鹸と石鹸以外の界面活性剤を分類する用語として、「合成界面活性剤」なる言葉が使われることから、

石鹸が合成界面活性剤ではないという誤認識が生まれているようです。

石鹸は、性質としては、アルカリ性の性質を持つ界面活性剤のため、特殊な目的の場合以外、美容室で髪の洗浄のために使用されることはありません。

皮膚の洗浄用として使用されています。

 

※5 強い洗浄力のシャンプーが必要な場合

当店では、ヘナの洗浄など、特別に洗浄力を上げる必要がある場合のみ、シャンプー剤を洗浄力が強いものに変更しています。

 

※6 「高級アルコール系」のシャンプーが美容室で使われない理由

カラーやパーマの仕上がりや、髪のコンディションの維持のことを考えれば、

洗浄力が強すぎる「高級アルコール系」のシャンプーが選択されないことは、美容室では当然のことです。

加えて、この洗浄成分の特徴である洗浄力の強さは、「脱脂力」の強さという特徴を併せ持っています。

つまり、髪の毛のみならず、皮膚の油分も取り去る力が強いということです。

して、美容師の手荒れの最大の要因となっていると断言できるものが、この「高級アルコール系」のシャンプーです。 ※7

 

※7 「高級アルコール系」のシャンプーによる手荒れ

美容室グレープスの本店・「スズキ美容室」では、かつて、使用するシャンプーを「高級アルコール系のシャンプー」から「両性界面活性剤系のシャンプー」に変更したことを契機に、永年抱え続けていた美容師の手荒れの問題が、劇的に改善した経験を持っています。

しかし、

★ 現在市販されている「高級アルコール系のシャンプー」を一般消費者がふつうに使用して、手荒れをおこすことは、まず、ありません。

★ これは、一日に、10回以上シャンプーをこなし、そのほかにアレルギーの要因となる薬剤を使用する、美容室の環境でのお話しです。

★ ただ、この事実は、一般の方も、知識として備えておくと、なんらかの場合の問題解決のお役にたつのではないか、と思います。

 

◆ シャンプーをする回数が、昔とは、比べものにならないほど多く、

汗をかいたり、泥にまみれる機会の少ない、現代の生活環境の中で、

シャンプーの洗浄力は、必要最低限に抑えるべきであると、当店は考えています。


美容室の仕事「ヘア・カラーのシャンプーによる色落ちテスト」 ①

2016年10月26日 | ヘア・カラー

Presented by  グレープス.com  and スズキ美容室.com 

and  スズキ美容室・訪問サービス  (長野県飯田市)

 

10月20日は、「頭髪の日」でした。   ※1

皆さんご存知でしょうか。

「公益社団法人日本毛髪科学協会」が制定した、記念日です。

 

と、いうことで、今回からは、髪のお話です。

美容室での 髪のおしゃれの お話をさせていただきます。

 

 ◆カラー剤の発色の色見本を作るための毛束◆

(人毛などからできている この毛束を使っての、カラー剤の染まり具合のテストは、

どこの美容室でも行っている、ふつうの作業です。

が、カラーの色落ちのテストをしている美容室は、そんなに多くないはずです。

題して、「シャンプーによる色落ちテスト」)

 

一般的な美容室のメニューの中で、

現在、最もお客様が注文してくださるメニューが、「ヘアカラー」です。

その一方で、

ヘアカラーは、ご自宅でお染めをされる方も多くいらっしゃいます。

ですから、

美容室でカラーをしてくださるお客様には、

美容師は、プロとしてのカラーの仕上がりを、ご提供しなくてはなりません。

 

しかし、、せっかく仕上げさせていただいたプロのヘアカラーも、

お家でのお手入れ次第で、

長持ちもすれば、そうでなくなる場合もあります。

 

ですから、さしでがましいようですが、美容師は、お客様のお宅でのヘアケアについても、

口出しをさせていただきます。

逆に、お客様から、ご質問やご相談をいただくことも多くあります。

 

そんなとき、美容師が、プロとしてふさわしいお返事ができているかどうか、

これについては、美容室が、もっとも、気をもむことになるポイントです。

 

ですから、美容室では、お客様に対して、髪のプロの回答として、ご満足いただけるものになるような

仕込み(準備)の業務を行う必要があります。

私たちの美容室では、お客様にカラーのご提供をするにあたって、その仕込み作業として、

こんな準備もしています。って、ところを今日はご覧いただきます。

 

◆シャンプーによるヘアカラーの色落ちテスト◆

 

 

 詳細は、次回掲載となります。 

 

◇実際にお客様か頂いた疑問をもとに、美容室グレープスで調査した結果をご紹介していきます。

 

◆ヘアカラーをされているお客様の、ヘアケアの参考に、

◆あるいは、ホームカラーをされている方のヒントになる、 

実験結果をご提供できるのではないか…と、おもいます。

 

※1 「頭髪の日」 「日本毛髪科学協会」 

についての詳細は、 ⇒ こちら

http://blog.goo.ne.jp/bs-grapes/c/f787a604db9d549a6b4dbdba57a56dec

 


一枚の写真から・・・

2016年10月16日 | ウェディング

Presented by  グレープス.com  and スズキ美容室.com 

and  スズキ美容室・訪問サービス  (長野県飯田市)

 ◆ 一枚の写真から・・・

 

かつて、飯田で、神前結婚式といえば、「大宮で・・・」といわれた、

「大宮温泉(ホテルオオミヤ)」&「大宮神社」へのオマージュをこめて、

 

 

美容室では、お嫁さんのお支度をさせていただいたお客様から、記念に、花嫁さん花婿さんの写真を頂くことがあります。

美容室グレープスの本店、「スズキ美容室」でも、たくさんのお客様から、お写真をいただいてきました。

 

その中の一枚に、この写真があります。 

 

古いものでは、50年以上も前の写真から、当店がお仕事をさせていただいたご結婚式の記録を振り返る作業を行っていた中で、

この写真が、特別に目に留まるものだったため、

今回、関係者のお話しなどを中心に、いろいろと取材をしてみると、

この写真が撮影されるまでの背景には、色々なストーリーが詰まっていることがわかりました。

 

早速、この写真の背景をひも解いていってみたいと思います。

 

◆この写真は、いまから、20数年前に、スズキ美容室店主・鈴木文子がご依頼いただいたお仕事の花嫁、花婿様です。

 「新郎、新婦さまは東京を拠点に生活をされていっしゃり、東京で披露宴をすませてこられて、

この日、新婦様の郷里の飯田でのお式とご披露となりました。」

当初のお式の予定日に、先約のお嫁さんのお仕事が入っていて、それが名古屋への出張でのお仕事だったため、

お客様が、わざわざ日取りを変更してまで、ご依頼いただいた経緯から、

スズキ美容室・店主は、

美容師冥利に尽きる思いで、忘れられないお仕事となった、と壊述しています。

 

そして、

◆この結婚式の場所は、飯田市諏訪町の「大宮諏訪神社」、ご披露は、隣接の「ホテル・オオミヤ」。

飯田で、永く「大宮温泉」と呼ばれて、たいへん多くの方々に親しまれたホテルであり、割烹でした。

 

当ブログの前号のテーマでもあった「鯉の甘露煮」は、かつて、このホテルのお料理の代名詞でもあり、

(良くも悪くも、ワンパターンではありました。)

このお料理が、飯田での結婚披露宴で、欠くことのできないポピュラーなアイテムになったのは、

このホテルのおかげ?かもしれません。

 

それだけ飯田の人たちから支持されていた「ホテル・オオミヤ」が、まさか営業を終える日が来るとは、

多くの方が思いもしなかったのではないでしょうか。 (今から約10年前)

 

昭和生まれの、いまの飯田のお父さん、お母さん世代までの、たいへん多くのカップルが、

結婚式、披露宴を行ない。

あるいは、結婚式のお祝いに駆け付け、祝宴を挙げた、飯田で最もポピュラーだった結婚式場が、

大宮神社であり、ホテルオオミヤではなかったでしょうか。

 

日本の文化を愛し、骨董などにも造詣が深かった、ホテル・オオミヤの元オーナーが

自社の衣裳部に「江戸花嫁」とまでうたって、古典の花嫁にこだわられたことも、

この神社、式場から、数多くの和装花嫁さんが誕生した理由の一つだったのではないでしょうか。

 

そして、スズキ美容室がたずさわらせていただいた和装の「花嫁さん」の数が最も多いのが、

この大宮神社での結婚式によるものです。

 

この写真には、今となっては貴重な、当時の大宮神社での「お嫁さん」が、記録されています。

 

そしてもう一つ、

◆この集合写真に写っている花婿さま、ご親族さまのきものに注目して観てください。

この写真のなかの、お嫁さんの「白無垢」以外のお着物は、

お婿さんのコーディネイトをはじめ、すべて、あつえものです。

 

きものに詳しい方は、お気づきかと思いますが、

レンタル衣装で揃えられた場合とその趣が違います。

すべて地元の呉服屋さんによる見たての、おあつえのお着物だそうです。

 

きものへのご愛着、特別なこだわりをお持ちのご一家であるということは、もちろん理解できるのですが、

 

昔から、飯田の街には、数多くの呉服屋さんがあり、

この街では、昭和の時代の終りころまでは、日常の生活の中でも、着物を着る機会が、都会などに比べて、

はるかに多かったこと。

そして、実際、皆さん、素敵な着物をお持ちだったことが、偲ばれます。   ※1

 

◇ 現在の大宮神社の本殿。

秋のお祭も終わり、ひっそりとした境内。

 

私たちの美容室も、9月のお祭りの際には、神輿の担ぎ手さんの、きりりとして、「粋な」アップヘアを造らせていただきました。

が、当日は、夕方からお天気が崩れてしまい、大雨に。

今年のお祭りは、皆さん大変でした。

   

 ◇正面の鳥居

この神社の本社は、誰もがご存知の「諏訪大社」

飯田の、この大宮諏訪神社も、たいへん古い歴史があります。

 

  

◇門をくぐると急傾斜の石段。

古木の杉の木が大変立派です。

が、以前はうっそうと茂っていた鎮守の森も、ちょうど、「ホテル・オオミヤ」が、破綻、閉鎖されると同時に伐採され、

今は、この写真のように、空が見上げられるくらいのまばらな状態になっています。

 

  

◇手水舎

現在は、常駐の神職さんが不在の神社となっていますが、手水舎は、清潔に管理されています。      ※

地酒も奉納されています。

 

   

◇夫婦杉

結婚式の式場に相応しい、縁起物です。

  

 ◇急傾斜の石段を登り切ったところが本殿。

本殿の向かって右側に隣接するのは長久寺。 

◇長久寺越しに飯田の街を眺める。

長久寺の歴史も古く、かつては、この「大宮諏訪神社」を所有していた時代もあったと記されています。

飯田城の藩主・堀公のお墓があるお寺としても飯田では有名です。

 

◆「結婚式の記念写真」は、歴史の証言者◆

今回、一枚の結婚式の写真から、強いインスピレーションを受け取り、

その作り手である側の視点で、色々なことをひも解いてきました。

結婚式の作り手側に、これほどの思いが湧き上がる写真なのですから、

この写真の主人公、ご親族のみなさまには、もっともっと深い思いがあることは、察して余りあります。

 

・・・これも後日談として伺ったのですが…

当時のホテル・オオミヤでは、結婚式の記念写真は、施設内のスタジオでの撮影が慣例だったところを、

この写真は、お嫁さんの強いご希望で、境内でのロケ撮影が実施されました。

そのご希望に応え、髙木写真館さんの先代のご主人が、渾身のこの1枚を撮影されたとのことです。

 

◆理にかなった方法で、細部までこだわって作り上げたもの、思いがこもったものは、必ず、他人に伝わります。

そんな経験をみなさんお持ちのことと思います。

この1枚の写真は、シンプルそのもので、奇をてらうところなど一切ない結婚写真です。

が、それでも、目を引く。

歴史の記録としても貴重。そして、さまざまな感情がこあみげてきます。

たぶん、そうさせるものが、この写真の背景に、たくさん詰まっているからなのでしょう。

 

◆「演出重視」で、合成、修正を多用した、イメージ写真の方向に比重が向いているように映る、最近の結婚記念写真の世界ですが、

のちのち、つまり、30年、40年後か、もっと後になって、

「この日、この時、この場所で、この人と、撮っておいてよかった」、

「人生の一場面のよい記録になっている」、と思えるかどうかの基準で、

(もちろん、天気が悪くても、木の葉が紅葉していなくても、デジタル合成で造ってはダメですよ。)

今回、ご紹介させていただいたような視点で結婚写真を撮る、ということは、

若いカップルのみなさんも、大いに参考になるのではないでしょうか…

 

◇さいごに、

かつては、貴重な写真をご進呈くださり、今回は、このブログへの掲載を快諾していただきました、

三ツ井様に、こころかお礼申し上げます。

 

 ※1 飯田は呉服店さんの町

飯田の旧市街地 「丘の上」  ※2 では、

現在も呉服店さんは、数多く営業されていて、かつての城下町は、「呉服店の町」の形容に相応しい。 ※3

ちなみに、(都会の皆さんに誤解のないように・・・・) 以下は、現在の飯田の丘の上とは、こんな町。 (お店の数の単純比較です)

本屋さん(0) < コンビニ店(1) < スーパー(2) < そば店 < 焼肉店 < 呉服店 < すし店 < 和菓子店 <<< 飲み屋さん ≒美容室 (多数)

圧倒的多数(10以上)は、飲み屋さんと美容室。 信州なのに、お蕎麦屋さんが少なく、お寿司屋さんが多い。

 

※2 丘の上

坂の多い飯田の町の一部地域の通称。

定義としては、江戸時代の飯田城の城下町跡から、JR飯田駅までの飯田の旧市街地を指す。らしい。

旧市街地と呼ばれるが、新市街地がない飯田の町では、唯一の市街地ともいえる。

空洞化による、郊外移転に伴う閑散(シャッター街)化が著しいとも言われるが、

飯田の場合は、郊外の国道沿線の商業地帯も収縮傾向のため、

町全体の衰退が危ぶまれている。

 

※3 呉服店は飯田の象徴

飯田の呉服店は、かつて養蚕の産地として栄華を誇ったこの地域のひとつのシンボル。

因みに、飯田駅の近くにある飯田を代表するホテルには、「絹」を冠した名前が付けられている。

 

 


食の都へのオマージュ Ⅳ 「和太仙」さんの 「鯉の甘露煮」

2016年10月04日 | グルメ

Presented by  グレープス.com  and スズキ美容室.com 

and  スズキ美容室・訪問サービス  (長野県飯田市)

 

皆さん! 食欲の秋を満喫されていますか?

 

美容室グレープス&スズキ美容室に縁の、飯田のグルメをご紹介する第三弾です。

今日ご紹介するのは、飯田のソウルフード(伝統的郷土料理)のツートップのもうひとつ。    ※1

「鯉の甘露煮」です。

 

秋と言えば、お祝いごとの多い季節でもあります。

昔から、結婚披露宴をはじめとする、飯田でのお祝いの席に欠かせないものが、この「鯉の甘露煮」」です。

鯉の旨煮とも呼ばれています。

お料理屋さんによって、その料理法に、若干の違いもあるようですが、

いずれにしても、飯田の人は、あまーい鯉の煮魚が大好きです。

 

宴席では、これを肴に日本酒をいただくのが、飯田の流儀。なんですから、

飯田のお酒飲みは、ツワモノです。   ※2

◆「鯉の甘露煮」  By 「 割烹・和太仙 (わたせん)」(飯田市馬場町)

 

鯉は、内臓まで、 しっかりいただけます。 

 

鯉の甘露煮は、いまでも、飯田の人気料理のトップランクのメニューに違いはないのでしょうが、

おいしい鯉の甘露煮を食べられる機会は、明らかに、減ってきています。

 

割烹、料亭、という和食の名店の多くが閉店してしまった現在、

鯉の甘露煮をメニューに載せているお料理屋さん、仕出し屋さんは、

間違いなく、飯田の老舗と呼ばれているお店です。  ※3

 

◆飯田市と隣接する 「豊丘村」※4、「喬木村」とを隔てるように流れている川が、天竜川。

この写真では、天竜川の上流、諏訪湖方面を写しています。

 

諏訪湖から、辰野、伊那、駒ケ根、飯田とつづく天竜川の流域を伊那谷と呼びます。

中央アルプスと南アルプスに挟まれた、この伊那谷(伊那盆地)は、水と気候に恵まれて、

豊かな農産物が収穫され、長野県内でも屈指の食文化を誇るといわれてきました。

その代表格が、川魚料理です。

◆天竜川の下流方面の写真。

この川は、この先、険しい山間部を流れ、静岡県を横断して、

浜名湖から、太平洋に注ぎます。

◆右手にアングルを移動すると、飯田のシンボル「権現山(風越山)」が、写りこんできます。

ここは、飯田市坐光寺から、喬木村を結ぶ阿島橋です。

 

天竜川の下流に大きなダムができるまでは、このあたりでも、天然のうなぎが獲れたそうです。

現在は、ウナギの稚魚が放流されているそうです。

 

ちなみに、現在、飯田下伊那地区で食用の鯉がもっとも盛んに生産されているのは、

このあたりから少し下流の、飯田市の松尾地区だそうです。

 

◆天竜川を渡り、飯田市の対岸、喬木村の高台に来ました。

 

◆早くもりんごがこんなにいい色に。

 

伊那谷の中でも、特別に温暖な気候の喬木村は、知る人ぞ知る果物のメッカ。

冬から、初春にかけてのいちご「章姫」は、絶品です。

◆北海道? はたまたアメリカ西海岸の農業地帯を彷彿とさせるフルーツパークのこの風景。

 

 ◆フルーツパークから、対岸の飯田市方面を眺める。

飯田のシンボル「権現山(風越山)」が、真正面に。

 

  

◆高台のすぐ下を雄大に流れる天竜川が、ちらっと見えています。

 

空が高く、秋本番です。

皆さん、おなか一杯飯田の美食をいただきましょう。

 

 

◆鯉は、栄養豊富なことでも特に名の知られた食材です。

その滋養強壮作用は、鯉好きの方が特に実感するところでしょう。

 

◆ 飯田市馬場町の割烹「和太仙」さんは、由緒ある飯田の割烹料理店。

 

そして、美容室グレープスの本店、スズキ美容室の店主が、うん十年前に、自身の結婚披露宴をさせていただいたのが、

こちらのお座敷です。

◆ 飴色に光る鯉の写真からもおわかりのとおり、鯉の甘露煮は、こちらのお店の、まさに「十八番」です。

 

飯田では、「お歳とりの魚」といえば、、もっぱら、ブリ、というお家が一般的のようなのですが、

年末の飯田の鮮魚マーケットでの、ブリの値段の高騰はすさまじく、・・・

そんななかで、昨年、鯉の甘露煮でのお歳とりを勧めていただき、我が家も初めてチャレンジしました。

(長野県内には、鯉が「お歳とりの魚」となる地域もあるようです。)

一匹丸ごと買いで、調理をお願いして、お正月まで楽しめました。

お値段も、年末の天然ブリ一切れ程度の価格でお願いができ、お味だけでなく、お値段的にも美味しい、お正月を迎えれました。

 

◆和太仙さんでは、仕出しでの注文はもちろん、

作りたての鯉の甘露煮の地方発送(都会発送?)にも対応してくださるそうですので、

飯田の味が恋しい飯田出身の都会の皆様、 ※5  お取り寄せください。

◆「和太仙」◆  飯田市馬場町1-2    電話: 0265-22-6490

 

 

※1 飯田のソウルフード (伝統的郷土料理) のツートップ

もう一つのトップ、それは、もちろん⇒ こちら  http://blog.goo.ne.jp/bs-grapes/e/b5104405c161063548407cf56b00e5ad

※2 飯田のお酒飲み

飯田の酒といえば http://kikusuisake.co.jp/  KIKUSUI。 この地域では、圧倒的なシェアです。

お酒の味は、きりっとした辛口。

※3 飯田の老舗のお料理屋さん

お盆やお正月に都会から帰省される飯田出身の人にとっては、全国チェーンではない、地元のお料理屋さんがなくなって行ってしまうことが、残念でならないんです。

この夏、飯田出身の知人から、飯田らしいお料理屋さんを教えてほしい、なんて言われました。さらに、「自分たちが飯田にいた時代は、飲み屋さんの数、一番とか言ってたのに、今では、焼肉屋さんの数が一番だとか、飯田が焼肉文化の町だとか、東京の放送局のテレビ番組で放送していたけど、これって、いったいどういうこと?昔は、ジンギスカンの有名店が2、3店あっただけなのに?」なんて言われてしまいました。

「ストーリーの独創、歴史の書き換え、文化の破壊。面白けれは何でもアリ。」 それでも、いまだに影響力が大きいだけに、ホント、「テレビ」は怖いです。

「✖「焼肉文化の町」 〇「食肉業界さんの近年の営業努力の結果」 が正解でしょう。「鮮魚業界」さんも、がんばって! 」  ※6

※4 豊丘村

いま、下伊那郡で最もホットな村。ふるさと納税がトップランク。大手メーカーの工場が転入。マツタケの産地としても有名。

※5 飯田出身の都会の皆様

出世されている方がたいへん多いです。郷土の衰退にストップをかけるため、ひと肌脱いでいただけるリーダーはいらっしゃらないのでしょうか。

※6 近年の営業努力の結果

「食肉業界」さんと同様に、過度な供給過剰状態にある、わたしたち飯田の「美容業界」は、なにふり構わない内需拡大の努力が不足していると、痛感させられます。