美容室グレープス (飯田市) 店長&スタッフ・ブログ

飯田駅アイパーク広場前「美容室グレープス」(グレープス.com)のブログ。 
本店「スズキ美容室」(飯田市)の話題も。

訪問美容のスキルアップを目指して⑥ 美容室のカルテは、「神様のカルテ」になれるかⅠ

2015年11月22日 | 訪問美容のスキルアップ

  ◆「神様のカルテ2」   夏川草介著 

 ◆ 映画 「神様のカルテ2」   深川栄洋監督

 

「神様のカルテ」の続編、「神様のカルテ2」。

この続編でも、作品の大きなテーマとして、ターミナル(終末)が扱われています。

 小説の展開同様にシリーズ化され、制作された映画版。

 個人的には、映画版は、このパート2を特におすすめしたいです。

 

夏目漱石を敬愛する、主人公の医師・栗原一止(桜井翔さん)。

妻で、山岳写真家の榛名(宮崎あおいさん)の夫婦は、

前作同様、ちょっと浮世離れした、独特の間合いを保ったカップルとして描かれています。

 

そこで、今回、ヒューチャリングされるのが、一止(桜井翔さん)の上司の医師(柄本明さん)です。

 

町の総合病院の屋台骨を支えてきた、ベテラン医師の壮絶な最期(激務による、働き盛りでの死)が、

 一止をはじめとする彼にシンパシーを持つ同僚の病院スタッフによるターミナルケアの尽力で、

おだやかに迎えられる様が描かれています。

 元祖「ヒポクラテスたち」 ※1 であり、「カンゾ―先生」(今村昌平監督)でもあり、医師の役が板につく、柄本明さん。

とても印象に残ります。

 

このほかにも、一止と対照的なキャラクターとして登場する、新任の医師(藤原竜也さん)も魅力的な存在。

 映画版も是非ご覧ください。

 

◆そんな映画版で、なかなか活躍の場面がなくて残念なのが、一止の妻の榛名。

 原作では、山岳写真家である彼女の写真家としてのひととなりも描かれています。

 彼女が写真のメインテーマとして追いかけているものが、信州の大自然です。

◆ここからは、当ブログで、映画版の榛名さんに代わって

この小説に登場する榛名さんおすすめの信州のフォトスポットのいくつかを辿ってみたいと思います。

つづく。

 

 ※1 映画「ヒポクラテスたち

 1980年(昭和55年) 大森一樹監督作品

 ◆ 大森一樹監督の私小説的(私的体験がモチーフの)映画。

大学の医学部を舞台にした群像劇。学園ドラマであり、医療ドラマ。

 

◆若き日の柄本明さんが、医大生役の主要キャストとして出演されています。

「神様のカルテ」からは、およそ30年前の日本の社会、医療の世界がリアルに描かれている点に特に注目です。

この映画と「神様のカルテ」を併せて観てみると、戦後の日本には、「医学部出身、文科・芸術系」とでも言える作家の系譜があって、

そのスピリッツが脈々と受け継がれていることに気がつきます。

そして、この系譜の源であり、精神的支柱であろう、「手塚治虫」氏も、なんとこの映画に出演されています。

 

〇「青春映画」の傑作としても、名前が知られているこの映画。

公開当時、背伸びして観たものの、意味がよくわからなかった記憶しかないのが私の思い出。

貴女、貴方にとっての思い出の青春映画は、なんでしょうか?

 

 

 


訪問美容のスキルアップを目指して⑤ 新「姨捨山」の国で

2015年11月12日 | 訪問美容のスキルアップ

美容室グレープスの本店「スズキ美容室」のカウンターの花瓶のコスモス

このコスモスの画像(10月末の撮影)も、このブログも、ちょっと出しそびれていたら、

季節は一気に動いてしまいました。

 

秋の日はつるべ落とし。

と、昔の人が言う通り。

いま、夕方5時にもなれば、美容室の周辺は、日が落ちてしまいます。

 

さて、

わたしたちが、受講させていただいた、「介護職員初任者研修」のテキストの最後の項目は、

ずばり、ターミナル(終末)ケア、のケーススタディでした。

 

「88歳の女性。

75歳でご主人をなくし、ひとり息子は、結婚して、海外勤務中。

認知症により、危険認識ができず、転倒、骨折を繰り返し、

寝たきりの状態での特別養護老人ホームでの生活。

全介助の状態で、身体機能が低下状態に向かっている現況。」

といったケースを想定して、

授業では、演習が行われました。

 

近年の医学の進歩によって、平均寿命が飛躍的に伸びました。

人生100年時代もチカズイています。

そんな社会状況の中で、いまもっとも重要となっているテーマは、

「健康寿命」と、「自分なりの終末の迎え方」という二つではないでしょうか。

 

すでに医療の世界では多くの議論、試行錯誤が行われてきているこの「テーマ」。

「私たち人間の人生に与えられた最後で最大の課題」

への向き合い方、と言えば適切なのでしょうか。

いま、介護の世界でもこのテーマへの取り組みに、多くの英知が注がれていることが

今回の研修で理解できました。

そして、そんなターミナルケアの現場では、

たぶん生物の中で人間だけが持っている力 「精神的なものへの働きかけ」が、

定型の答えの出せないこのテーマへの回答として、重要な役割を果たすのではないか、と多くの人が気付いています。

 

「神様のカルテ」   夏川草介著

◆ 現役の医師でもある作家、夏川草介 ※1 さんの大ヒット小説。

「姨捨山」の国、信州にある唯一の国立大学である「信州大学の医学部」がモデルであろう、

「信濃医大」。その信濃医大出身の若い内科医が主人公の医療小説。

信州のへそ、中心点 「松本市」が舞台となっています。

 

群像劇ともいえるこの小説の中で、一つの核となっているテーマが、「終末医療」。

大学病院で、「治療不可能」の宣告を受けた、ひとりの老女「安曇さん」。

町の総合病院で、その安曇さんの担当となった主人公の医師「栗原一止」とのかかわりが描かれています。

もうひとり、身寄りのない「安曇さん」を見守る初老の紳士も、なにかを暗示する役割として登場しています。

 

◆昭和31年の日本の文学界の一つの象徴的小説である 「楢山節考」。

その選考委員をつとめた、当時の日本を代表する「頭脳」ともいえる、伊藤整。武田泰淳。三島由紀夫。の3氏。

 

◆平成21年の日本の社会の雰囲気を間違えなく伝えている、小説 「神様のカルテ」。

舞台は同じ信濃の国。長野県。

いま、伊藤整。武田泰淳。三島由紀夫の各氏に、「神様のカルテ」評を聞くことができたなら・・・・

きっと面白いことになるんだろうな、と空想しています。

たぶん、「甘っちょろい」なんて言われてしまうのでしょうか…

 

◆そして、これから50年後。

楢山節考」、「神様のカルテ」 この2作品を読んだ50年後の新世代の日本人、信州人は、

いったいどんなことを想うのでしょうか。

興味津々です。

 

 「文明堂」さんのどら焼き。

 松本よりもはるかに田舎の飯田の駅前のスーパーでも、文明堂さんが買えました。

「文明堂のカステラ」は、「神様のカルテ」の登場人物 / ひとりで終末を迎えようとしているお婆さん、「安曇さん」の思い出の味です。

「神様のカルテ」 

まだ読んでない方には、是非お勧めしたいです。

 

※1 夏川草介

信大医学部卒のお医者さんであり、人気作家。

ちょっと、軽薄っぽいペンネームの「夏川草介」。

実は、夏目漱石の「夏」。川端康成の「川」。芥川龍之介の「介」から採られたそうです。

明治の日本の文豪を網羅した大変重厚なお名前でした。 谷崎潤一郎が入っていないのは、・・・・わかるような気がします。

ご本人は、大阪府の出身ということですが、

作品の中の描写からは、信州にとてもフレンドリーで、好意を持っていただいているように感じます。

「神様のカルテ2」 も是非お読みください。

信州ならではの大自然を背景にした隠れた名所の描写が随所に織り込まれています。

 

つづく。