◆「神様のカルテ2」 夏川草介著
◆ 映画 「神様のカルテ2」 深川栄洋監督
「神様のカルテ」の続編、「神様のカルテ2」。
この続編でも、作品の大きなテーマとして、ターミナル(終末)が扱われています。
小説の展開同様にシリーズ化され、制作された映画版。
個人的には、映画版は、このパート2を特におすすめしたいです。
夏目漱石を敬愛する、主人公の医師・栗原一止(桜井翔さん)。
妻で、山岳写真家の榛名(宮崎あおいさん)の夫婦は、
前作同様、ちょっと浮世離れした、独特の間合いを保ったカップルとして描かれています。
そこで、今回、ヒューチャリングされるのが、一止(桜井翔さん)の上司の医師(柄本明さん)です。
町の総合病院の屋台骨を支えてきた、ベテラン医師の壮絶な最期(激務による、働き盛りでの死)が、
一止をはじめとする彼にシンパシーを持つ同僚の病院スタッフによるターミナルケアの尽力で、
おだやかに迎えられる様が描かれています。
元祖「ヒポクラテスたち」 ※1 であり、「カンゾ―先生」(今村昌平監督)でもあり、医師の役が板につく、柄本明さん。
とても印象に残ります。
このほかにも、一止と対照的なキャラクターとして登場する、新任の医師(藤原竜也さん)も魅力的な存在。
映画版も是非ご覧ください。
◆そんな映画版で、なかなか活躍の場面がなくて残念なのが、一止の妻の榛名。
原作では、山岳写真家である彼女の写真家としてのひととなりも描かれています。
彼女が写真のメインテーマとして追いかけているものが、信州の大自然です。
◆ここからは、当ブログで、映画版の榛名さんに代わって
この小説に登場する榛名さんおすすめの信州のフォトスポットのいくつかを辿ってみたいと思います。
つづく。
※1 映画「ヒポクラテスたち」
1980年(昭和55年) 大森一樹監督作品
◆ 大森一樹監督の私小説的(私的体験がモチーフの)映画。
大学の医学部を舞台にした群像劇。学園ドラマであり、医療ドラマ。
◆若き日の柄本明さんが、医大生役の主要キャストとして出演されています。
「神様のカルテ」からは、およそ30年前の日本の社会、医療の世界がリアルに描かれている点に特に注目です。
この映画と「神様のカルテ」を併せて観てみると、戦後の日本には、「医学部出身、文科・芸術系」とでも言える作家の系譜があって、
そのスピリッツが脈々と受け継がれていることに気がつきます。
そして、この系譜の源であり、精神的支柱であろう、「手塚治虫」氏も、なんとこの映画に出演されています。
〇「青春映画」の傑作としても、名前が知られているこの映画。
公開当時、背伸びして観たものの、意味がよくわからなかった記憶しかないのが私の思い出。
貴女、貴方にとっての思い出の青春映画は、なんでしょうか?