美容室グレープス (飯田市) 店長&スタッフ・ブログ

飯田駅アイパーク広場前「美容室グレープス」(グレープス.com)のブログ。 
本店「スズキ美容室」(飯田市)の話題も。

訪問美容の未来予想図 ④ 続◆ 都心のトップスタイリストが描く、未来の「訪問美容」の姿とは◆「脱・施設カット」

2018年04月26日 | 訪問美容

Presented by  グレープス.com  and スズキ美容室.com 

and  スズキ美容室・訪問サービス.com  (長野県飯田市)

 

 

◆ 「脱・施設カット」へ 気迫にあふれる会場 ◆

「明日から始める訪問美容 ワークショップ」 と題されたこのセミナーに集った首都圏のトップスタイリストの皆さんと

訪問美容について学ばせていただいた貴重な時間。

 

このセミナーで最も盛り上がった場面は、

「施設カット」 ※1 と呼ばれる、かつて訪問美容の代名詞だった? カットスタイルを変えたいという、

スタイリストさんの力強い決意表明の場面。それは、会場全体の熱気が最高潮に達した瞬間でした。

そしてそこには、トップサロンのスタイリストの皆さんらしい、美容の技術に対するプライドと熱い志がありました。

 

一方で、

首都圏の訪問美容をお手本として、学ばせていただいてきた私たちとしては、

いままで参加させていただいた首都圏の現場では、「施設カット」に該当すると思われる施術に遭遇したことはなく、

首都圏の訪問美容で、それはもう 「過去のもの」 という認識だっただけに、

このスタイリストさん方の認識には、違和感を抱かずにはいられない部分もありました。  ※2

 

 

しかし、ワークショップの討論の中で、

自由が丘にあるサロンの女性のスタイリストさんが、

人気サロンがサロンワークのかたわら、わざわざ、訪問美容に着手する動機を

「担当するお客様から、要介護のお母様のカットをお願いされたこと」  ※3

とおっしゃられた事例などから考えてみると、

( 田舎の状況から比べれば、格段に進んでいる。と思われる首都圏の訪問美容においても )

要介護のお客様へのカットに、

・・・主にデザインの面で・・・

まだまだ十分ではないと評価されるところがあることも、事実なのではないでしょうか。

 

訪問美容の業界でも、介護の業界でも、その理念や技術の進歩が、

時に想像以上のスピードで進行することを、私たちは目の当たりにし、理解もしているつもりでいました。

しかし、今回、無意識のうちに「既成概念」をつくって、思考停止していたことを

気付かされました。

 

このセミナーに参加れたスタイリストの先生方のお客様方が、訪問美容を必要とされる時代になるまでには、

訪問美容の在り方も、さらに大きく変わるのではないか(「第3の波」)、と予感させてくれる貴重なワークショップでした。

 

つづく。

 

 

※1 施設カット

高齢者介護施設に入所された女性の利用者様が、その施設でカットされる「特別な髪型」を総称する用語。

ヘアスタイルが均一的であることが特徴。 男性風の刈上げ、短髪、などが代表的なスタイル。

介護保険制度・施行後の初期の段階に発生した現象(「訪問美容第1の波」)であり、

それが、一種の社会問題として取り上げられたため、一般の人たちも知るところとなった。 

 

その原因は、「介護保険制度」という新しい制度に、誰もが手探りの状態だった中で起こった「錯誤」と「需要と供給のミスマッチ」に集約されます。

① 高齢者介護施設への入居者の77%を女性が占める実状にもかかわらず、 ※4  利用者様へのヘアカットに理容業者さんが供給されるケースが多かったこと。 ※5  

② 「髪への美容」 (「理容」・「その他の美容」も一緒です) のサービスは、そもそも介護保険の対象業務ではないのですが、多くの介護施設では、介護保険サービスと同じ様に、同一内容、同一料金で一律に提供されるべきもの、という誤解が生じていたため。

③ 一部の施設では、介護保険以前の「社会福祉施設」時代の形態が継承されたことにより、利用者様へのヘアカットの提供者が「ボランティアさんや練習生」という枠組みがそのまま持ち越されていたため。  ※6

加えて、

◆「施設の担当者様は、(当然ですが・・・) 美容の専門知識をお持ちではなかった。」

◆「訪問美容の担当者には、介護現場の知識がない。 さらに、シニアのお客様への美容の知識、実績もない場合も多かった。」

◆利用者様、ご家族様は、その施設にお世話になっている立場上、「我慢してしまう」

という当事者の間の三角形の「お見合いの構図」ができてしまい、なかなか問題が表面化しなかった経緯があったと聞きます。

 

ただし、首都圏の介護現場での、「問題の表面化」以降のサービスの刷新の流れは、極めてスピーディだったともいわれています。 

⇒ 訪問美容の「第2の波」 ⇒ LLP全国訪問理美容協会設立される。

⇒ こちら http://スズキ美容室訪問サービス.com/info/1257839 もご覧ください。 

(LLP訪問理美容協会・藤田理事長のインタビュー記事から、当時の高齢者介護施設での生々しい状況がうかがえます。)  

 

 ※2 「施設カット」 の現在

◆ 首都圏の介護施設の経営者の中には、美容の提供を、食事の提供に匹敵するほどの重要事項ととらえて、施設を経営されている事業者様があります。

◆ そもそも、美容のサービスが介護保険の対象事業ではないため、専門外でのリスクを負うことを避けて、美容の専門業者に業務委託して、サービスの向上を図る事業者様もあります。

また、その一方で、

◆ 現在も、施設全体で入居者様への「施設カット」のオーダーを出されている事業者様もある。そうです。 

~ このセミナーの後、4月に行われた、「LLP全国訪問理美容協会」の情報交換会にて、首都圏の訪問美容で確かなシェアを持つ事業者の経営者様からいただいた情報です ~ 

 

 

※3 要介護のご家族様へのカットのご依頼

かつて、私たちの本店「スズキ美容室」が、「訪問美容に本腰を入れなくてはいけない」と決心したのも、同様の、「ご家族様からのご相談」がきっかけです。

< 誰に相談してよいかわからない ご家族様からの S.O.Sです。>

⇒ こちら http://スズキ美容室訪問サービス.com/free/aisatsu もご覧ください。

(「スズキ美容室訪問サービス」代表のご挨拶のなかで、当時の状況の回顧が語られています。)

 

※4  厚生労働省 「平成28年介護サービス施設・事業所調査の概況」 より

 

※5 男女別にみた、「美容」と「理容」の利用比率    ※7

<リクルートライフスタイル「美容センサス2017下期」の調査結果による>

◇60代女性の82%が過去1年間に美容室の利用経験があり、(理容店の利用率は調査結果なし)

◇70代女性の74%が過去1年間に美容室の利用経験があり、(理容店の利用率は調査結果なし)

◆60代男性の4%が過去1年間に美容室の利用経験があり、◆男性の66%が理容店の利用経験がある。

◆70代男性の4%が過去1年間に美容室の利用経験があり、◆男性の68%が理容店の利用経験がある。

   

◎ 法律などで、性別による利用制限、利用の誘導がなされているわけではありません。

しかし、「髪を切ったり、セットしたりする」目的は一緒でも、男女の消費傾向の違いは顕著です。

それほど業態によるサービス内容の違いが存在するということなのでしょう。

◆ 介護保険制度施行直後に、高齢者介護施設で起こった、理容と美容の発注の際の錯誤は、ほとんどがこの理・美容の違いをご理解いただいてない場合に発生しています。

◆そんな背景もあり、現在、「消費者保護」の観点から、理容、美容の業種表示については、厳格さが求められています。

 「理・美容室」の表記が認められるのは、

「理容・美容の両方の開設許可を得ていて、両資格を有する者のみによって営業されている事業者」です。

(平成28年4月7日施行 改正「理容師法施行規則」、「美容師法施行規則」より)

 とはいうものの、

その「理・美容室」の先生の実質の技術のキャリアはどちらなのか? 

そして、お客様にとって最も重要な情報である、

そのお店のサービス内容が理容なのか、美容なのか、その中間なのか・・・については、

傍目からは判断できません。 事業者さんが積極的に情報発信をされていればよいですが、

そうでなければ、お客様が実際にお店に行って、判断していただくほかありません。

 

※6  ボランティア&練習生による施設カット

「介護保険制度の施行以前の社会福祉施設での利用者様へのカットの提供方法として一般的にあった。」

~ これは、「介護保険以前」から活躍されている (公社)日本毛髪科学協会の会員でもある、理容業の大先輩からおうかがいしたお話しです ~

地域的には、関東より西の地域で多くあった事例のようです。

 

※7 「美容」と「理容」の業態の違いについて

それぞれの業態のお店に行かれた経験をお持ちの男性諸兄なら、すでにお分かりのことと思います。

① 理容店と美容室では、カットの技法が違います。 また、サービス・メニューの設計、考え方が全く違います。

 

◆これ以降は、お客様にとっても 「知っていれば、得することもあるだろう・・・」 レベル の業界ネタになります◆

 ~ よろしかったら、お付き合いください ~

 

② 「理容業」と「美容業」は、それぞれ「理容師法」と「美容師法」によって管理されています。

それゆえ、それぞれの業態の違いは、「法律によって分けられているだけのもの」といったご意見も散見されます。

が、

☐明治維新の際の断髪令によって、導入された「西洋理髪」を起源とする理容業と、江戸時代の「女結髪」を起源とする美容業の業態の違いは、歴史をさかのぼれば、それが法律(昭和中期の制定)以前から脈々と続く文化的なもの、伝統的なものであることが容易にご理解いただけます。

(参考文献 「洋服・散髪・脱刀 服制の明治維新 」刑部 芳則著 ほか ) 

しかし、

☐近代以降の現代社会では、ファッションのグローバル化の波に影響されてか、「理容」、「美容」+「その他の美容」という産業構造が、世界で同時に発展し、定着してきた現実があり。そこからひも解けば、この違いは、実は普遍的なものであることも、ご理解いただるのではないでしょうか。

(参考文献 「欧米理容美容の歴史」 R.T. ウィルコックス著  ほか U.S census  データベースより)

 では、

③ 産業としての「美容業」「理容業」の違いを観てみます。 併せて、周辺業種との関係も観察してみます。

◆「総務省 産業動向調査による」 産業別年間売上高は、以下の通りです。◆

2016年 日本全国での集計

◆美容業(美容室・美容院) 約1.6兆円 / 42.5万人(就業者数/常勤・臨時)   

◆理容業(理容店・床屋)  約0.4兆円 /  19.8万人(就業者数/常勤・臨時)  

◆その他の生活衛生サービス・美容(エステ・ネイル店を含む) 約1兆円 / 17.0万人(就業者数/常勤・臨時)

※①現在、「美容」と「理容」が、異業種間でシェアを争う「男性のヘアカットのマーケット」での市場占有率は、☐美容・約4割 ☐理容・約6割 と算出されます。(リクルートライフスタイル「美容センサス2017下期」より。15歳から69歳が対象の調査)

※②同様に、「美容」と「その他の美容サービス」の内のエステサロン・ネイルサロンが異業種間でシェアを争う「エステ&ネイル」の市場の占有率のマーケットリサーチは見つかりませんでした。 

⇒ ①の「理容」×「美容」のシェア競争は、理容師法と美容師法という同種の法規制の下でイコールコンディションの競争が行われています。現在の、この競争による市場の活性化が消費者利益につながっていることは男性の皆様は特に実感されているのではないでしょうか。

  

<「ザ・バーバーブック」  枻出版より>

◆ 東京・渋谷区を中心とした cool な理容店さんが、ファッション誌にフューチャーされています。

◆美容商材の卸問屋さんのブックコーナーに、バーバーテクニックやバーバー情報の本が並ぶ風景は、10年前にはあり得ませんでした。

  

<「TOKYO HAIR  最先端のヘアスタイルストーリー」 トランスワールドジャパン より>

◆ 迎え撃つ?美容業界。 メンズスタイルのトレンドをクリエイトするリーディング・カンパニー peek a boo さん監修のメンズファッションのスタイルブック

◆ Barber V.S  Stylist  いま、エキサイティングなメンズヘアのマーケット争奪戦が展開されています。

一方

②「美容」×「エステ・ネイルサロン」のシェア競争については、美容業のみに厳格な法規制という負荷が課せられていることを、消費者の皆様にもご理解いただきたいところです。 しかし、 裏を返せば、美容室でのエステ・ネイルの施術には、「衛生法の管理」という安心の付加価値がついていることもご理解いただきたいポイントです。

 

   

 

つづいて、同種の統計を、アメリカの経済センサスから引き出してみます。

2007 全米国勢調査より ◆ 

◆引用元・JETRO 「米国における教育産業、人材派遣産業、理容・美容産業制度調査」(2013年1月)◆

(少し古いデータになりますが、全米での美容業と理容業、そして、その周辺業種との関係、産業構造が、日本のそれと同型であることがご理解いただけるのではないでしょうか。 /「JETRO」の公式サイトには、いくつかの国の美容とその周辺産業のリポートの掲載があり、それぞれ大変興味深いものです。)

◆美容業(ヘアサロン・ビューテーサロン) 約3.6兆円 / 62.7万人(就業者数)  

◆理容業(バーバー)              約0.3兆円 / 6.2万人(就業者数) 

◆ネイルサロン                  約0.6兆円 / 8.1万人(就業者数)  

◆その他の美容サービス(エステを含む)  約0.7兆円

※ 為替レート 1ドル/105円で算出。

 

ところで、現在、

④ 「ヘアサロン」  「カットサロン」など、「美容」「理容」の肩書をつけない名称の店舗も、多くあります。

そのネーミングには、

そのお店が、普遍的な、理容・美容とはちがった枠組みでサービスを設計をしていますよ、とうメッセージが込められている、とご理解いただいてよいかと思います。

ただし、名前が「ヘアサロン」でも「カットサロン」でも、その属性は、「美容室」か「理容店」のどちらかです。

そこで、あからさまでないまでも、ご来店いただくお客様には、その部分の情報(属性)をお知らせすること。それが「お客様へのマナー」という業界の暗黙のルールです。

その、「あからさまではない、お客様へのお店の情報提供」の例を挙げさせていただきます。

◇例1  「ヘアサロン丘の上ゆず花」~紳士と淑女のための美容室~

 ⇒ 僭越ですが、わたしたちの系列サロンのネーミングです

 

 

 ◇例2  「三色のサインポール」

 これは、古代の外科医を起源とする誇り高き西洋理髪業(理容業)の目印です。

  店舗名が「ヘアサロン×××」であっても、サインポールが、かかげられていれば、

 それは、理容店(バーバー)さんに間違いありません。

 

 

 

 

 

 

⑤ 「訪問美容業者のネーミングにもご注意を」

個人のお客様や、介護施設様が、訪問美容をオーダーされる際の事業者の選定の際は、

さらに紛らわしいネーミングに、注意をおはらい下さい。

◆ここまでお付き合いいただいたお客様は、すでにお分かりのことと思います。◆

ネーミングに惑わされることなく、業者さんの実態を把握されることが、間違いのないオーダーにつながります。

◆「訪問美容」なのか、「訪問理容」なのか?はもとより、

◆シニアのお客様への対応の実績があるのかないのか、

◆出張担当のスタッフが自社のスタッフなのか、外注スタッフなのか、あるいは人材派遣業なのかの違いによって、

サービス内容、価格、施術のレベルから始まって、訪問美容で最も重要な品質管理の有無まで。

その結果に大きな違いが発生することが、ご想像いただけるのではないでしょうか。

いずれにしましても、

お客様が必要とされるサービスにふさわしい業者をお選びになる最善の方法は、

「実店舗での営業内容」を確認されることです

都会の環境下では難しい場合も多いですが、地方のお客様にとっては、有効な方法になること間違いありません。

 

◆飯田下伊那地域のお客様には、「かかりつけ美容室」制度があります。

お世話になっている先生がいらっしゃるお客様は、

まず、かかりつけの美容室にご相談されることをお勧めします。

 

 


「日本髪」の結い上げが見られます @江戸東京博物館 2018.4.22(日)

2018年04月20日 | 

Presented by  グレープス.com  and スズキ美容室.com 

and  スズキ美容室・訪問サービス.com  (長野県飯田市)

 

 

東京・両国の江戸東京博物館で、

「写楽の目 恋する歌麿 ~浮世絵ベストコレクション」展を観せていただきました。

  

JR両国駅から、国技館の前を通り抜け、すぐ隣が江戸東京博物館です。

ここは、駅の出口から、和食のみのファーストフード店によって構成されたフードコートがお出迎えしてくれる素敵な立地の博物館。

ありそでない、( いままでおめにかかったことはありませんでした ) 食道楽にとっては、垂涎もののたいへん魅力的な街づくりです。

 

  

写楽と歌麿をフューチャーしたのが今回の展示の大きなテーマ。

そこからさらに、詳細なテーマに絞り込んでみせてくれるこの企画は、専門性が高いと言えばそうなのですが、

両作家の作品の世界の奥深くへ導いてくれる入口として、

多くの方が楽しめるのではないでしょうか。

 

今回、初公開されている歌麿の作品に登場する美女の髪型、「灯篭鬢」※1 

の結い上げ (hair dressing) の実演が、今度の日曜日 4月22日の午後14時30分から、

博物館内5階、この浮世絵展が開催されている芝居小屋にて、実演されます。

こちらも興味深い、貴重なショーです。お見逃しなく。

 

結髪師は、林照乃先生。ナビゲーターが、村田孝子先生(ポーラ文化研究所)という

この分野の第一人者の先生方のコンビによるステージです。

モデルさんの自毛によるフルスペックの日本髪の結い上げは、いまの世の中で、

めったにお目にかかれるものではありません。

 

  

◆この画像は、昨年9月に開催された、今回と同じ先生方のコンビによる結髪ショーの模様です。

その際のテーマは「日本髪(江戸時代後期の銀杏返し)を束髪(明治時代初期)に結いなおす」というもの。

結髪師の林先生にとっては、技術的には、楽勝の課題だったようで、予定時間を大幅に残してのあっという間の完成でした。

今回のテーマの髪型は、「灯篭鬢」(とうろうびん)。

かなりの難題のように、思われますが、

また林先生の技能の無双ぶりを目の当たりにすることになるのでしょうか。

  

◆昨年9月の結髪ショーは、村田孝子先生のホームであるポーラ美術館での開催。こちらは、箱根の自然の中にたたずむ素晴らしい美術館。

所蔵作品のすばらしさもありますが、訪れるだけでも、ハイセンスなアーキ的な魅力に心奪われ、包み込む自然に心癒される空間です。

 

さて、さて、

最近、わたくしたちの美容室、そして、本店のスズキ美容室で和装をオーダーしてくださるお客様で、

以前に比べて顕著に多いご希望が、

「日本髪のイメージに近い髪型を」という、オーダーです。

 

七五三から、成人式、ご結婚式のご本人様、そして、お母様方…まで。

 

和装のベテランのお客様方ではなく、和装の機会が少ないお客様のなかに、

着物と「和髪 」 のコーディネイトにチャレンジされたいというお気持ちが強くあることをひしひしと感じている昨今です。

美容室としては、こんなうれしいことはありません。

さらに多くのお客様方に、ファッションとしての日本髪の魅力に触れていただき、理解を深めていただければ・・・

さらにうれしいです。

 

  

 

 

※1 「灯篭鬢」

江戸時代中期に流行した女性の髪型の一部分。

一部分というのは、日本髪は、前、後ろ、横、まげなどの各部分の組み合わせによりバリエーションがあるため。

鬢とは、髪型のサイド(頭の横)の部分のデザインを言う。   ※2

灯篭鬢は、サイド部分が大きく張り出した特徴的なシルエット。造型としては、かなりエキセントリック。

今の世の中のファッション感覚で、このヘアスタイルとお客様を「似合わせ」するのはかなり大変な作業になります。 

当店では、このタイプの日本髪かつらでのお嫁さんづくりは、避けています。

 

※2 日本髪の基礎知識

こちらのコンテンツで、一般のお客様方にもわかりやすく解説されています。

⇒ 「やさしい日本髪の歴史」 http://www.po-holdings.co.jp/csr/culture/bunken/hair/3.html

ポーラ文化研究所 / ポーラ化粧文化情報センター のwebサイトより

 

 

 


訪問美容の未来予想図 ③ 訪問美容のなかにある「福祉」

2018年04月08日 | 訪問美容

Presented by  グレープス.com  and スズキ美容室.com 

and  スズキ美容室・訪問サービス.com  (長野県飯田市)

 

今日は、まず、

「そもそも訪問美容って、なんですか?」

という、いまさらながらのテーマにあえて立ち返って、  ※1

◆ 訪問美容を、美容師の業務内容という視点から、

お客様方にも、少し深堀りしたところまでお付き合いいただきながら、

理解を深めていきたいとおもいます。  

 

さて、

「外出が困難なシニアのお客様に対しての訪問美容」と、ひとくくりに言っても、

美容室側から見ると、「その業務の幅は、たいへん広い」と言えます。

 

その広い幅の一端が、

①「一時的に外出が困難な状態でも、回復の見込みがあって、自立的な生活を前提として、ヘアスタイルをデザインされたいというお客様」

へのサービスてす。

 そして、その逆の端は、

 ⑩「寝たきりの生活をずっと続けなくてはいけない、重度の要介護状態での生活を前提としたヘアスタイルが必要とされるお客様」

へのサービスということになります。

 

美容師さんが、「わたし、訪問美容担当しています」といっても、

それが①なのか⑩なのか、それともその中間くらいの位置、⑤にいらっしゃるお客様を担当しているかによって、

求められるスキルが大きく異なります。

 

①のお客様のケースでは、言うまでもなく、サロンと同様の美容の能力が求められます。

一方、

⑩のお客様のケースでは、サロンでの美容の能力に加えて、全く別の対応能力が求められることになります。

なお、

この⑩に該当するお客様の割合は、 訪問美容を必要とされるシニア層全体のおよそ2割と言われています。 ※2

そしてそこに、

「寝たきりではないけれど、重度の介護状態で、通常の着席でのカットなどが難しいお客様(上記の数字に当てはめると⑦⑧⑨くらいの位置のお客様)の割合が加算されます。(プラス1から2割ぐらいでしょうか?)

訪問美容を必要とされるシニアのお客様の3割から4割にあたる、この重度の要介護状態のお客様への美容サービスには、

「介助と接遇の知識」と特殊カット(仮にバリカン ※5 を使ったとしても、美容師らしい「似合わせ」デザインを造る)のノウハウが必要不可欠となります。

 

「スズキ美容室訪問サービスの特設サイト」でご案内させていただいています、

LLP全国訪問理美容協会での技能講習や

同協会理事長の経営される会社が美容の業務委託を受託されている医療・介護施設様での実地研修へ

当店スタッフが参加させていただいている目的は、

この部分についての最新の知識・情報の習得とスキルアップを図るためのものなのです。

 

 

◆では、本題のリクルートさん主催の「訪問美容セミナー」に話題を戻します◆

 

今回のセミナーで講師を務められたのは、

NPO法人全国福祉理美容師養成協会(ふくりび) 理事長 赤木勝幸先生と同協会事務局長 岩岡ひとみ先生でした。   ※3

「ふくりび」のお名前の通り、訪問美容の中でも、とくに福祉という視点でサービスの設計、人材育成を進められています。

 

グッドルッキングでファッショナブルな第一印象の理事長の赤木先生ですが、この道で豊富なキャリアをお持ちで、

そのお仕事ぶりは地道です。ハンディキャップをお持ちの女性を美しくしたいという信念に貫かれた真摯な姿勢が印象的でした。

「ふくりび」さんを、 前述の、訪問美容分野のチャートに配置させていただくとすると、そのポジションは⑩に近いポジションに位置するものと思われます。

間違いなく、重いハンディキャップをおもちのお客様に対してのサービスのエキスパートとお見受けしました。

 

◆「明日から始める訪問美容」◆ と名づけられたこのセミナーで、

参加者の多くが、ファッションや最先端のデザインを売り物にする都心のトップスタイリストさんという構図で、

その参加者の多くが狙う訪問美容のポジション (たぶん①~⑤くらいの位置) とは、

チャート的に真逆に位置すると思われる、福祉に特化したこの先生を講師に配置した主催者のキャスティングは、

当日は、ミスマッチではないか、と思うほど大胆なものに感じたので゛すが、

 今思えば、

のちのち、これがきっかけで、「新しい訪問美容の潮流が発生した」

などと回顧されるような「化学変化」が、起こっていたような気がするのは、私だけ?でしょうか…

 

つづく。

 

※1 「訪問美容とは?」⇒ お客様へ、通常のご案内をさせていただく場合は、 こちら  になります。

※2 「シニアのお客様への訪問美容のなかに占めるベッドカットのお客様の割合は2割」

~ 全国訪問理美容協会の研修会での訪問美容業最大手さんからのレクチャーより。

 

※3 NPO法人全国福祉理美容師養成協会(ふくりび)

「ふくりび」さんが、もうひとつの看板事業とされているのが、「がん患者へのアピアランスサポート」です。   ※4

現在、定説が定まっているとは言い切れない、まだまだ未知の要素が多いこの分野で、美容の立場からできることを、独自に研究・提案・提供され、

業界をリードされています。

愛知県に本拠地を置かれる「ふくりび」さんは、

名古屋市の「愛知がんセンター」前に、ウイッグとネイルを中心にしたコンセプトサロン (「アピアランスセンターあいち」)を開設されています。

 

◆「ふくりび」赤木先生、岩岡先生の共著

 

 ※4 「アピアランスサポート」 

外見的なハンディキャップを克服するためのサポート。 

美容業界、医療業界によって研究、提言がなされています。

当美容室 (スズキ美容室/美容室グレープス/ヘアサロン丘の上ゆず花) のアピアランスサポートへの考え方、

「これまでの実績」、「ご提供可能なサービス内容」につきましては、あらためてご案内させていただきます。

 

※5 バリカンを使用したカット

お客様のコンディションから、カットのための体位変更とその維持に困難が伴う場合は、バリカンを使用させていただいています。


訪問美容の未来予想図 ② ◆ 都心のトップスタイリストが描く、未来の「訪問美容」の姿とは・・・◆

2018年04月06日 | 訪問美容

 Presented by  グレープス.com  and スズキ美容室.com 

and  スズキ美容室・訪問サービス.com  (長野県飯田市)

 

 

 

今回のリクルートさん主催の訪問美容セミナーは、大変興味深いものでした。

 

それは、今はまだ「訪問美容」とは無縁の、

都心のサロンのトップスタイリストであったり、

都内の人気エリアで、多くのお客様が通う美容室のオーナー経営者であったりする

名実ともに、いまの美容業界をけん引する美容師の先生方が多数参加されたセミナーだったからにほかなりません。

 

その先生方の年齢は、30代から40代が中心、とお見受けしました。

都心の、ファッションの最先端を走る地域で、多くのお客様をお持ちのバリバリのトップスタイリストの皆さんと、

シニアのお客様向けの訪問美容(主に施設に入居のお客様を対象にした)について、

ワークショップをさせていただくという、大変貴重で、新鮮な経験をさせて頂きました。

 

現実的に、この世代の美容師の先生方のお客様方が「訪問美容の対象」になるのは、

少なくとも、15年から20年先ではないかと思われる中で、  ※1

多忙なトップスタイリストの先生方が、訪問美容の学習セミナーにわざわざ参加された理由は、いくつかあるようです。

 

まず、全国的には、美容業界全体の売り上げが、大きく下落を続けている下降トレンドの中で、  ※2

唯一、人口増と経済規模の拡大を背景に、東京を中心とした首都圏地域で美容需要の増加傾向がみられること、

そんな状況下で、とくに訪問美容の需要と供給のギャップがある、と業界内メディアなどでさかんに取りざたされていることが、

(「首都圏での訪問美容のニーズ拡大」云々の記事など) 背景にあるようです。

 

 また、首都圏地域でも、高齢化率の上昇現象が現れ始め、

とくに美容に対して熱心だった世代の皆様が、シニア世代にさしかかってきていること。

このこともまた、さかんに報道されていることが、このムーブメントに関係しているように思いました。

 

そして、もうひとつ、

これは今回のワークショップの中で感じたことなのですが、

現状の「訪問美容」に対する懐疑的な評価、とでも言えばよいのでしょうか・・

 つまり、

現在、サロンで最も多くのお客様をもつ、第一線の美容師 (数字を持っている供給者) の方々が、

現在の「訪問美容」に対して、必ずしも肯定的な評価をしていないということが、

このセミナーへ参加する大きな動機となっているのではないか、

という印象を強く持ちました。

 

つづく。

 

※1. 「美容師と顧客の年齢からみたベストマッチとは?」

古くから、美容師さんとお客様の年齢的な面から見た相性の法則の存在は、指摘されています。

「美容師の10歳から15歳程度年上のお客様との相性が良い」などという定説(迷信)があります。

実際、当店の美容師とお客様との年齢関係の分布をみてみると、それは、まさにビンゴです。

「お客様の年齢に合った会話や対応ができるから」という分析をされることもありますが、

お客様の年齢の変化に伴う、髪や生理的な変化について、その感覚を共有しながら対応させていただいていること (それは、美容の技術と知識に由来するものです)

が最重要ポイントであると当店では認識しています。

 ◆この年齢にまつわる法則については、

首都圏の訪問美容の世界でも、あてはまっているように思います。(詳細なデータによるものではありませんが)

現在、首都圏の訪問美容マーケットで多くのお客様をお持ちの訪問美容業者さん ※3 の美容師さんとそのお客様方との年齢の関係を観察してみると、

上記の理論が的を得たものであると確信します。

 

 

※2. 下降トレンドの美容業界

「総務省・サービス産業動向調査」 によりますと、

1990年代後半には、全国で約2兆円超の規模があった、美容業界(全国の美容室の総計)の売り上げ額は、

2016年には、1.6兆円まで縮小しています。

2008年にピークを打った日本の人口。 その後のエンドレスな減少トレンドの継続が、今後の美容業のさらなる規模の縮小を予想させます。

実際、人口減少に拍車がかかっている地方都市での美容業の縮小トレンドは、勢いを増して進んでいます。

 

 

※3. 多くのお客様を持つ首都圏の訪問美容業者 

 こちらについてもまだ、統計などはなされていませんが、現在、首都圏の訪問美容のマーケットは

①大手の訪問美容・訪問カットに特化した業者さん 

②中小規模の訪問美容の業者(サロン)さん 

③個人の美容師さんによる訪問美容

の順番で、占有されていると思われます。

 

私どもが加盟させていただいていますLLP全国訪問理美容協会  ※4 には、

上記の分類で②、③に該当する、首都圏の訪問美容の有力事業者の先生方が参加されています。

◆※2についての考察は、

そんな首都圏での訪問美容マーケットで確かなシェアをお持ちの先生方が主催される、LLP全国訪問理美容協会の実地研修、講習会を通しての、マーケットリサーチからの考察になります。

 

 ※4. 「LLP全国訪問理美容協会」 公式サイト ⇒ http://www.llp-houmon.com/