美容室グレープス (飯田市) 店長&スタッフ・ブログ

飯田駅アイパーク広場前「美容室グレープス」(グレープス.com)のブログ。 
本店「スズキ美容室」(飯田市)の話題も。

グレープスの花嫁 「上村松園の『花嫁』に会いに奈良ホテルへ」完結編

2016年09月23日 | 上村松園の「花嫁」紀...

Presented by  グレープス.com  and スズキ美容室.com

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美容室グレープスのある飯田市から、奈良市内へのアクセスは、たいへん良くないです。

奈良市内への進入経路については。

自動車で、東側から奈良に進入する場合は、三重県を経由しても、滋賀県を経由しても、

高速道路のアクセスが悪いため、想像以上の時間がかかります。 ※0

 

そんな理由なのか、飯田の住民の方々は、近江、京都へ出かける方は、大変に多いのですが、 ※1

奈良まで足を延ばす方は、本当に少ないように思います。

そんな南信州人にとって、疎遠だった奈良も、開通予定のリニア新幹線では、

一直線上の駅でに結ばれることとなりました。

 

何年先になるかはわかりませんが、

飯田⇒奈良間が、1時間どころか、30分程度で結ばれる日が待ち遠しい。

そんな気持ちにさせてくれるくらい、

古の都「奈良」は魅力にあふれていました。

修学旅行では、奈良に行きますよね。

でも、大人になって行ってみると、

子供の頃、見えなかったものが見えたり、感じなかったものを感じたりすることがとても多いように感じます。

この町は。

 

大仏殿

古の都は、まさにコンパクトシティ―。

主要な寺院、神社などが、中心市街地に集約されています。

奈良ホテルもその一角に位置しています。

 

◆明治時代の日本の近代化を象徴する、和洋折衷を絵にかいたようなクラシックホテル。

 

◆お目当ての「花嫁」は、フロントロビーに。

そのほかの名画の数々も、ホテルの廊下などに無造作に展示されています。

 

 ◆一階、フロントロビー。

右手にちらっと写っているのは、小さな鳥居。

鳥居をくぐるように、その足元に設置されているのは、マントルピース(暖炉)。

これぞ、キッチュ?。というような不思議な空間です。

 

明治時代。

文明開化による急速な西洋化と、それと対峙する復古調のトレンドが、実は、激しくぶつかり合っていた。

そんなダイナミックな時代の象徴がここにはあります。

歴史書や、教科書ではほとんど触れられていない、

混沌とした、その空気感を肌で感じられる貴重な文化遺産ともいえるのが、このホテル。

 

同じようなケース。

理屈では理解できない、明治時代の歴史的遺産は、ファッション、美容の世界にも存在します。 ※2

このホテルの空間で、そんな時代に思いをはせるなんてのは、ちょっとした贅沢だと思います。

 

フェルメールの絵画を思い起こさせるような採光のホテルの空間。

 

 ◆奈良ホテルの象徴ともいえるメインダイニング。

 

◆ 「さっぱりしたフレンチ」がこのレストランのメニューの代名詞。

 

 

 ◆ 窓越しには、興福寺の五重塔。

 

 ◆ 大正時代、アインシュタイン博士が宿泊した際に弾いたピアノがすぐ後ろに・・・このホテルの歴史を象徴しています。

 

 荘園の「花嫁」をめざして、訪れた奈良ホテル。

そこは、日本の近代の歴史が詰まった素敵な空間でした。

そして、それにもまして、私たちの心に残ったものは、ホテルスタッフの柔らかな人あたりでした。

 完

 

※0 高速道路のアクセスが悪い奈良

「家を新築しようとして、ちょっと掘り起こしただけで、遺跡にぶつかって、頓挫。なんてことが日常茶飯事。

だから、大規模開発なんて、ほんとうに大変なこと・・」

と奈良市にお店を構える、日本毛髪科学協会の大先輩からお伺いしました。この話。

 

※1 京都~飯田間は、

京都から東北(仙台)を結ぶ、古道「東山道」上で結ばれていた、歴史的にも由緒正しいルートです。

 

※2 理屈では説明できない、明治時代の歴史的遺産

◆ファッションの世界での代表的な「遺産」を二つご紹介します。

① 「ヘアスタイルについて」…断髪令により、男性は髷をおとされましたが、女性の日本髪は、なぜか、温存されました。

(一般社会では昭和初期ころまで続きました。いまもその遺産を受け継いでいるのは、花柳界の一部のみです。)

② 「フォーマル・ウェアについて」・・・男性のタキシード、モーニングと女性の紋付の組み合わせ。

(現在でも存続しています。ファッション業界の中には「これは、邪道」とおっしゃる大先生もいらっしゃいます。)

 

どちらも、「研究論文」のテーマになりうるほど、興味深い歴史の不思議をその背景に有しているように思います。

 

 


グレープスの花嫁 「上村松園の『花嫁』に会いに奈良ホテルへ」後編

2016年09月15日 | 上村松園の「花嫁」紀...

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<ここまでのあすじ>

2012年にこのブログで、

「グレープスの花嫁 パート2 「上村松園の『花嫁』に会いに奈良ホテルへ」前編」

を掲載してから、早や4年。

 ながい間、その続編を出しそびれてしまっていたのですが、

 

前回掲載の「村田孝子先生の日本髪の講演」の話題との関連も深いことから、

そしてまた、奈良ホテルさんが、改装に入るということから、

(大規模なものではないようです。休業等はない模様です。)

このタイミングでの続編の掲載となりました。

 

 ◆ 2012年の「月刊いいだ」さんに掲載していただいた、当店の伊藤明美の制作による花嫁さん。

 

そのモチーフは、明治から昭和の画家・上村荘園作の名作「花嫁」。

 

このほか、上村荘園が残した美人画の数々には、多くの美容師さんが、

日本髪と着付けの「教科書」、あるいは「研究書」として、お手本にしてきた、

その当時の時代を映した女性像が数多く描かれています。

 

 

 ◆ 「人生の花」 こちらは、上村荘園 後期の作品。 

    初期の傑作、「花嫁」の改題とも、セルフ・リメイクともいえる作品。

 

 ◆ 上村松園、ご本人による解説文。

 

 ◆ 「日経ポケットギャラリー 上村松園」より

 

さて、そんなわけで、上無荘園の代表作「花嫁」が所蔵されている (というよりも、まったくオープンに、入口のフロントカウンターの前にさらされています。) 奈良ホテルへの旅に出かけました。

つづく。

(次回・完結)