宮本武蔵科学読本―"最強の剣豪"のSuperすぎる肉体と精神をえぐる!

2014年02月27日 | 本 - 宮本武蔵


このブログで現在もっともアクセスの多い記事は、宮本武蔵『五輪書』ゆる~い現代語訳もくじです。

『五輪書』は、宮本武蔵がおもに剣の戦いで勝つためのコツを書いた本ですよね。

それが今では、ビジネスやその他さまざまな心構えのバイブルとして読まれています。

『五輪書』を書いた宮本武蔵とは、どんな人物だったのか。

それを精神と肉体の両面から分析したのが、『宮本武蔵科学読本―"最強の剣豪"のSuperすぎる肉体と精神をえぐる!』です。

宮本武蔵についてのいろんな疑問に答えてくれる本です。

第1章では「60戦全勝を武蔵はこう闘った!」と題して、武蔵の有名な決闘を解説しています。

第2章では、武蔵のルックスと身体能力を分析しています。人を“ビビらせた”武蔵はいったいどんな顔だったのか。筋力、基礎体力、視力はどうだったのか。

第3章は、ぼくら日本人の宮本武蔵のイメージを決定づけた小説、吉川英治の『宮本武蔵』について。

宮本武蔵(一) (新潮文庫)
吉川 英治
新潮社


剣豪小説である『宮本武蔵』を、恋愛小説として読み解くとこうなる!という検証です。

第4章では、勝つために武蔵がとった作戦(遅刻や情報操作、決闘後の行動)などを見ていきます。

第5章では、武蔵の日常生活を検証し、「武蔵の一生は幸せだったのか?」を考えます。定職を持たなかった武蔵のおさいふ事情や、身の回りのことにこだわらない奇人ぶり、3人の養子を一人前の武士に育て上げた父親としての武蔵など…。

第6章では、芸術家としても才能を発揮した武蔵の、“文化系”な一面が紹介されています。

第7章では、武蔵の性格を形成した家庭環境や、『独行道』に凝縮された武蔵の生きざまを見ていきます。

第8章では、『五輪書』を軸に、宮本武蔵とイチロー(野球選手)という2人の天才の共通点を分析します。


宮本武蔵は、史料がきわめて少ない人物です。どんな人物だったのか、実際のところは誰にもわからないんです。だからこそ想像力をはたらかせることができて、一人ひとりが「自分の武蔵」をつくりやすいと言われています。

この本では、8つの方向(8つの章)から武蔵を分析しています。これだけこねくり回して、よく噛んでもまだ味がする。それだけ神秘的な魅力が、武蔵にはあるんですね。

河合敦の思わず話したくなる戦国武将

2014年02月25日 | 本 - 日本の歴史
河合敦の思わず話したくなる戦国武将
河合 敦
日本実業出版社


戦国時代には、たくさんの武将がいましたよね。生き残るためにみんなアノ手コノ手で頑張りました。

本書の帯には、こう書いてあります。

「何としても生き残るため、彼らは何を考え、どのように行動したのか。現代にも活かせる、知られざる英知とエピソード満載!」

戦国武将たちの必死な生き方をみていると、「置かれた場所で咲きなさい」という言葉を思い出します。戦国武将たちは、一人ひとり生まれた国も違えば、周辺の敵も違います。家臣の顔ぶれ、地形、土地の歴史、京都への距離、商業のにぎわい方、海や港のあるなしも違います。

良くてもイヤでも、生まれたところが、まずは自分のスタート地点なんです。いま自分に与えられた状況で、ベストを尽くす。置かれた場所で咲く。そうやって輝いたり散ったりしていった人物の真剣な生き方が、ぼくらを惹きつけるんですね。

世界各国女傑列伝―全独立国から代表的な女性を一人ずつ紹介

2014年02月24日 | 本 - 世界の歴史
世界各国女傑列伝―全独立国から代表的な女性を一人ずつ紹介
山田 昌弘
社会評論社


この本、おもしろいです。ぼくは人物事典が好きで、ときどき気が向いたときに気が向いたページを開いて読むんですが、これは世界の女性だけを集めた人物事典なんです。

例えば、こんな女性が紹介されています。


アニー・オークリー(本書74ページ)
アメリカ西部開拓時代の射撃の名手。別名フィービー・アンともいうそうです。トランプのハートの6を空中に投げ、落下するまでにハートのマークをすべて撃ち抜くことができたといいます。謙虚で親切な人柄の女性だったそうです。


アルヴィルダ(本書170ページ)
北欧の美しい女性バイキングです。男装し、少女たちを率いて戦いに乗り出したところ、ちょうどリーダーを失っていた海賊団の首領におさまり、暴れまわったそうです。彼女はかつて、ある男性にプロポーズされたことがあったのですが、奇しくもその男性が率いる船団に制圧されます。以後、男装をやめて彼の妻になったそうです。


エカテリナ・テオドロイウ(本書179ページ)
ルーマニアのジャンヌ・ダルクと呼ばれる女性。第一次世界大戦のときに活躍しました。はじめは兵士たちの看護にあたっていましたが、ルーマニア女性としてはじめて祖国のために武器をとりました。少尉として部隊を率いて戦い、23歳の若さで戦死しました。


リディア・トリヴァク(本書205ページ)
第二次世界大戦のソ連の飛行士です。激戦地のスターリングラードで華々しく活躍しました。敵機からは「気をつけろ、トリヴァクだ」と言って恐れられました。「スターリングラードの白バラ」の異名をとったそうです。伝説では彼女の機体には白バラが描かれていたとされますが、実際にはニックネームの「リリー」にちなんでユリの花が描かれていたそうです。

などなど…


じつに194人の女性が載っています。

王妃、姫、海賊、女性ガンマン、救国の英雄(というか女傑)など、さまざまな女性がいます。

女性に特化した人名事典です。小説の題材にもなりそうな人物がたくさんいます。

歴史に興味のある方、女性の活躍に興味のある方は、ぜひ。

現代語訳 信長公記 | 感想

2014年02月23日 | 本 - 日本の歴史
現代語訳 信長公記 (新人物文庫)
中川 太古
中経出版


日本の戦国時代がお好きな皆さんにはおなじみの本ですよね。織田信長のことを知るための第一級史料です。それがこんなに読みやすい(しかもリーズナブルな)現代語訳になって登場したのは衝撃でした。

この本を書いたのは、太田牛一です。信長に仕えた武将です。そうそう、太田牛一が『信長公記』を完成させるまでの顛末をドラマチックに描いた小説(信長の棺〈上〉信長の棺〈下〉)も良かったです。

『信長公記』は史料として絶大な信頼を得ていますよね。例えば、信長の全国デビュー戦ともいうべき桶狭間の戦い(1560年)について。ずいぶん前までは、信長による奇襲作戦の勝利だと思われてきました。

でも今では、『信長公記』にその記述がないという理由で、奇襲説は否定されています。

つまり、少し乱暴な言い方になりますが、『信長公記』に書いてあれば本当、書いてなければウソ、と言っても良いくらいの戦国史料の王者なのです。

この本には、信長はもちろん、羽柴秀吉、明智光秀、丹羽長秀、その他、有名なたくさんの戦国武将が登場します。戦いの細かい様子やエピソードが描かれています。

行間から、武将一人ひとりの息吹が聞こえてきそうな一冊です。