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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

青春ブタ野郎はガールフレンドの夢を見ない 感想: 結局、霧島透子の正体は予想通りの美東美織だったわけだけど、その結果、咲太はとんでもないジレンマに直面せざるを得ないのが辛い!

2024-08-11 09:55:56 | 青ブタ
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前巻によって、一旦白紙になった霧島透子の正体。

で、その時の感想では、もう候補として残ってるのは桜島麻衣か美東美織しかないじゃん!って結論したわけど。

予想の通り、概ね、その方向で収束しそうな気配だった。

というのも、まずは、麻衣が「私が霧島透子」だと宣言し、ということは、本当は違うよね?・・・というところからの真の正体は美東美織だった・・・という展開。

この14巻の紹介に、「わたしが霧島透子です」と語る麻衣が使われてからこうなる予感はすでにしていた。

つまり、麻衣と見せかけて実は美織が霧島透子だった、という展開。

正確には、ネット上の(架空の)アーティストである「霧島透子」を生み出したのが美東美織だったということだけど。

ただ、この二人のどちらかだと思っていたので、この展開そのものは、まぁ、そうか、と思ったわけだけど。

ただ、美織が霧島透子をネット上で、あるいは芸名として霧島透子を想像したわけではなく、霧島透子本人が実在して、しかし、すでに他界しているとは思わなかった。

しかも、その生前の霧島透子が、まさか、この世界の翔子ちゃんに心臓を与えたドナーだったとは思ってなかった。

完全にブラインドサイドをつかれた。

霧島透子の正体を探るうえで一番の障害は、「可能な未来」を全て見てきたはずの翔子ちゃんでも、一度も霧島透子という名には出会わなかった、ということだったわけど、それが、翔子ちゃんが見れた「全ての未来」とは、咲太が麻衣がドナーになった時の未来に限られていた、というのは気づかなかった。

確かにそう言われればそうだよね。

今、翔子ちゃんが生きていられるのは、本物の霧島透子が、咲太と麻衣の代わりに死んで、心臓を提供してくれたから、ということになる。

しかも、この本物の霧島透子がドナー登録をしたのは、大好きな桜島麻衣の映画に触発されたから・・・、となると、ますます咲太と麻衣の代わり身のように思えてしまう。

今更だけど、今、咲太が生きている世界は、翔子も咲太も麻衣も死なない世界としてすでに、一度やり直された(書き換えられた?)世界なんだよね。

正確には、すべて翔子が見た未来として扱われることで、翔子が生きられる世界線を見つけた後の世界だということで。

なので、翔子は全ての世界の記憶、というか、翔子の中でシミュレートされたことになっているすべての未来の結末に関する記憶を持ち合わせたまま、この世界に存在していて、そんな翔子を再開したことをきっかけにして、咲太と麻衣も自分たちのどちらかが死ぬ世界線のことと思い出したわけだった。

なので、とにかく咲太がいる世界は、読者が初期の頃に読んでいた世界とは違っていることになる。

で、その異なる世界線の世界、翔子も咲太も麻衣も死なない世界で、代わりにババを引いてしまったのが霧島透子だった。

そして、その霧島透子の死によって思春期症候群を発症させたのが美東美織だった。

・・・という、こう、どこを見ても、えー、どうしてこんなことになった、という嘆かわしいもの。

美織は、仲直りを考えていた透子が死んでしまったことをきっかけに、彼女の残した楽曲を歌って、ネットにアップしたら、それをきっかけに少しずつ世界が書き換えられる経験をしていった、という。

これは、要するに、翔子ちゃんと同じように、複数の世界の可能性を導き出す「発端
」になったということなのだけど、美織のケースが翔子ちゃんの場合と違うのは、翔子ちゃんが知る世界は、すべて翔子ちゃんを基点にして発していたのだけど、美織の場合は、あくまでもきっかけを与えただけで、彼女が霧島透子をやめた後も、ネット上でその模倣者が続出し、第2、第3の霧島透子が生まれていったことで、それは、遂には麻衣の意識まで書き換えてしまった。

ということは、美織の意志を越えて霧島透子は増殖しているように思えるけど、実は、美織は無意識のうちに、誰かが霧島透子を継続してくれることを望んでいるということになる。

多分、その美織の、意識と無意識のズレが、彼女の思春期症候群の原因なんだろうね。

それが、最後に翔子ちゃんが、美織と透子の交換日記の中で見つけた、透子が死ぬ日に残した

「君に出会わなければよかった」

という言葉、というか、呪い。

美織としてはもう一度会いたいけれど、そもそも透子は美織との出会いからして望んでいなかった、という歪んだ理解だけが残った。

だから、翔子ちゃんの場合とは違って、美織だけが全ての未来を見渡したうえで選択できるような統制力がなくなった。

それをバタフライ効果という言葉で、回復不可能、ってことにしてるようだけど。

ただ、それでも、美織自身は、そうした「霧島透子効果?」によって、世界が少しずつ書き換えられることには気づいていて、記憶している。

だから、今の咲太とは違う別の世界線の咲太にも出会ってきた、ということなのだけど。

つまり、翔子ちゃんと同じように、美織も世界改変に関する「特異点」になっていて、ちゃんと世界が変わったことの記憶を保持しているんだよね。

だからやっぱり、美織の思春症候群を解決しないことには、この増殖する「霧島透子」の世界を停めることはできない。

うーん、これどうすればいいんだ?

咲太にとっての問題は、美織も突きつけてきたように、咲太なら元の世界線に戻すことができるのかどうか?ということなのだけど。

問題は、理論的にできるのか?ということと、咲太がそれを望むのか?ということにある。

だって、霧島透子が死なない世界を作るなら、もう一度、翔子か咲太か麻衣の誰かが死ぬ世界線を考えないといけない。

仮に、透子も救ったうえで、翔子、咲太、麻衣も救われる世界線を選べたとしても、そこでは、今度は、透子の代わりに誰かがドナーになるために死ななければならず、透子と美織のような悲劇が別の誰かで起こるのかもしれない。

つまり、今回の透子のような事件はいつまでも続いていく。

だからといって、翔子や麻衣が死ぬ世界は咲太は認めらないはずで、そうなると大本の咲太が交通事故にある世界に戻ってしまう。

・・・という具合に堂々巡りが続いてしまう。


もうひとつ、咲太にとっての問題は、咲太以外の人たちは、別に透子によって改変された世界を不都合だとは思っていないこと。

むしろ双葉のように、佑真と恋人でいられるこの世界のほうがいいと積極的に改変を拒む人もいる。

にしても、この理由で、咲太が双葉の助力を期待できないのは痛い。

まぁ、だから代わりに翔子ちゃんが、今回、咲太の相棒役になれるわけだけど。

ほんと、どうするのだろう?

いくつかヒントになりそうなのは、まず、美織が、今のスマフォを持たない咲太に出会ってから、世界改変を経験していない、ということ。

となると、この咲太には何らかの抑止力が伴っているはずで。

まぁ、それが次巻のタイトルにある「ディアフレンド」、つまり「友達」になるということなのだろうけどね。

友だちになることは、きっかけなのか、結果なのか、という問題はあるけれど。

もう一つのヒントは、赤城との連絡が途絶えていること。

別世界通信ができるw赤城がいることが、霧島透子の維持に不都合だと感じられるからなのかもしれないけど。

でもそうなると、赤城との交信回復が一つの鍵になるのかもしれない。

三つ目は、かえでと花楓が共存していることの意味。

世界改変が個々人の夢=願望に基づいているとしたら、少しずつ融通を付けて、玉虫色の世界に調整可能かもしれない。

で、最後に、未だに謎のランドセルガールの麻衣。

以前に咲太が別世界に渡った時、ランドセルガール麻衣は、どうやら咲太の「界渡り」を導いてくれたので、またなんかしてくれるのかもしれないw(テキトーw)

あとは、翔子ちゃんの未来視?みたいな力もあるのだろうけど、思春期症候群が解消された今、それはないのだろうな。

まぁ、なんにしても2ヶ月後の「ディアフレンド」を待てば正解はわかるんだけどね。

でもとにかく、咲太は、どうやって誰も傷つけない世界線を引き寄せるのか?

なんか、それにしても、ひとりで全部できるとは思わずに、少しずつ他人に任せればいい、というような世渡りの知恵で解決らしき終幕をもって終わりそうな気もするけどw

ということで、とりあえず読後直後の感想はこれくらいに。

もう少し考えてまた書くかも。

しかし、ここはもう、翔子ちゃんしかいないじゃん!って思ったところで、ホントに翔子ちゃんが現れたときは、ものすごいヒーロー感があったな。

咲太さんとはやっぱり運命で結ばれている、

というのも、ホントにそうだね、って思ったよw

ただ、最終章の前半で翔子ちゃんが出張ってきたということは、後半は麻衣が巻き返してくるのだろうなw

ただそれとは別に、咲太は美織と友だちになる、というのが最終巻の山場になるのだろうけど。

さてさて、どんな終りを迎えるのだろうね、青ブタ最終巻は!


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