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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

新約 とある魔術の禁書目録 第14巻 感想

2015-12-24 21:26:58 | 超電磁砲/禁書目録
前巻の13巻にはどうにも???とならざるをえないものだったのだけど、その続きとなった14巻はどうだったのか?

スペース空けときます。



























































で、読後の第一印象は、

あー、これ、もうホントにないわー、

というものだった。
マジでつまらない。
というか、何がしたいのか、わからない。
オティヌス後の、魔神編って、一体何?って感じ。
ドラゴンボールが魔人ブウ編になって蛇足感が半端なかったのと全く同じ感じ。

とにかく、「上里勢力」の一部始終が鬱陶しい。
もちろん、上里自身もウザい。
で、そんな上里を、新約になって14巻を数えるところにまで来て、いまさら登場させるセンスに疑問。

いや、最後まで読めば、上里勢力のウザさ自体が上里の抱える悩みの元凶であり、彼が上条を敵視する理由だったってことはわかるから、そのために必要な記述だった、というのはわかるけど、

でもねー、あのくだりは、ホント苦痛だよ。
200頁あたりまで、つまり半分を超えるまではそんな感じだからね。
その「どうでもいい」ものを延々読まされる不快さは、前巻の僧正の追いかけっこのところと全く同じ。
しかも、それをポッと出の新キャラを通じてやられるのだから、訳がわからん。

もしかしたら、作者は本当に楽しくてたまらないのかもしれないけど、それ、もはや、読者は完全に置いてけぼりだよね。どうなんだろう。さすがに、この迂遠に迂遠を重ねる展開は、編集者がノーを出すべきものでしょ。

もともと「新約」というくらいだから、それ以前の無印のシリーズは旧約扱いになって、だから、その2つのシリーズにある種の反復や見直しがあるのはわかるけど、それにしたってこの迷走っぷりはないでしょ。

一体何がしたいんだ?

いや、それも今回の最後を見れば、アレイスターの魔神たちへの復讐、が結局のところ、禁書目録シリーズの骨子だというのはわかるけど、でも、それも随分前から示されてきていることでさ、いまさらながらそれを確認して見せることで、このつまらないにも程がある上里勢力の登場を正当化されてもね。。。

さすがに物語のフィールドをずらすのは、一回だけにしとけよ。

旧約の話が、魔術と科学の対立でした、で、そこでいう魔術とは概ねキリスト教を模した十字教でした、でも、魔術の源泉はそれだけでなく信仰や神話の数だけ実はありました、で、新約では、旧約の世界に不調和を生じさせていたのが、北欧神話に根をもつ者たちでした、それがオティヌス、すなわちオーディンでした。

・・・という展開ぐらいで済ませとけよな。

それを前回の僧正で仏教っぽい話をいれ、今回のネフテュスでエジプト神話だろ。

それ引き伸ばし策として、あまりに水平的で、これもう際限なく横滑りしていくだろう。そういえば、旧約の時に美琴好きのペルーのキャラがいたけど、あれくらい傍流のキャラにとどめておいてくれ。

なんか、もうグダグダ。

なんていうか、作者自身が、自分の作品をネタにして二次創作書いてるようにしか見えない。
しかも、その二次創作のネタが、どんどんショボくなっていく。

そもそもたかが個人の寄せ集めを「勢力」なんて呼ぶあたりが、どうにもチンピラ臭が抜けないわけだが、上条たちがあれほどまでにパワーインフレしているにも関わらず、それを「勢力」扱いのままにとどめよう、という発想そのものがもう無理があると思うけどな。

上条の説教が意味をもった、というか、それなりに「あぁ、そうだよね」と実は正しく見えていたのって、さすがに10年前のことで、それは端的に胡散臭いイデオロギーっぽい正論がまかり通っていて、その鋳型にはめられるのはバカらしいという時代風潮があったからでしょ、いわゆる「ゼロ年代」的な。

でも、10年代も半ばを過ぎようとする頃に、いまだにその説教だけを垂れ流してもマジで鬱陶しいだけだろ。なにしろ、上条の語る弱者の方にも平等な権利があるとか述べるほうがネットのせいもあってむしろ拡声されてしまう時代なんだから。

だから、そこら辺の話はもうすっ飛ばして、それこそ「お兄さま」みたいな、素直に俺、TUEEEE、という方向に、ラノベ自体も方向転換してるわけだから。

そういう意味では、なんかもう出がらしだよね。

素直にパワーインフレに終止符をうてばいい。
上里なんてわざわざ上条の鏡像を出して、その鏡像を通じて上条たちの正当性を確保しようなんて、迂遠なことはせずに、素直に上条の右手の奥に潜む「アレ」を明らかにして、上条の「特異性」をさらけ出して、その「異能」を使ってアレイスターに説教を食らわせればいい。

いつまでも上条を「普通」なんて言い続けるのは、もはやここまでのシリーズで十分ナンセンスなことは示されているわけだから。それを上里なんて二次創作キャラ出してま証明する必要なんて全く無い。単なる迂遠。

こういうメタ語りの迂遠さはさじ加減が難しいのはわかるが、でも、前回、今回の迂遠さにはさすがに駄目出しするのが編集者の仕事ってものだろ。何やってんだろうね、編集者は。

その意味では木原の存在も迂遠も迂遠。
脳幹という、これだけキャラが立った存在を捨ててまで何をする気?
てか、さっさと木原の連中が、一通さんなり美琴なりを使ってレベル6でも7でもいいから、科学側のインフレも進めて、で、それで、ケリをつければいい。
木原自身が進化する、なんて迂遠なことはいらない。
てか、一通さんとか、今、なにしてるわけ?

とにかくさー、キャラを絞れよ、いい加減、間引けよ。

キャラ小説と世界観小説を両方やろうなんてこと考えてたらいつまでたっても終わらないよ。

いや、たとえばブギーポップの上遠野浩平って先人はいるんだろうけどさ。でも、もうブギーポップなんて、これが最終巻です!といわれない限り、読まないでしょ。禁書目録はもう全く同じ世界に入っている。

自分たちでは終われないコンテント。
読者がまだいるから、というのを理由にして引き延ばすコンテント。
最悪だよ。
少なくとも、作者が自作のパロディという二次創作、というかメタがたりを始めたらもうエンドレスでしょ。
その誘惑が職業作家に生まれるのは仕方ないところがあるけど、その泥沼を回避して、その作家を出来るだけ長持ちさせるのが編集者の仕事だと思うけど。でもどうやら違うらしい。

その点では、ストブラの作者が、自分から、けじめだから次巻で終わりにする、というのはわかってるな、潔いな、と思う。
シリーズの引き際は大事だよ。
そして引き際を知ってる作者は偉いと思う。

ということで、禁書目録は、もう最終巻が出た時に読んで、そこから必要なら遡る、というぐらいでいいかな。もちろん、もう買わない。今回は借りたけど、案の定、読み終わって買わなくてよかった、ってホントに思った。

しかし、それでも一時期は面白いと思ったものが、ただただグダグダになっていく様子は、どんなジャンルであれ、嫌なものだね。

しかし、そう思うと、西尾維新のさじ加減は天才的。
いや、あれはもしかしたら編集者が優秀なのか?
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