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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

『グレイプニル』の第4話が待ちきれず、原作の最新53話(『完全なる合体』)まで読んでしまったのだけれど、予想の斜め上を行く面白さ!

2020-04-26 19:10:12 | グレイプニル
表題の通り、アニメ第4話まで待ちきれず、原作を読み始めたら、あれよあれよという間に、最新の53話まで読み進んでしまった!

いや、これは、素直に面白い!

おおざっぱにいえば、雰囲気としては『まどマギ』と『ハンター×ハンター』と『進撃の巨人』を足して3で割ったような感じ。 

で、物語構造はどうか、というと意外なことに『あの花』に近い。


まず、『まどマギ』というのは、〈宇宙人〉から異能を授かるところ。

つまり、〈宇宙人〉が、なんだかんだいってキューベーみたいだな、と。

ちなみに〈宇宙人〉ってカギカッコでくくったのは、これ、一般名ではなく、一応、個体名だから(櫻井ボイスのキャラね)。

一応、〈宇宙人〉との約束のもとでは、コインを見つけてきた報酬として異能が与えられるのだけど、問題は、報酬といいながら、それが事実上、コイン100枚を集めるゲームへの参加の入口になっていること。

もちろん、異能だけをもらってそのままゲームには参加しないという方向も無くはないのだけど、なかなか、他の異能者たちがそれを許さない。

つまり、一度、異能を授かったら、異能者の「社会」の一員になって、その中で、人間社会らしい「玉突き」が起こって、結局、100枚コイン集めゲームに巻き込まれてしまう。

そのため、異能を宇宙人から授かった人は、コインを集める人という意味で「収奪者」と呼ばれることになる。

で、このあたりの、あー、ヤバいシマに巻き込まれちゃったなぁ、というのが、『まどマギ』っぽいなぁ、と感じたところ。

なんというか、とにかく宇宙人にうまく騙されちゃったなぁ、という感じ。

消費者金融の利用を勧誘されて一度借りてしまったら、それがきっかけで多重債務への道にまっしぐら、に近い。

問題は、自分はやらない、と言い放っても、周りが、あの手この手で引き込もうとしている来るメンドくさ。

で、そうしていつの間にか、異能バトルになっているところが、『ハンター×ハンター』っぽいところ。

しかも、力技だけでなく知略戦も必要なところが、なおさら『ハンター×ハンター』っぽいかな、特に蟻編。

ついでにいえば、後に登場人物として「海斗」という奴が現れるのだけど、よみは「カイト」でなんか、『ハンター×ハンター』っぽいなぁ、と思ったのとw、

あと、修一とクレアのペアが、なんかゴンとキルアのペアに近い印象があるからなんだけど。

この修一&クレア組のあり方からは、『進撃の巨人』のイメージもあって、なぜなら、修一が着ぐるみになって、それをまとってクレアが戦う、というのが、なんというか、エレの巨人化に似ているな、と。

エレンの場合は、巨人としての身体は、本来の自分の身体の周りに自然発生して、事実上、エレン本人が巨人という有機ロボを操縦しているようなものだから。

この有機ロボに相当するのが、修一の着ぐるみ。

でも、割とこの二人の関係は、この物語の異能の本質をついているように思えて。

というのも、そもそもこの作品の中で登場する〈宇宙人〉が集めているコインって、彼の同胞たる宇宙人たちの魂の記録媒体のことなので。

一つ一つのコインのなかに、一人ひとりの宇宙人の魂が入っている。

つまり、この作品の宇宙人の世界では、いわゆる心身2元論が、徹底されていて、彼ら宇宙人は、魂を身体から取り出すことができている。

要するに、精神のアップロードができる世界。

裏返すと、物理的身体をおいていける技術力を持った異星人、ということ。


で、最後に『あの花』と言っているのは、もちろん『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』のこと。

というのも、この『グレイプニル』、物語が進んでいくと、いつの間にか、修一と、クレアの姉のエレナを含む6人が、ストーリーの中心になってしまうから。

その6人というのは、加賀谷修一、青木江麗奈(エレナ)、海斗(かいと)、ほのか、直人、そして、愛子の6人。

彼らは、かつて「山田塾」という合宿制なのかな?の塾で学んでいた縁がある。

で、『あの花』というのは、この6人のうちで死亡者が出てしまい、その子を巡ってまた悲劇が連鎖してしまうこと。

そして、この6人のうちの1人が〈宇宙人〉とともに、コイン集めのゲームを始めてしまった。

要するに、この6人がいわゆる「はじめの6人」とでもいう人にどうやらなってしまっていること。

でも、そうであるにもかかわらず、修一はエリナの記憶をなくしてしまっていること。

さらにいえば、どうやらクレアも記憶をなくしてしまっているということ。

で、その記憶を奪った張本人が、どうやらエリナだったこと。

・・・ということで、どうやら修一&クレアが、物語当初、つまり第1話で直面している世界はすでに彼らの記憶が消された世界で、しかし、彼ら2人ともが、記憶を消される前に、「はじまりの6人」のいざこざ、というか、多分、異能対決に組み込まれていた。

つまり、修一とクレアにとっては、今の世界は、ゲーム的に言えば2周めの世界のようなものということで。

だから、最新の53話の時点では、二人の記憶を探るところにフェーズが移っている。


・・・というのが、この物語の基本構造。

ぜんぜん、53話の話になっていないけれど、それは、頭の整理のために、ここまでの物語の流れを振り返ってしまったためだからなのだけど。

ちょっと、53話そのものについては、機会を改めて書こうかな。

でも、とにかく、この『グレイプニル』、ミステリーやホラーの要素もふんだんに盛り込まれいて、面白い。

強いて難点をあげるとすれば、早い段階で物語が「はじまりの6人」に焦点が集まってしまって結果、なんか、ものすごく狭い世界の話、有り体に言えば「内輪もめ」とか「痴話喧嘩」のレベルにまで世界が縮んでしまったこと。

『あの花』っぽい、というのは、あの物語につきまとっていたどうにもいえないような「閉塞感」が、この『グレイプニル』にも漂っているように思うから。

あと、「コインになった魂」の話からも想像がつくように、あと『あの花』と言っていることからもわかるように、死者の復活、という話が絡んできて(まぁ、だからホラーなんだけど)、そのからみで、仏教の「転生」概念がでてきて、その分、物語がちょっと説教臭くなってきているところ。

要は、『進撃の巨人』がその基本プロットのトンデモ要素や教訓要素を北欧神話から切り貼りしているのと同じように、この『グレイプニル』では、仏教説話が、宇宙観や死生観、あるいは道徳観のネタ元になっていて、ちょっと先が読めてしまうところ。

ともあれ、面白いことには間違いない。

さっき「はじまりの6人」と言ったけれど、もちろん、それぞれ「現在の仲間(基本的に能力者)」を引き連れて争い合っているので、その点で、世界は広がる要素はもちろん担保されている。

多分、物語的には、クレアが、どのような意味で、ジョーカーというか、ワイルドカードになるのか、というところかな。

もちろん、ただの修一の相棒枠でもいいのだけど。

でも、それだけでは終わらない気がする。

ということで、また、ちょっと書くかも。
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