さて、ウェブ版はすでに読んでいたけど、書籍版も1巻から9巻までようやく読み終わった。
いや、これ、やっぱり、よくできている! 面白かった!
とにかく、1巻から、そうだな、4巻とか5巻くらいまでに扱われたネタや播かれた伏線が、最後の最後で全部収束するのだから。
相当緻密にプロットを練らないとこうはならない。
その点で先に言っておくと、ウェブ版と書籍版の間には、物語展開上の大きな違いはない。
書籍版での加筆部分は、多くは登場人物の心情の補強や、背景説明の補足。
あとは、若干、登場人物が増えた分の役割分担の若干の異同とか。
でもその程度。
物語の大筋である、モニカが、学園で知り合った友人たちと協力して、第2王子に成り代わっていたアイザックの命を救うと同時に、クロックフォード公爵の策略で帝国と開戦する危機を免れる、という流れは変わらない。
その過程で、ひきこもりでぼっちだったモニカが友人を得て人間的に成長する、というのも変わらない。
要するに、
モニカの成長物語
第2王子の死ならびに成り代わりについてのミステリー
学園もののジュブナイル
貴族と平民の間の階層を巡るあれこれ
・・・
などなど、複数のジャンルが交わってよくもまぁ、こんなにキレイに円環をなすようなお話にしたなぁ、と感心した。
まさか、モニカの人差し指を口元におく姿が「これは内緒で」という意味で、最後に使われるとは思わなかったし、
同様に、チェスの比喩が最後の最後で、物語全体の構成を支えていたとも思わなかった。
そういうところは、実に上手いなぁ、と思ったものw
いやまぁ、骨組みだけ取り出せば、リケジョなモニカが、王子と伯爵子息に好意を向けられ三角関係になる、という、いかにもウェブ小説的な読者の願望充足なところもあるのだけどw
でも、アイクにしてもシリルにしても、もともと平民出身だった、という事情が、物語の序盤で、努力する姿を見せるモニカを引き立てる方向に彼らを向かわせたんだな、と思うと、モニカだけでなく、3人の成長を見守るジュブナイルでもあったわけでw
そういうところは上手い。
逆に、当初、第2王子の一番の盟友だと思っていたエリオットとブリジットの二人が、実は物語が始まった当初から、第2王子に対して嫌悪感を抱いていた、というのはびっくり。
ともに、幼い日の第2王子を知っているからこそ、ブリジットはずっと第2王子は偽物ではないと疑っていたのだし、
エリオットに至っては、すでにアイクがフェリクスになりすましたことを子どもの頃にすでに見ぬいていて、つまり偽物だと知っていて、それでもずっと「観察者」として第2王子のそばにいたというのだからw
これはびっくりだよね。
でも、この二人とも、モニカからすると苦手な人たちでできれば距離を起きたい人物であったことから、彼ら二人の第2王子に向ける複雑な感情を、物語終盤まで隠し通すことができた。
いやー、このあたりは本当に上手い。
だって、エリオットがフェリクスにタメ口をたたいているのは、てっきり幼馴染だから、って思うじゃない。
でも真相は、フェリクスを騙るアイクが平民だから、貴族のエリオットは敬意を払う必要はない、と思っていたから、というのだからw
すっかり騙されたw
でも、そういう「ニセの自分」というテーマが、実は、モニカの七賢人の素性を隠した潜伏、という物語の大前提とあわせて、随所にまぶされていて、自ずと「ほんとうの自分」をさらけ出したいけどだせない、という心情が、別のキャラを使って何回も語られていたりして。
本当に上手い。
そういう「本物の自分を偽る自分の苦しさ」を、モニカやアイク、あるいはシリルあたりがずっと抱えているからこそ、彼らの周りにいる友人たちが、ある意味、書割的なキャラクターであっても気にならなかった。
七賢人の、ルイスやラウル、レイ、しかり。
学園の、グレンやロベルト、ディー先輩、しかりw
そういう意味では、イザベル・ノートンによる悪役令嬢の演技は突き抜けていたのだけれど、それもまた「本当の自分を偽る自分」というテーマを気づかせて、うまかったなぁ、と思う。
しかし、そうなると、ルイス提案のモニカの学園潜入という計画からして、こうした「フェイク」からなる演劇空間を立ち上げるための物語装置だったんだな、と思って、割と真剣に凄い、と思ったw
ただ、だから、だと思うのだけど、ウェブ版では、本編のあとに、「外伝」として後日談が語られるのだけど、そのいずれもが、特定のキャラを中心に書かれたファンサービスとしてのキャラ小説のようになってしまっていて、本編ほどには楽しめなかった。
多くが、キャラ付けがはっきりした人たちが起こすドタバタ劇で、単なる小咄程度にしか思えなかった。
裏返すと、いかに本編が、キャラに振り回されない、物語中心のプロットとして完成されていたか、ということを思い知らされる。
ということで、いやー、面白かった
ぜひ、アニメもこの9巻まで完走してほしい、と思うのだけど。
最新のアニメ4話の内容を見ると、そこまでは製作サイドは考えていないんだろうなぁ、と思えてしまうのが寂しいところかな。
いや、これ、やっぱり、よくできている! 面白かった!
とにかく、1巻から、そうだな、4巻とか5巻くらいまでに扱われたネタや播かれた伏線が、最後の最後で全部収束するのだから。
相当緻密にプロットを練らないとこうはならない。
その点で先に言っておくと、ウェブ版と書籍版の間には、物語展開上の大きな違いはない。
書籍版での加筆部分は、多くは登場人物の心情の補強や、背景説明の補足。
あとは、若干、登場人物が増えた分の役割分担の若干の異同とか。
でもその程度。
物語の大筋である、モニカが、学園で知り合った友人たちと協力して、第2王子に成り代わっていたアイザックの命を救うと同時に、クロックフォード公爵の策略で帝国と開戦する危機を免れる、という流れは変わらない。
その過程で、ひきこもりでぼっちだったモニカが友人を得て人間的に成長する、というのも変わらない。
要するに、
モニカの成長物語
第2王子の死ならびに成り代わりについてのミステリー
学園もののジュブナイル
貴族と平民の間の階層を巡るあれこれ
・・・
などなど、複数のジャンルが交わってよくもまぁ、こんなにキレイに円環をなすようなお話にしたなぁ、と感心した。
まさか、モニカの人差し指を口元におく姿が「これは内緒で」という意味で、最後に使われるとは思わなかったし、
同様に、チェスの比喩が最後の最後で、物語全体の構成を支えていたとも思わなかった。
そういうところは、実に上手いなぁ、と思ったものw
いやまぁ、骨組みだけ取り出せば、リケジョなモニカが、王子と伯爵子息に好意を向けられ三角関係になる、という、いかにもウェブ小説的な読者の願望充足なところもあるのだけどw
でも、アイクにしてもシリルにしても、もともと平民出身だった、という事情が、物語の序盤で、努力する姿を見せるモニカを引き立てる方向に彼らを向かわせたんだな、と思うと、モニカだけでなく、3人の成長を見守るジュブナイルでもあったわけでw
そういうところは上手い。
逆に、当初、第2王子の一番の盟友だと思っていたエリオットとブリジットの二人が、実は物語が始まった当初から、第2王子に対して嫌悪感を抱いていた、というのはびっくり。
ともに、幼い日の第2王子を知っているからこそ、ブリジットはずっと第2王子は偽物ではないと疑っていたのだし、
エリオットに至っては、すでにアイクがフェリクスになりすましたことを子どもの頃にすでに見ぬいていて、つまり偽物だと知っていて、それでもずっと「観察者」として第2王子のそばにいたというのだからw
これはびっくりだよね。
でも、この二人とも、モニカからすると苦手な人たちでできれば距離を起きたい人物であったことから、彼ら二人の第2王子に向ける複雑な感情を、物語終盤まで隠し通すことができた。
いやー、このあたりは本当に上手い。
だって、エリオットがフェリクスにタメ口をたたいているのは、てっきり幼馴染だから、って思うじゃない。
でも真相は、フェリクスを騙るアイクが平民だから、貴族のエリオットは敬意を払う必要はない、と思っていたから、というのだからw
すっかり騙されたw
でも、そういう「ニセの自分」というテーマが、実は、モニカの七賢人の素性を隠した潜伏、という物語の大前提とあわせて、随所にまぶされていて、自ずと「ほんとうの自分」をさらけ出したいけどだせない、という心情が、別のキャラを使って何回も語られていたりして。
本当に上手い。
そういう「本物の自分を偽る自分の苦しさ」を、モニカやアイク、あるいはシリルあたりがずっと抱えているからこそ、彼らの周りにいる友人たちが、ある意味、書割的なキャラクターであっても気にならなかった。
七賢人の、ルイスやラウル、レイ、しかり。
学園の、グレンやロベルト、ディー先輩、しかりw
そういう意味では、イザベル・ノートンによる悪役令嬢の演技は突き抜けていたのだけれど、それもまた「本当の自分を偽る自分」というテーマを気づかせて、うまかったなぁ、と思う。
しかし、そうなると、ルイス提案のモニカの学園潜入という計画からして、こうした「フェイク」からなる演劇空間を立ち上げるための物語装置だったんだな、と思って、割と真剣に凄い、と思ったw
ただ、だから、だと思うのだけど、ウェブ版では、本編のあとに、「外伝」として後日談が語られるのだけど、そのいずれもが、特定のキャラを中心に書かれたファンサービスとしてのキャラ小説のようになってしまっていて、本編ほどには楽しめなかった。
多くが、キャラ付けがはっきりした人たちが起こすドタバタ劇で、単なる小咄程度にしか思えなかった。
裏返すと、いかに本編が、キャラに振り回されない、物語中心のプロットとして完成されていたか、ということを思い知らされる。
ということで、いやー、面白かった
ぜひ、アニメもこの9巻まで完走してほしい、と思うのだけど。
最新のアニメ4話の内容を見ると、そこまでは製作サイドは考えていないんだろうなぁ、と思えてしまうのが寂しいところかな。