詰将棋の街路樹

自作の詰将棋をはがきに描いて掲載しています。それから詰将棋鑑賞、日記。

第36期竜王戦第4局(藤井竜王―伊藤七段)~37手詰を見た藤井竜王の寄せ

2024-02-25 15:52:43 | 特集(将棋タイトル戦)
令和5年の竜王戦七番勝負で藤井竜王が芸術的な詰み手順を披露したので、その局面を紹介する。


第36期竜王戦七番勝負第4局 藤井聡太竜王―伊藤匠七段
主催:読売新聞社・日本将棋連盟


第36期竜王戦七番勝負。竜王は3連覇を狙う藤井聡太竜王。第1局に勝利した数日後に八冠独占を達成している。対する挑戦者は伊藤匠七段。竜王と同じく21歳、タイトル戦は初挑戦だ。同世代対決は第3局まで藤井竜王が3連勝し、防衛に王手で第4局を迎えた。令和5年11月10、11日に行われた第4局の対局場は北海道小樽市の「料亭湯宿 銀鱗荘」。立会人は永世竜王資格者の渡辺明九段。第31期竜王の広瀬章人九段も新聞解説で控室に。藤井竜王の先手。角換わりの戦型から中終盤の折衝を経て竜王勝勢で第1図の112手までの局面を迎えた。

■第1図


第1図の2手前、伊藤七段は73にいた桂を65に跳ねて王手した。その手に68玉で以降、伊藤七段が形作りをする流れと見られていたが、藤井竜王は68玉と指さず、54にいた馬で65同馬と指した。後手玉は詰むのか。伊藤七段が65同歩と馬を取った第1図の局面は先手玉に88角からの詰めろが掛かっている。以降の手順を見ると、藤井竜王が第1図から37手で詰むのを読み切った上で寄せに入っていたことが分かる。

第1図以下の指し手は、72金、同玉、61角、73玉、83角成、同玉、84銀、同玉、76桂、73玉、85桂、72玉で第2図。

■第2図


第2図から詰み上がりまで、まだ25手かかるが、特にここからが詰将棋作品のような芸術的な手順で、高段者の方は盤に並べて長考して頂けたらと思う。盤上で旋律を奏でているかのようだ。第1図は一手違いの美しい局面だ。第2図からの13手は必見だ。投了は129手までの局面。37手詰。強い。将来発刊されるであろう何らかの単行本で詰み手順が掲載される筈だから、そこで確認して欲しい。

と思っていたが、この前、書店で見かけた。「フォトドキュメント 第36期竜王戦七番勝負」(読売新聞社)だ。帯には「新しい時代の扉が開いた!」の文言。



写真集であり同時に観戦記完全収録でコラムもある。37手詰の詰み上がりまでの手順が確認出来る。第四局翌日に藤井竜王が「盤上没我」と揮毫した色紙を掲げている写真もあった。


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