第37期竜王戦七番勝負。竜王は3連覇中の藤井聡太竜王、2002年生まれ。挑戦者は佐々木勇気八段、1994年生まれ。二人の因縁は第30期竜王戦にまでさかのぼる。デビュー以来負けなし、しかも29連勝の新記録を打ち立てていた藤井聡太四段(当時)の30連勝を、第30期竜王戦決勝トーナメントで阻止したのが佐々木勇気五段(当時)だった。それから7年、タイトル25期に達していた藤井竜王への挑戦者に、タイトル初挑戦となる佐々木勇気八段が名乗りを上げた。
第37期七番勝負開幕局を藤井竜王が制するも、激闘が続き、第4局終了時点で2勝2敗、残り3番で星は五分。第2局、第4局は竜王が完敗と認める内容。
新竜王誕生もあるか―
そう思わせる展開の中、竜王が底力発揮で第5、6局を連勝。竜王防衛でシリーズを締めくくった。
藤井竜王にとって竜王戦前半戦で星を五分に繋ぎとめることが出来たことが大きかった。その前半戦で勝利に寄与した第1局と第3局の竜王の寄せに着目してみた。
第37期竜王戦七段勝負 第1局
主催:読売新聞社・日本将棋連盟
第1局は2024年10月5、6日、「セルリアンタワー能楽堂」で開催された。戦型は相腰掛け銀。立会人の森内九段に渡した封じ手関連で佐々木八段は話題を作ったが、その封じ手直後の指し手で先手の藤井竜王がペースを掴んでいき第一図の最終盤を迎えた。
■第一図

第一図は116手17同桂成までの局面。佐々木八段が114手目25桂と打った勝負手に竜王が17桂と打ち返し同桂成となった局面。115手目からの3手が見えて勝ちになったと、竜王が後手玉を必至に討ち取る。その117手目を見て佐々木八段投了。この手なら成桂で香を取られることはない。
第37期竜王戦七段勝負 第3局
主催:読売新聞社・日本将棋連盟
第3局は10月25、26日、「総本山仁和寺」で開催。戦型は角交換振り飛車。先手の藤井竜王は、苦戦するも逆襲に転じ超難解な終盤に持ち込む。そして二枚の角を盤上に放つ華麗な寄せで明解な勝ちの局面になった第二図。
■第二図

第二図は98手75金までの局面。75同歩と金を取り一手詰みを防ぎながら竜取りも見る手が目に付くが、竜王の指し手は違う。約20手の詰みに討ち取る。その99手目を見て佐々木八段投了。
第一図と第二図の次の一手は「フォトドキュメント 第37期竜王戦七番勝負」(読売新聞社)で確認出来る。

フォトドキュメントには全6局の棋譜・観戦記が完全収録されており、写真は充実していてコラムもある。竜王インタビュー、会心の一局として第一局の自局解説がある。第6局翌日に藤井竜王が「創意」と揮毫した色紙を掲げている写真もある。
「最善に寄せる」と意気込みを表現し七番勝負に臨んで竜王を苦しめた佐々木八段だったが、「藤井さんに見えている終盤の景色にはなかなか追いつけない」との言葉も残した。
藤井竜王は4連覇達成。永世竜王の資格は5連覇もしくは通算7期。来期は「永世竜王」がかかるシリーズになる。
第37期七番勝負開幕局を藤井竜王が制するも、激闘が続き、第4局終了時点で2勝2敗、残り3番で星は五分。第2局、第4局は竜王が完敗と認める内容。
新竜王誕生もあるか―
そう思わせる展開の中、竜王が底力発揮で第5、6局を連勝。竜王防衛でシリーズを締めくくった。
藤井竜王にとって竜王戦前半戦で星を五分に繋ぎとめることが出来たことが大きかった。その前半戦で勝利に寄与した第1局と第3局の竜王の寄せに着目してみた。
第37期竜王戦七段勝負 第1局
主催:読売新聞社・日本将棋連盟
第1局は2024年10月5、6日、「セルリアンタワー能楽堂」で開催された。戦型は相腰掛け銀。立会人の森内九段に渡した封じ手関連で佐々木八段は話題を作ったが、その封じ手直後の指し手で先手の藤井竜王がペースを掴んでいき第一図の最終盤を迎えた。
■第一図

第一図は116手17同桂成までの局面。佐々木八段が114手目25桂と打った勝負手に竜王が17桂と打ち返し同桂成となった局面。115手目からの3手が見えて勝ちになったと、竜王が後手玉を必至に討ち取る。その117手目を見て佐々木八段投了。この手なら成桂で香を取られることはない。
第37期竜王戦七段勝負 第3局
主催:読売新聞社・日本将棋連盟
第3局は10月25、26日、「総本山仁和寺」で開催。戦型は角交換振り飛車。先手の藤井竜王は、苦戦するも逆襲に転じ超難解な終盤に持ち込む。そして二枚の角を盤上に放つ華麗な寄せで明解な勝ちの局面になった第二図。
■第二図

第二図は98手75金までの局面。75同歩と金を取り一手詰みを防ぎながら竜取りも見る手が目に付くが、竜王の指し手は違う。約20手の詰みに討ち取る。その99手目を見て佐々木八段投了。
第一図と第二図の次の一手は「フォトドキュメント 第37期竜王戦七番勝負」(読売新聞社)で確認出来る。

フォトドキュメントには全6局の棋譜・観戦記が完全収録されており、写真は充実していてコラムもある。竜王インタビュー、会心の一局として第一局の自局解説がある。第6局翌日に藤井竜王が「創意」と揮毫した色紙を掲げている写真もある。
「最善に寄せる」と意気込みを表現し七番勝負に臨んで竜王を苦しめた佐々木八段だったが、「藤井さんに見えている終盤の景色にはなかなか追いつけない」との言葉も残した。
藤井竜王は4連覇達成。永世竜王の資格は5連覇もしくは通算7期。来期は「永世竜王」がかかるシリーズになる。