第72期王座戦挑戦者決定戦が7月22日に行われ、前王座の永瀬拓矢九段が王座24期の羽生善治九段に勝ち、藤井聡太王座への挑戦権を獲得した。藤井挑戦者に1勝3敗で敗れ八冠独占を許した1年後に、再び挑戦者として名乗りを上げた。前期王座戦は勝ち星が逆でもおかしくない名勝負と言われた。結果は第3局、第4局で藤井竜王・名人が終盤で逆転して永瀬王座との五番勝負を制し八冠独占を成し遂げた。
王座戦主催の日本経済新聞社が出版した本で、八冠独占となった歴史的な第71期王座戦を振り返ってみる。
「藤井聡太が勝ち続ける理由 王座戦―八冠の先へ」が、その本だ。
藤井王座のトークショー&自戦解説、観戦記者が語る藤井の素顔&永瀬とのライバル関係、羽生九段などのプロ棋士が語る日経掲載の記事、巻末の「将棋王座戦70年を振り返る」、と興味深いものばかりだが、一番の読みどころは勝又清和七段による5番勝負全4局と本戦準々決勝の藤井竜王・名人対村田顕弘六段戦の解説か。
その本から局面を二つばかり、勝又七段の解説を参考に紹介しよう。
一つ目に紹介する局面は第71期王座戦五番勝負第4局(先手:永瀬拓矢王座―後手:挑戦者 藤井聡太竜王・名人)の終盤122手目55銀までの局面(A図)。
A図
A図は永瀬王座勝勢の局面。藤井挑戦者は馬取りの55金ではなく44に効かせるほうが勝負のあやがあると55銀。これで読み筋を外され既に1分将棋の永瀬九段は、53馬と指してしまい玉が捕まらず逆転負けとなった。A図では42金以下、37の角をを引っこ抜いて勝つ順があったとのこと。また42金以下、難解な詰み手順もあるとのことで調べてみると、42金、22玉は32金、13玉、22銀以下。またA図以下42金、同金以下の主要な詰み手順は、本で解説されているので確認してほしい。
それから詰将棋のような手順で藤井挑戦者が勝った第2局の手順・解説なども必見。
次に紹介する局面は第71期王座戦本戦準々決勝の藤井聡太竜王・名人対村田顕弘六段戦(村田が先手)の75手までの局面(B図)。
B図
B図は村田六段勝勢の局面。このままだと藤井玉は42銀、52玉、51金以下詰まされてしまう(42銀に61玉は51金まで。)。八冠達成に向け挑戦者になるのは、もはや駄目かと思われていた局面。しかし、ここから藤井竜王・名人は8手後に村田玉に約20手の詰みを生じさせ勝利する。分析してみると
藤井76手目 詰めろ逃れ
藤井78手目 詰めろ
藤井80手目 詰めろ(勝又七段指摘の鬼手)
村田81手目 詰めろ逃れの詰めろ
藤井82手目 詰めろ逃れの詰めろ
藤井84手目 詰み逃さず
勝又七段によると詰めろ逃れの詰めろの応酬のところで逆転。直後の難しい詰み手順を逃さず。藤井竜王・名人の終盤の超絶技巧が生んだ渾身の逆転劇だった。手順は本でご確認を。
敗れた村田六段だが、この対局で優勢を築いた新村田システムが脚光を浴び、「新村田システム」の本がマイナビ出版から上肢される運びとなった。また村田システムなど独自の工夫に対して升田幸三賞特別賞も受賞した。
「藤井聡太が勝ち続ける理由 王座戦―八冠の先へ」の中で勝又七段は「詰将棋的終盤思考」の言葉を用いて藤井王座の終盤力を語っている。その終盤力を誇る藤井王座に永瀬九段は、どう挑むのか。藤井王座対永瀬九段の「王座戦ダイレクトリマッチ」となる第72期王座戦第1局は、9月4日神奈川県秦野市「元湯陣屋」で。
連絡先 tsumeshouginogairojyu@yahoo.co.jp
王座戦主催の日本経済新聞社が出版した本で、八冠独占となった歴史的な第71期王座戦を振り返ってみる。
「藤井聡太が勝ち続ける理由 王座戦―八冠の先へ」が、その本だ。
藤井王座のトークショー&自戦解説、観戦記者が語る藤井の素顔&永瀬とのライバル関係、羽生九段などのプロ棋士が語る日経掲載の記事、巻末の「将棋王座戦70年を振り返る」、と興味深いものばかりだが、一番の読みどころは勝又清和七段による5番勝負全4局と本戦準々決勝の藤井竜王・名人対村田顕弘六段戦の解説か。
その本から局面を二つばかり、勝又七段の解説を参考に紹介しよう。
一つ目に紹介する局面は第71期王座戦五番勝負第4局(先手:永瀬拓矢王座―後手:挑戦者 藤井聡太竜王・名人)の終盤122手目55銀までの局面(A図)。
A図
A図は永瀬王座勝勢の局面。藤井挑戦者は馬取りの55金ではなく44に効かせるほうが勝負のあやがあると55銀。これで読み筋を外され既に1分将棋の永瀬九段は、53馬と指してしまい玉が捕まらず逆転負けとなった。A図では42金以下、37の角をを引っこ抜いて勝つ順があったとのこと。また42金以下、難解な詰み手順もあるとのことで調べてみると、42金、22玉は32金、13玉、22銀以下。またA図以下42金、同金以下の主要な詰み手順は、本で解説されているので確認してほしい。
それから詰将棋のような手順で藤井挑戦者が勝った第2局の手順・解説なども必見。
次に紹介する局面は第71期王座戦本戦準々決勝の藤井聡太竜王・名人対村田顕弘六段戦(村田が先手)の75手までの局面(B図)。
B図
B図は村田六段勝勢の局面。このままだと藤井玉は42銀、52玉、51金以下詰まされてしまう(42銀に61玉は51金まで。)。八冠達成に向け挑戦者になるのは、もはや駄目かと思われていた局面。しかし、ここから藤井竜王・名人は8手後に村田玉に約20手の詰みを生じさせ勝利する。分析してみると
藤井76手目 詰めろ逃れ
藤井78手目 詰めろ
藤井80手目 詰めろ(勝又七段指摘の鬼手)
村田81手目 詰めろ逃れの詰めろ
藤井82手目 詰めろ逃れの詰めろ
藤井84手目 詰み逃さず
勝又七段によると詰めろ逃れの詰めろの応酬のところで逆転。直後の難しい詰み手順を逃さず。藤井竜王・名人の終盤の超絶技巧が生んだ渾身の逆転劇だった。手順は本でご確認を。
敗れた村田六段だが、この対局で優勢を築いた新村田システムが脚光を浴び、「新村田システム」の本がマイナビ出版から上肢される運びとなった。また村田システムなど独自の工夫に対して升田幸三賞特別賞も受賞した。
「藤井聡太が勝ち続ける理由 王座戦―八冠の先へ」の中で勝又七段は「詰将棋的終盤思考」の言葉を用いて藤井王座の終盤力を語っている。その終盤力を誇る藤井王座に永瀬九段は、どう挑むのか。藤井王座対永瀬九段の「王座戦ダイレクトリマッチ」となる第72期王座戦第1局は、9月4日神奈川県秦野市「元湯陣屋」で。
連絡先 tsumeshouginogairojyu@yahoo.co.jp