パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

第32回 新城薪能

2023年08月20日 09時35分43秒 | 新城・地元に関すること

その世界に入り込むのに一苦労するのが馴染みのない能の世界
テンポ感も言葉も普段と全く違う
他の人は楽しめているのだろうか?
と余分なことを思ったのが、昨日新城文化会館で行われた
第32回新城薪能

お能は新城駅の近くの冨永神社のお祭で、地区の人々によって夜に演じられるのを
時々見ているが(冨永神社には能舞台がある)
暗闇と虫の声が聞こえる中での訳の分からない物語を味わうのは結構趣がある

自分が好きなのは、鋭い笛の音と叩き方によって音色が変わる鼓だ
西洋の一定のリズムによるものではなくて、どこか即興を思わせる音楽
そして時に掛け声のように他人数で歌われる歌い(なんというのかわからない?)

何かしら不思議な熱気を感じるものだが、昨日もそれを感じに出かけた

会場は小ホール、観客は8割ほど埋まっていて、想像したよりは多かった

途中から見始めたせいで、この世界感になれるまで苦労した
小さな女の子が何かを語ったあと踊る
そんなのが数回続けられて、踊りては徐々に年齢を重ねた人になっていく
なるほど、年齢を重ねるというのは味が出るものだ、、
と幼い踊りを見たあとは、そんな気が自然と湧いてくる

プログラムは

狂言はその世界に入るのにはさほど苦労しない
上演される前に放送で大枠のストーリーが紹介される
候文的な古い言葉でストーリーは展開していくが、意味が聞き取れないことはない

「末広がり」は、それが何であるかを知らない太郎冠者が主人に頼まれて
京まで出かけて購入してくることになった
しかし、京には末広がりが何であるかを知らない田舎者を騙す悪いやつがいて
傘(からかさ)を「末広がり」といって売りつける
この悪い商人役を演じていたのが知ってる人で、数年前には祭りの前に
セリフを覚えるのが大変だ、、とこぼしていたから少し心配しながら見ていたが
今回は多分大丈夫だった

無事任務を終えたと思った太郎冠者だが、主人からは傘(からかさ)は「末広がり」
ではないと叱責される
困ったのは太郎冠者だが、あの悪い商人は傘と一緒に伝えたものがあった
それは人というのは気分次第のところがあるから
機嫌の悪い人をなだめる方法を伝えていたのだった
その機嫌直しの仕草に主人は負けて、大笑い  
めでたしめでたしと言った内容だ
(なんかこういた話を肯定的に受け入れている人々は余裕があるなと感じる)

お能というのは、能と狂言と踊りとかを順番に演じるもので
寄席が落語、色物と混ぜて行われるのに似ている
だが一番のメインは能だ

この日の能のプログラムは「小鍛冶」
刀を作ることを天皇から命じられた人が、氏神の稲荷様に祈祷したところ
稲荷明神の御神体が精霊として現れ一緒に刀を作り上げ
草薙の剣並みのものができたという山も谷も無いような話だ

笛と鼓はいつものように楽しめたが、大勢で歌っている内容が分からない
これが分かればもう少し楽しめそうと思うと
舞台の横かどこかに、現代文に直した語りの内容をディスプレイで
現したら良いのではないか、、と思ったりした
(オペラの日本語訳がディスプレイで表されるように)

ということで、非日常の経験をちょっとだけ感じた一日だった
入場者アンケートに、現代語訳のディスプレイ表示を利用したらどうか
との提案を気づいたのは、アンケート用紙を提出した後だった


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