パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

今年の◯冊

2018年12月22日 19時02分44秒 | 

1日で読み終えた本もあるし、ずいぶん長いことかかった本もある
読み終えた時に感動した気になったが、時間が経つとそれほどでもなかったと
思われた本もある
反対に直後は大した印象を持たなかったのに、あとでジワジワと余韻のようなものが
滲んでくるような本がある

良かった本とはなんだろう
読んでいる最中、あるいは読んでから単純に「良かった」と思うこと以上に
もう一度読みたいという気になるのが良かった本の条件かもしれない

今年は以下の本が最後のページまでたどり着いた(評価の印付き)

年末になって新聞紙上や週刊誌にあるように、今年の◯冊を選び出してみるとする
無条件に思いつく本は
「法学の基礎」団藤重光
「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか」山口周
「朗読者」ベルンハルト・シュリンク
の三冊だ

「法学の基礎」は最後まで読めるとは思わなかったが、発見することや考えさせられるところが多くて面白かった
法が解釈学に終止するのではなく、人間が常に良きものにと意識することが必要だと
深い教養の溢れる筆致で綴られている
これは時々ページを開かなくてはならない気がしている

「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか」
複雑な要素が絡まって単純に白黒を判断しにくい最近の世界
こうした現在において、間違えない判断をするためには「美」を感じる心が必要とするもの
これはリベラルアーツの重要さを問いている

「朗読者」
割合読みやすい小説だったが、深く心の傷のようなものが残った
関係をもった年上の女性は、事の前後に本を読んでほしいと願った
その女性はある時主人公のもとから去ったが、数年後思わぬところで再開する
その場所はナチスの罪を裁く裁判所
彼女は被告人として法廷に立っていた
なぜ彼女はそこに立っているのか、、、そして昔彼に本を読むことを依頼したのは何故か、、
本を読んでいて涙を流すなどということはなくなっている最近だが、知らず知らずに滲んでいた

どうしても最近の本を選び勝ちになるが、読んで良かったと思われる本は
「失われた時を求めて」プルースト(短縮版の上下)
この有名な小説は、取り組むには覚悟と忍耐力が必要だ
本体の5分の1ほどにまとめられたこの本でも手応えがありすぎた
しかし、不思議なのは読み終わっていくらか時間が経ったあとジワジワと
「いい本だったな}との感覚がやってきたこと
この本は無意識に日常をこなしている生活をどことなく想像させる
それと最後の章の部分は大好きなヘッセの「シッダールタ」の河の畔での覚醒を連想させる

「明治維新と幕臣」
読み終えた時は早くも今年の一冊には入るものだと思っていたが
その後「安政の大獄」とか「覚悟の人 小栗忠順」などの一次資料の多い本を読むと
印象は薄れてしまった

しんどい思いをして読んだ本
「個人と社会」「権力と支配」「責任と判断」「全体主義の起源1」
これらは悲しいくらい覚えていないかもしれない
でも、間違いなくこれらから自分ができている(味の素のCMみたい?)
これも時々付箋の部分を読み直すべきかも

科学分野
「植物はすごい」「エレガントな宇宙」「生物進化を考える」「波紋と螺旋とフィボナッチ」
ある種の仮定を思いつくこと、その発想の柔軟性とそれを証明しようとする継続する意志
科学的センス、数学的センス、、というものは、確かに存在するかもしれない、、と実感

あとは、、実生活と関連した「知ってるつもり 無知の科学」「ショック・ドクトリン」
「民主主義の死に方」「民主主義のつくり方」などの本は、現在の世界がどういうものか
認識を新たにしたというところ

こうして並べてみると、多少引っかかるというか抵抗感があって集中と創造力と忍耐力が
必要な本が「良かった」と思えているようだ
でもいつまでもそうだとは限らない 徐々に気力も創造力も忍耐力もヤバそう
来年も小難しい本に挑戦できるかな

           
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