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パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

笛の盆「野田城伝」

2016年09月04日 07時57分08秒 | 徒然なるままに

自分たちの季節だと鳴き続ける虫
時々、遠くで聞こえる規則正しい飯田線の通過する音 
木立は闇に包まれて舞台だけが明るく幻想的な面持ち

昨日行われた新城笛の盆 三つの笛物語の二番目「野田城址」編
昨年は雨に祟られたが、今年は蚊には攻撃されるが
天候の心配はせずに済んで関係者の方々はホッとしたところだろう

この野田城址で行われるイベントは、昔の新城の中心地であった野田城を
武田信玄が攻めた時、ある夜、城から流れてくる笛の音に聞き惚れていたところを
銃撃されたという言い伝えから、地域おこしの一環としてそれにちなんだ
イベントとして5年前から続けている
(この武田信玄が銃で打たれるエピソードは映画影武者でも使われており
  また信玄を射ったとされる信玄砲は新城設楽原歴史資料館に展示されいる) 

涼しい半ズボンで出かけたいところだが、蚊を心配してとりあえずズボンにした
しかし、上が半袖だったので、やられそうになったが、防虫スプレーを用意してくれた
気遣いのデキる人のおかげで難を逃れた

このイベントは第一部、第二部と分かれているが自分が見ることが出来たのは第二部の方だけ
このプログラムが盛りだくさん

最初に、鉄砲隊模擬演武(長篠・設楽原鉄砲隊)
さすがに観客を目の前に火縄銃を撃つことはできず、打ち方の形をデモンストレーションするだけだったが
写真のように真っ暗な中で影絵のように動くさまは、それはそれでなかなか面白かった 

次はめったに聴くことのない雅楽の生演奏

雅楽はお祭りの時に録音された物を聞くだけだが、お公家さんたちが楽しんだ(?)らしい
音楽は、おなじ笛を使った能の音楽とはだいぶニュアンスが違う
なにか音を鳴らしっぱなし、、みたいな音に対する愛着があるような、、、

三番目は居合演武(水鴎流)

居合は目の前の敵をイメージして行うものらしいが、素人にはいまいちわかりにくい
それでよりわかりやすいように、2人で対戦するような形のものを見せてもらえた
居合というのは基本的には、ぎりぎりまで抜かずに待つもの、
抜かずに済めばそれに越したことはない というものなのかもしれない
と思ったりする
しかし、日本刀で戦うということは相手を斬ることのできる間合いに入らなければならない
自分が斬られるかもしれないので随分怖いものだろうな
と思うのは臆病な小心者のせいか
気合とかオーラとか、そういうものはなんとなく感じられて戦う威圧感というものは
当事者間には直感的に感じられるものだろうな
ところで居合演武を披露していただいた水鴎流というのは子連れ狼の拝一刀の流派だそうで
萬屋錦之介が演じる前に挨拶に来られたとか 

次は語りと篠笛

語り内容は、野田城攻めの信玄が撃たれるところ
語りと笛だけで情景を描写する、時には歌うように時には小さな声で
目の前には何もないので自ずと自分の頭のなかでイメージするしかない
面倒だがこれはそれなりに面白い
自分は説明過多の今の映画よりは、勝手に想像できるこのタイプのほうが好きかな
(お能もそういう意味で好きだし、ヴァーグナーの指輪もヴィーラントの抽象的な演出のほうが好きそうだし) 

最後のオオトリは篠笛の演奏が数曲
しかし聞き慣れていないせいか数曲あっても皆同じように聞こえてしまう
曲が覚えられない 
メロディーを記憶しようとしても美味しいそれではないので
それに普段耳にする音楽とは違った理屈でつくられているので記憶にとどまらない
多くの聞き手がそうだろうと想像した篠笛奏者の松田氏は、
もう少しわかりやすい曲(さくらさくら、笛吹童子)も間に入れた
なるほど今度は聴きやすい、しかし、何か自由度がないような気もする

聞きやすい音楽は西洋音楽の理屈でつくられている
何分の何拍子、といった規則正しいリズムをベースに旋律線が作られる
その安定感は心に落ち着きをもたらすが一方、そこで縛られているような
普通の篠笛の音楽も基本的にはあるテーマの変奏なのかもしれない
西洋の音楽の変奏は低音部の動きを基本に様々なアイデアをこらした
それでいて秩序だった曲の構成になっている(この方法ばかりではないが)
一方、曲が覚えられない普通の篠笛の音楽は、変奏はパターン化していても
奏者の即興の要素が高いのかもしれない
(篠笛を聞いていたとき、家に帰ったらバッハの無伴奏フルートソナタを聴こうと思ったりした
  でもまだ聴いていない、、、)

ということで、晩の6時半から9時近くまでの幽玄な催し物
想像力を駆使しなければならないし
聴き慣れない音楽に集中しなければならないし、、、というところだが
でも、やっぱりナマはいい 時間の経過を忘れる
虫が鳴く中で、自然のなかで、なにか大きなものに包まれている感覚
一度体験しても損はない(と思うのだが)

笛の盆シリーズ 第三回目は10月8日 会場は長篠城址
「月見の宴」のタイトルで行われる


 

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