パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

Hさんのこと

2023年09月29日 09時23分14秒 | 徒然なるままに

映画が大好きで、気に入った映画は上映会を催し
行政主催の集会には積極的に参加して、下調べしたデータを元に
いろんな質問をする真面目な性格のHさん

真面目だが偏屈にならず、穏やかな雰囲気が彼の周りには漂う
そのHさんの10年以上寝たきりになっていた奥さんが先日亡くなった
彼は定期的に病院に訪れては奥さんと自分だけの会話を繰り返した
反応がないように見えても、ほんの少し微笑んでいるように見える時は
嬉しい、、そんな話を聞いたこともあった

お葬式の当日は抜けられない予定が入っていて
届け物は先日の映画「ひろしま」上映に一緒になって活動した
仲間にお願いした

それから少し時間が経った昨日、気分転換に!
とおしゃべりする時間に誘ってみた

彼は耳の片方が聞こえなくなっていて
聞こえる方の耳に手のひらを広げて集音し、内容を理解しようとする
こちらもそれに合わせて少し大きな声で話す

その中で、彼は奥さんとの会話の話を文字に残していると教えてくれた
現実の奥さんは話せない
だから彼の心のなかで響いていることだけを書き記している
自分の会話は「」のカッコで、妻の会話は『』のカッコで囲って
書き残している、、と言った

それはとても彼らしいことのように思われた
お葬式の日、知り合いが届けてくれた香典返しには
奥さんに関する言葉がハガキ二枚分のスペースに
びっしりと書かれていた

奥さんも努力家で、年齢を重ねた上でも資格を取ろうとしたり
明るく振る舞う様子が書かれていた
そしてそれを読むと、Hさんの奥さんにピッタリだとか
夫婦は似てくるのだろうか?と思うのだった

本当は原稿用紙3枚分の文章量があったのだけど
短くされて、確認するとか了解する時間もなくて
そのままお願いしてしまった、、と残念そうに口にした

でも、その挨拶文は多くの人からお褒めの言葉が集まったようだ
自分の経験の中でも印象に残るものだったし、同居人も読んで
奥さんも偉い人だったね、、と口にした

8月5日の映画「ひろしま」の上映会は
彼が企画した中では大成功に分類される入場者で
いつもの赤字ではなく、今回は余剰金が発生した
後日、上映を手伝ったスタッフに会計報告をしたとき
スタッフの大半は、いつも赤字で不足分をHさんが補填しているだろうから
今回は経費を引いて残った分はHさんが好きなように使っても良い
と言ったのだが、彼はそれを頑なに拒んだ

そして昨日、その使い道は映画「ひろしま」にあわせて
広島市の原爆ドームに募金したと報告があった
次回の何かの映画上映に回すと言っても、年齢のこともあり
何があるかわからないので、早めにお金は処分したかった
と話すところは、やっぱりHさんだな、、と思えるものだった

自分はこの(全肯定的な)Hさんと知り合いであることは
運が良いことだと思っている

生きていくうちで、どのような人と出会い
どのような経験をするかで、生き方は随分違ってくる
なんとなく気が合うな、、
との直感はやはり正しかったのだと思えてならない

類は友を呼ぶ、、、






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