パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

「百夜 小説小野小町」

2023年08月18日 09時19分56秒 | 

訳あって本を読む気分になれないでいたが
今やっと今年30冊目の本を読んだ
「百夜 小説小野小町」髙樹のぶ子

少し前、同じ作家の「業平 小説在原業平」を読んで
感動したわけではなかったがそれなりに面白かったので
同時代の人物のこれを今度は図書館からではなく購入して読んだ
(図書館にはなかった)

● 思ひつつ寝(ぬ)ればや人の見えつらむ夢としりせば覚めざらましを
この歌が一番最初のページに書かれている

小野小町といえば百人一首の
●花の色は移りにけりないたづらに わが身世にふるながめせし間に
が有名だが、こちらの方が(夢と知りせば)心情的に納得できる

小説でフィクションだからどこまでが本当でどこが虚構かわからない
だが大体の大きな時代の流れはわかる
ところが大学受験に自分は日本史をとっていたが
この時代の事件やら政変のことを殆ど知らない事実にぶち当たった

在原業平のときもそうだったが、平城天皇と嵯峨天皇のあたりのゴタゴタ
橘逸勢とか藤原四家の権力闘争などなどは記憶になく
ウキペディアで知識を補うしか手はなかった

小野篁は地獄の閻魔様と話をすることができる人間とされていて
それはなんとなく知っていたが、この小説では小野小町の父という設定だった

そして、小野小町の恋人は僧正遍昭で彼は天皇の付き人(良岑宗貞で)
その天皇が小野小町に懸想した旨の伝言の役割を担っていた
ところが、「トリスタンとイゾルデ」と同じように
当人同士の感情が高まって「月と雲」と名乗って一日だけ濃密な時間を過ごす
この部分はホンの少しの描写だが、肌の触れ合いをも感じさせる印象に残る

この本を読んでいて確認の為引っ張り出したのが「百人一首解剖図鑑」

小説に登場した人物がどんな人だったのか、、を確認した
すると僧正遍昭は素性法師と親子関係なっていたのに驚いた
そう言えば親子で百人一首に登場するのは紫式部と大弐三位
和泉式部と小式部内侍
その他にも色々ありそうな感じ

和歌は読んでもすぐに意味がわかる訳ではないが
現代文にしてしまうとなんとなく風情がなくなってしまう
瀬戸内寂聴さんが源氏物語を、まずは漫画から次に現代語訳を
そして原文を読めるようになるのが一番良いと言っていたのが
わかる気がする

今は少し短歌ブームらしい(?)
気分的にはそれも納得できるような気もする
(余裕のない世界の反動として)

それにしてもこの時代の背景とか権力闘争は全く無知なので
もう少し関連本を読んでおいたほうが来年の大河ドラマには
参考になるかもしれない


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