パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

読書中に思い浮かべる次に読む本

2018年08月06日 05時34分39秒 | 徒然なるままに

猛烈な読書量ではないが本は好きだ
毎日何かしらの活字に触れていると安心する
だが時々ブレーキが掛かる
本を開いてもどこか気分が乗らないような
そして目は文字を追っているのだが脳まで伝わっていないような、、

こういうときは軽めのミステリーで勢いをつけることにしている
本格ミステリーだと熟読を要するので、雑学が身につきそうなものを選ぶ
(どうも妹も同じことをするらしい、、遺伝か、、母方の祖母は松本清張が好きだった)

昨日、近くの精文館書店によって購入したのが「楽園のカンヴァス」原田マハと「羊と鋼の森」宮下奈都
前者は最近目にする名前だし、後者は本屋大賞に選ばれたし音楽関係なので気になっていた
最初に手にとったのは「楽園のカンヴァス」の方
これは思いの外面白かった
自分が知らない画家、アンリ・ルソーの作品「夢」「肖像画」やピカソの「アヴィニョンの娘たち」などの
絵画としての意味とか歴史上の役割とか、モンマルトルに住み込んだ野心的な連中の集まりである「夜会」の話やら
それこそ雑学が身につく感じで、物語のキーとなるアンリ・ルソー(というよりその絵画への解説)に興味が湧いた

「夢」と名付けられた絵は、何かのレコードジャケットで見たことがある気がしていた
ベルリオーズの幻想交響曲か、ストラヴィンスキーのなにかか、、
でも正直、それほど気になる絵でもなかった
それはこの本を読んだあとルソーとググッて、他の作品を見ても、、残念ながら波長は合わない
(自分が好きなのはホアン・ミロ  訳がわからないがホッとするとか優しい気持ちになれるとか、子供になれるとかで)
だが、この本のルソーの絵画に対する解説は、熱意は面白かった
それにストーリーも次々に興味を抱かせる展開で「原田マハ」ってどんな人物なのか、次に別の何かを読んでみようと興味をもった
ところで、絵画に対する描写が多いこの作品を読んでいて、不意に(またもや)思い出したのが辻邦生の「夏の砦」だ

「夏の砦」は、グスターフ公のタペストリー、支倉冬子は初めてそれを見たときは非常な感動を覚えたのだが
もう一度見たときは何故か何も感じなかった
それは何故だったのか、、、一体美とは何なのか、、、この問を延々と突き詰めていく物語
彼女の幼少期から失踪までの期間の心の変化・進化を精緻な文体で豊穣な物語風に展開していく
自分が一番最初に触れた辻邦生の作品で、読み返してはいないが今でも彼の一番好きな作品かもしれない
このあと背教者ユリアヌス・春の戴冠・樹の声 海の声・真昼の海への旅、その他エッセイや対談集を
読むきっかけになった作品だ

ある本を読んでいて、次は何を読もうか、、と思いつくことは珍しくない
今年は「失われた時をも求めて」を読んでる時に「イギリス人の患者」を思い浮かべたし
「安政の大獄」を読んでいるときは「奸婦にあらず」を次に読もうと決めてたし
先日の「セーヌ川の書店主」を読んでるときは「ドナウの旅人」「シッダールタ」を連想した
そして今回は「夏の砦」

そういえばレコード・CDを聞いてる時も、つい次は何を聴こうかな、、と考えることがある
これってのは、カラオケで次は何を歌おうか、、と決めるのと同じことかな

ところで、辻邦生の「夏の砦」
読み終えるには気力と馬力が要りそう
今のところは、残っている「羊と鋼の森」に挑戦というところかな



コメント (1)
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