多くの調査に基づいた真面目な本
日本もアメリカも、そしておそらく他の国も
政府が嘘をつくのは国民性とか国情によるのではなく
グローバリズムとコーポラティズムのせいだと分析する
そこには資本主義の行き着いた現状への警鐘が
センセーショナルな例を挙げて語られる
1%の人間が他の99%の人間の資産を支配するどころか
結果的には人生までも支配すること
そして、その事を伝えるべきマスコミも1%の陣営に
取り込まれてしまっていること
そのことにも気づかずに暮らしている多くの人々
お上はそんなに悪いことをするはずがない
それは現代では幻想に近いかもしれない
テレビの情報に支配される国アメリカ、
アメリカ一辺倒の報道の日本
そこで語られなかったリビアの別の視点からの姿は印象的だ
以下抜粋----------------------------------------------------
反米・反イスラエルを掲げ、数々のテロに関与し“アラブの狂犬”と呼ばれたカダフィ大佐。
カダフィ大佐殺害を伝える日本や欧米の報道には、「独裁者 がついに死亡」「民主革命である<アラブの春>が
リビアにも拡大」というような見出しが踊り、歓喜するリビア国民の写真が掲載された。
「あなたたち日本人は、リビアのことを何もわかっていない。西側のマスコミしか見ないからです」
チリ出身で東京在住のヴェロニカ・ランソデールは、リビアについての間違ったイメージが日本に広がっていることに警鐘を鳴らす。
「私はリビアにたくさん友人がいるけれど、彼らは高学歴・高福祉の国であるリビアを誇りに思っています。
アフリカ大陸で最も生活水準が高いリビアで は、教育も医療も無料で、女性も尊重されている。
日本の人たちは、そういうことを知っていますか? 国民は、電気代の請求書など見たことがありません。
42年間も政権を維持できたことには、ちゃんと理由があるんです」
カダフィは全ての国民にとって、家を持つことは人権だと考えており、新婚夫婦には米ドル換算で約5万ドルもの住宅購入補助金を、
失業者には無料住宅 を提供し、豪邸を禁止した。車を購入する時は、政府が半額を支払う。
電気代はかからず、税金はゼロ。教育、医療は質の高いサービスが無料で受けられる。
も し、国内で必要条件に合うものが見つからなければ、政府が外国へ行けるよう手配してくれる。
大家族の食料費は固定相場、全てのローンは無利子でガソリンは格安。
農業を始めたい国民には土地、家、家畜、種子まで全て国が無料で支給、薬剤師 になりたい場合も必要経費は無料だ。
42年間、カダフィが権力の座に就く前に10%以下だった識字率は、今は90%を超えている。
これらの政策を可能にし ていたのは、アフリカ最大の埋蔵量を誇る石油資源だった。
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カダフィ大佐に関する印象が全く変わってしまうようなレポート
確かに我々の見る彼の容貌は、いわゆる「悪人面」
しかし、それすらも演出的な側面があってそのような画像だけを
取り上げているのかもしれない
IMFもWHOも立ち位置を替えて評価すると、単なる正義の味方ではないと言う事実
読んでいくと自然と怒りがこみ上げてくる
それは、例は悪いが「踊る大捜査線」で湾岸署が理不尽な命令と判断を下す
本店に対する怒りに似ている
自由、民主主義
この響きよい一見何の批判のしようのないお題目が
実は結果として、いや最初からその目的で
1%の人のためにだけなるように使われている
そして、その為の報道
確かにやりきれない
しかし、無力感に陥ってはならない
いつだったか、タゴールが無邪気な赤ん坊の姿を見て
「まだ希望を捨ててはならない、だったか、未来に希望は存在する」
と語ったエピソードをラジオで聞いたが、この本でもやはり
子どもの姿を見て、今大人たちが何をしなければならないかの
きっかけづくりになればとしている
結局、人は自分で的確は判断力、情報力を持つしかない
その為の人間力と!
それはサンデルの「これからの正義の話をしよう」に相通じる
人間は1%の人々に効率的に使われる人間になるために
生まれてきたのではない
全ての人間が自分らしく生きるために
現代はなんと多くの努力を強いられることか!