パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

中山雅史の呪縛

2010年04月26日 22時26分57秒 | サッカー
なかなか表だって口に出せないような空気のある発言
それは「無駄なFWのディフェンス、チェーシングは
止めたほうがいい」
「FWは点を取るのが仕事、得点可能な場所まで戻るのに
一苦労するような位置まで下がらなくていい」

「世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス」
宮崎隆司著 コスミック出版

この時期に出てくる、なかなか刺激的タイトルの本だ
この本の中に実はそう思っていた!
と賛成できるような部分があちこちにある
それが冒頭の2か所
もちろん、そういったプレーをするな!
ではない
時と場合を考えてプレーしよう
そしてする以上は基本にのっとり全体が連動して
いくようにしようがこの本の主旨だ

この本はイタリアの指導者、監督のインタビューをベースに
書かれているのでイタリアの守備の考え方がわかり興味深いが
これはイタリアだけでなく実は全世界で基本となっている
個人戦術とチームとしての守備のあり方と比較して
日本の守備は基本がなってないと警鐘を鳴らすものだ

前線からのハードなプレス
90分もちそうもないプレーは、したたかなチームには
うまくかわされてしまう
また初めはロングボールで対応するなど
1試合を通してのゲームプランを作成されてしまう

数的優位を作るというが、それは部分的なところでのこと
プレーヤーは同数なので数的優位があるということは
どこかが数的不利になっているということ
こんな当たり前のことが、どうも自分に都合のよい論理だけで
相手がどう考えるかはほとんど考えられてないのが日本のサッカー

同数では日本人では守りきれない
だから人数をかけて守る
でも何故同数で守れないのか?
体格、身体能力が違うから?

昨日だったか、スカパーでイタリア人のフェラーラが
どうすれば強くなれるか?の問いに
リーグに世界レベルの優秀なFWを連れてきて
彼らのスキル、スピード、発想に慣れるようにする
みたいなことを答えていたが
本当にそう思う

以前はスキラッチ、ストイコヴィッチ、レオナルド
ストイチコフ、ワシントンなどこの国ではめったに味えないような
とんでもないプレーをする人たちがいて
それでも最初は戸惑ったものの徐々に慣れていって
そこそこ対応できるようにもなった

結局経験とは身にしみた
相手のプレーのイメージの集積
理屈ではなく体に覚えこませたもの

マンツーマンでやれとは言わないが
基本的には日本人はもっと1対1に強くならなければ
これからの伸びはないと思う

そしてこの一人ひとりが1対1に強くなれば
DFに頻繁に手伝うこともなくなり
本来の自分の仕事に集中できるようになる

中山雅史のあの必死なプレー
全力で戦うあの意気込み
それが日本のサッカーとはそういうものだ
と悪い意味でのプロトタイプを作ってしまいはしなかったか

確かにあの表情、頑張りはわかりやすい
しかし、それを評価するのは
効果があった時だけに限定すべきだったのではないか

この意味ではマスコミにも罪がある
わかりやすさだけに安易に乗って
自分の判断ではなく世間の雰囲気に追従しただけではなかったか

中山雅史の呪縛から逃れて
真に効果のあるプレーを評価できるようになるのは
いつのことになるのだろう
(当然のことながら、別に今までの中山のプレーを
 どうこう言うつもりはない)



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