最近の騒がしさを鑑みると、中国の古き哲人の言葉に学ぶことが多い。
今日は、孟子の教えを考えてみた。
***
孟子曰、天將降大任於斯人也、必先苦其心志、勞其筋骨、餓其體膚、空乏其身、行拂亂其所為、所以動心忍性、益其所不能。
【現代語訳】(佐久 協「『孟子』は人を強くする」より)
孟子は言う。
天上の神がある人物に重要な任務を与えようとしたときは必ずその人の心を苦しめ、肉体を疲労させ、生活を困窮させ、やる事なす事すべてがカラ回りするような大苦境に陥れるものだ。
それは天がその人の心を鍛え、忍耐力を増大させ、大任を負わせるに足る人物に育て上げようとしている何よりの証拠なのだ。
まあ、疑う前に周囲をよく眺めてごらん。
われわれが知っている優れた人格を持ち知恵があり、人の心が読める能力を発揮している者は、みんな悲惨な体験をくぐり抜けてきた者といっていいだろう。
自らの心を悩まし、苦痛をとことん味わった者だけが、人間が生まれついて持っている、素晴らしいパワーを自覚し開花させられるものなのだよ。
孟子曰、盡其心者、知其性也、知其性、則知天也、存其心、養其性、所以事天也、殀寿不貮、脩身以俟之、所以立命也。
【現代語訳】
孟子は言う。
自らの心を伸ばし尽くす者は、自らの本性を知る者だ。
自らの本性を知る者は、天から降された意味を知る者だ。
よき心を保ち、本性を養うことこそ、天に仕える道である。
寿命の長い短いなど気にするな。
ひたすら自分自身を修めて命尽きるのを待て。
それが、天命を損なわずにまっとうするということなのだ。
ここでいう「立命」(りつめい)とは、「天命を損なわずにまっとうする」という意味で、立命館大学の名の由来伴っている。
***
なるほどと思う。
***
孟子は領土や軍事力の拡大ではなく、人民の心を得ることによって天下を取ればよいと説いた。
王道によって自国の人民だけでなく、他国の人民からも王者と仰がれるようになれば諸侯もこれを侵略することはできないという。
孟子は「民を貴しと為し、社稷之(これ)に次ぎ、君を軽しと為す」(盡心章句下)、つまり政治にとって人民が最も大切で、次に社稷(国家の祭神)が来て、君主などは軽いと明言している。
あくまで人民あっての君主であり、君主あっての人民ではないという。
***
我々ももう少し歴史に学んだほうが良い気がする。