こばなし

日々のよしなしごと

サーカス 中原中也

2006年04月10日 | 文学
幾時代かがありまして
  茶色い戦争ありました

幾時代かがありまして
  冬は疾風吹きました

幾時代かがありまして
  今夜此処での一と殷盛り
    今夜此処での一と殷盛り

サーカス小屋は高い梁(はり)
  そこに一つのブランコだ
見えるともないブランコだ

頭倒(さか)さに手を垂れて
  汚れ木綿の屋蓋(やね)のもと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

それの近くの白い灯が
  安値(やす)いリボンと息を吐き

観客様はみな鰯(いわし)
  咽喉(のんど)が鳴ります牡蠣殻(かきがら)と
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

屋外(やぐわい)は真ッ闇(くら) 闇(くら)の闇(くら)
夜は劫々(こふこふ)*と更けまする
落下傘奴(らっかがさめ)のノスタルヂアと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

*劫々:果てもなく。



最近中原中也がお気に入りだ。
と言っても仕事が始まってからは、忙しくてほとんど読めていない。
マニュアルを読まなくてはならないから
電車も5分しか乗らないし。まぁこれは幸せなのですが。
読んでいない本がたまる一方だ。
「にほんごであそぼ」のDVDがほしいな…リフレッシュしたい

写真:山口きらら博 イベント紹介


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2 コメント

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Unknown (かかし)
2006-05-15 23:46:02
・・・間違えた。

タイトル欄にURLを貼ってもうた。

上のコメント削除してください(汗





◆改めましてこんばんは(苦





めちゃくちゃ好きです。この詩。



楽しいはずの「サーカス」なのに、そこに誰もいない、さみしい感じなんですよね。



『今夜此処での一と殷盛り』って一節がまた刹那的で。いいなぁ。







”友川かずき”って人が「サーカス」の詩に曲をつけて唄ってます。これまたいいです。機会があれば是非聴いてみて下さい。(押し付けがましいコメントだな。すいません)





お邪魔しました。
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お返事遅くなりました (ばしまゆ)
2006-05-21 21:35:04
<楽しいはずの「サーカス」なのに、そこに誰もいない、さみしい感じ



ってものすごくよくわかります。

なんでしょうね。この感じ。

決して嫌な感じではなくて。



早く本を読み終わらないと!

種田三頭火も早く読みたいです…
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