こばなし

日々のよしなしごと

愛すべき本たち

2006年07月01日 | 文学
わたしの誕生祝い兼伯母の還暦祝。
隠れ里 車屋にてご馳走をいただく。
5000円のコースだけありまして、大変おいしゅうございました。
日本料理は芸が細かい。「ハァ~」と感嘆しきり。
池のある中庭もとても綺麗で、待っている間ずっと見ていた。
入口のガクアジサイが可愛くて、写真を撮る。

藤沢に出てお買い物。
無印良品でお会計をすると、店員さんが間違った金額をレジに打ってしまったらしい。
電卓でお釣りを計算している。
その男の店員さんは新人らしく、かなり焦っていて、
電卓を打つ手が震えているのがわかり、笑いをこらえる。
「大丈夫だから、ゆっくり打ってよ」と励ましたくなる。
わたしそんなに怖そうな客?
すぐさま母に「あの人新人だよ、可愛いよ~」と報告。
母も面白がって、「どれどれ?」という始末。
日に日におばさん化してるなぁ、わたし

後輩のプレゼントに扇子を買う。
可愛かったので自分用にも購入。
中古の『シャーマンキング』に、ガスパールのペン、
ずっと欲しかったアンパンマンのレジャーシート、
アンパンマンの花火を購入。

朝日新聞の連載を読んで好きになった、
禅宗のお坊さん玄侑宗久の『ベラボーな生活』を購入。
堅い本ではまったくなくて、むしろ笑えるのだが、
読んでいると、生活ってなんだろうと思わされる。
生きていくことってなんだろう。
しあわせってなんだろう、一番大切なのはなんだろう。
禅道場での生活なんて、わたしには過酷すぎて不可能だけれど、
見習うべき点がたくさんあって、とてもためになる。
忘れてしまいそうなことを、ふっと思い出させてくれる。
ご飯が美味しいこと、日々への感謝、本当に美しいもの。

ばいきんまんがあまりに可愛すぎたので、きゅんとなって、
やなせたかし作『アンパンマンとハテナのとう』を買ってしまう。

ついにアンパンマンに勝ったばいきんまん。
けれど何かがおかしい。

「アンパンマンが いなくなってみると なんだか さびしいなあ。
あいつと たたかうのが おれさまの いきがいだったのに。
おれさま、うれしくて かなしい! うえ~ん!


もう本当に、抱きしめたくなってしまう。
こんな子がいたら、わたしは心配でたまらないだろう。
ばいきんまんは、本当は誰よりも優しいのです。
あの人みたいに。

『あらしのよるに』も目に入ってしまい、購入。
さらには浴衣の着こなし方の本まで。
ちょっと買いすぎ…
『殿様の通信簿』も買いたいんだけどなぁ。

大人用の兵児帯が欲しいのだが、
「コレ!」というものに巡り会えない。

今年は七夕さまをやりたくなって、
近所のお宅から笹を拝借する。
断ったほうがいいかと思ったのだが、
「道からはみ出てるのあるんだから、勝手に取っていいよ!」
と母が断言するので、こっそりと。
怪しいなぁ。

サーカス 中原中也

2006年04月10日 | 文学
幾時代かがありまして
  茶色い戦争ありました

幾時代かがありまして
  冬は疾風吹きました

幾時代かがありまして
  今夜此処での一と殷盛り
    今夜此処での一と殷盛り

サーカス小屋は高い梁(はり)
  そこに一つのブランコだ
見えるともないブランコだ

頭倒(さか)さに手を垂れて
  汚れ木綿の屋蓋(やね)のもと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

それの近くの白い灯が
  安値(やす)いリボンと息を吐き

観客様はみな鰯(いわし)
  咽喉(のんど)が鳴ります牡蠣殻(かきがら)と
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

屋外(やぐわい)は真ッ闇(くら) 闇(くら)の闇(くら)
夜は劫々(こふこふ)*と更けまする
落下傘奴(らっかがさめ)のノスタルヂアと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

*劫々:果てもなく。



最近中原中也がお気に入りだ。
と言っても仕事が始まってからは、忙しくてほとんど読めていない。
マニュアルを読まなくてはならないから
電車も5分しか乗らないし。まぁこれは幸せなのですが。
読んでいない本がたまる一方だ。
「にほんごであそぼ」のDVDがほしいな…リフレッシュしたい

写真:山口きらら博 イベント紹介

積もった雪  金子みすヾ

2005年12月17日 | 文学
上の雪 さむかろな。
つめたい月がさしてゐて。
下の雪 おもかろな。
何百人ものせてゐて。
中の雪 さみしかろな。
空も地面(じべた)もみえなゐで。



寒波にあえぐ今の日本で、
雪が寒いだろうか、重いだろうか、寂しいだろうか、
なんて心配する人はいったいどれほどいるのだろう。

心の余裕を取り戻せたら、しあわせも増えるだろう。
雪が嬉しくて仕方なかった頃は、誰にでもあったのだから。

「雪は白いからすきだ」
ONE PIECEのルフィが言うこの台詞が、死ぬほど好き。

絵:"Winter's Eve" R. V. Wright