鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

続・今月の本 木村荘八全集

2023年02月23日 | 兎糞録

 三田村鳶魚全集に抱き合わせでついてきたものがこちら。これがまた面白い本です、木村荘八全集八巻。もう一つ抱き合わせが百閒随筆六巻、内田百閒も昔から大好きな作家です。全部で四十二冊がたったの320円。木村荘八はどうしようかなあと思ったのですがふと思い出しましたこの絵。

 「牛肉店帳場」なぜか記憶に残っている絵です。この絵の作者が木村荘八ということをすっかり忘れていました。なぜかじっと見入ってしまいます。全集を所々読んでみたらこれがまた面白い。これは今年最初から大当たりの本買いです。

 問題は、既に置く場所に困っていることです。床は二三年前に手抜き工事を発見して根太を追加しているので抜ける心配はないのですが、かなりの量の本を処分したとはいえ今も床の上は本が散乱、机はラックに収まらないCDが山積み。オーディオ装置は使わないものは押し入れに、とはしているものの。さあ、これからどうしましょう。


鳥海山地名一口メモ 褄坂

2023年02月23日 | 鳥海山

 祓川橋を渡れば左に末社 熊野神社の巨林を朦朧の中に望む夫より少しく褄揚りとなり渺茫たる廣野を行くこと十五六町にして駒の王子に達す〇駒の王子は久那戶の神を祭る掛茶屋あり休憩に便す馬は此處より引返し恰下降の刻限を期して再び迎馬として待受くるを常とす若し杖の用意なき人は宜しく掛茶屋に就き求(もと)められるべし千斤を支ふるの金剛杖僅に二三銅を過ぎず此處よりは何人も徒步す
 太田宣賢 鳥海山登山案内記より

 最初に掲げた文中「褄揚り」とあるのが蕨岡口登拝道入口褄坂

 「ツマ」は坂を表現する地形用語、それに褄、妻の文字を当てたもの。全国にある妻坂も同じ。漢字は音にあてたもの。

 昭文社 山と高原地図 鳥海山 1976 より
 月の原は昭和の開拓地、駒の王子は駒止に同じ。

今月の本 三田村鳶魚全集

2023年02月22日 | 兎糞録

 三田村鳶魚の本を見つけると読んでいるのですがまとめて読みたいと思い探していたところなんと。

 なんと、滅多にそろわない別巻までついて、、、オークションでこのほかの本と合わせて驚異の320円で購入しました。送料も大したことはありません。届くまでは半信半疑。届いたものを見たら外装は相応ですが中身は読んだ形跡のないような美品です。「三田村鳶魚全集」ではなくて「三田村鳶魚 集」となっていたので全集を探していた方は見過ごしたのかもしれません。

 三田村鳶魚の江戸人に関する考察は時代とその時代を生きた人の考え方について、現在を生きる人が過去に生きた人の考え方を今の物差しで測る過ちを教えてくれます。下手な説明するよりは一度山本博文氏の「鳶魚で江戸を読む 江戸学と近世史研究」を読んでみるとよいかと思います。

 歴史小説、特に司馬遼太郎をはじめとする、また大河ドラマというものが嫌いなのですが同書を読んで、このせいかと納得してしまいました。少し長くなりますが山本博文氏の「鳶魚で江戸を読む 江戸学と近世史研究」から引用してみましょう。
 ※池波正太郎や松本清張の時代物は好きなんですよ。


現在の歷史小脱
 現在でも、時代小説には随分荒唐無稽なものがある。これは最初からフィクションであるからまだいいとして、いわゆる歴史小説といわれるものにも同様の傾向がある。もちろん、筆者は、小説家に対して難癖をつけようというつもりはない。最近の小説家は、史実に関しては非常によく調査しているし、中には吉村昭氏のように、歴史家以上に言葉遣いに留意し、記述する日の天気まで詳細に調べる小説家もいる。
 それはいいのであるが、最近の歴史教育をめぐる議論は、何とも納得がいかない。よく知られ ている「司馬史観一という言菜である。『諸君』誌上で谷沢永一氏と藤岡信勝氏が妙な論争をしておられるが、双方に共通するのは、司馬遼太郎氏の歴史小説をほぼ史実であると認めておられるやに見えることである。
 筆者などが司馬遼太郎氏の幕末物を読むと、何とも言えぬ違和感に襲われる。もちろん、面白いし、よく調べているのであるが、登場人物の発言が何とも近代的なのである。この時代の人が言うわけもない内容を平気で話し、妙な人物が暗躍する。主人公にあたる人物を際立たせるため に、どうにも理解できない解釈を行って論理に整合性をつけようとする。具体的にどこがどうとここで指摘する余裕はないが、それは確かにそうなのである。
 たとえば『峠』における河井継之助のすべてを見通したよう行動を見れば、だれでも本当かなと思うであろう。しかし、それは小説だからかまわない。そうではなく、いかに「歴史教育」とはいえ、小説家の「歴史観」を基本に据えてよいのだろうか、ということである。これは、極端に言えば他人の学問すなわち歴史学に対する冒瀆である。
 それはともかく、司馬氏においても何が問題なのかといえば、やはり身分制度の理解であろう。幕府が倒壊するような時代であるから、幕府の威信も地に落ちていて、尊王の志士の中には先の見通しがあったと考えるのは無理もない。しかし、幕末に様々な運動をする人間の内面は、現代 人が安易に類推できるほどに単純なものではない。もちろん、これは司馬氏の罪ではないのであって、それに十分な回答を与えてない歴史学の落度であろう。その時代の中でその時代の人物の 行動をいかに理解するかという点は、これからの歴史学の大きな課題になると思う。その意味でも、三田村氏の身分制度の理解や歴史小説・時代小説批判は、 これからもっと参照されなければならない。


 上の文章はCZUR SCAN を使ってスキャンしたものをスキャナーのOCR機能を使ってWordに変換してから修正したもですのがAdobe Acrobat よりも精度がいいようです。今まで試したOCR機能の中では一番優秀かもしれません。

 三田村鳶魚の「大衆文芸評判記」「時代小説評判記」、時代物お好きな方には一読することをお勧めします。


山と高原地図 鳥海山 2023

2023年02月21日 | 鳥海山

 正式には山と高原地図 鳥海山・月山 羽黒山なのですが、省略して「山と高原地図 鳥海山」。スマホにアプリが入っているのですがお知らせを見たら2/24に2023年版が発売されるとのことです。全面改定と書いてありましたのでさっそく注文。昭文社に何ヶ所か指摘はしましたが、さあ期待通りの改訂はなされているでしょうか。現物が届いたら中身を見てお知らせします。

 

 


本に書き込みはするな

2023年02月17日 | 兎糞録

 本に書き込みはしないこと、書き込みされた本は相当の価値あるもの以外仕入れない、売らない、買わない。

 WEB上で「良い」という状態の古書を購入したらこれがなんとすべてのページに赤鉛筆でレ点、書き込みが。消しゴムで消し続けてみましたがとてもとても。

 普通の消しゴムで消すのもたいへんなのでダイソーへ行って電動消しゴムを買ってきて試したのですが、普通の消しゴム、PLASTIC ERASER の方が良く消えます。それに電動消しゴムは細かい所を消すのにはいいでしょうけれど、消しカスが散乱します。消した後の掃除が大変。PLASTIC ERASER は消しカスがある程度まとまるので処理も楽です。

 販売者に連絡を取ったところ即座に対応していただき代替本を送ってもらうことになりました。大した本ではないんですけどね。

 こういうチェックが最初から最後まで、この人は何をしたかったんでしょうね、おまけに蔵書印まで。蔵書印押すくらいなら書き込みはするな、本は大事に扱え。蔵書印押したら売るな、です。この書き込み、赤くチェックされたところを見るとその人のレベルがわかります。がっかりしますね。

 これが文豪といわれる人の蔵書、書きこみだったら知らぬふりして大事にするかもしれませんけど。文豪はこんな書き込みはしません、もっと意味ある書き込みをします。それは知る人は知っている日記で書き込みも含めて書籍になっています。